持続可能な環境と平和な未来のために、今こそ核なき世界の実現をーー広島・長崎原爆投下から80年

国際環境NGOグリーンピース・ジャパン(東京都港区)は、広島・長崎への原爆投下から80年を迎えたことにあたり、本日、以下の声明を発表しました。
グリーンピース・ジャパン事務局長、サム・アネスリー
2025年8月、広島・長崎は原爆投下から80年という節目を迎えました。原爆により命を奪われた全ての方々に深い哀悼の意を表するとともに、戦禍を生き抜き、今なお心身に傷を抱えて生きる方々、そして現在も戦争や暴力の中にある世界中の方々に、心からお見舞いを申し上げます。
1945年8月6日と9日、広島と長崎に投下された原子爆弾は、瞬時に数万人の命を奪いました。その後も放射線による障害や病気、差別といった形で、多くの人々の人生に多大な影響を及ぼしました。しかし、80年が経った今も、核の脅威は世界から消えていません。核兵器やミサイルの開発をめぐる各国の動きや、ロシアによるウクライナ侵攻と核による威嚇、最近では米国やイスラエルによるイランの核関連施設への爆撃など、多くの人の命を脅かす核の脅威が、私たちの日常のすぐそばに潜んでいます。それにもかかわらず、核の脅威を強く抑止する力を持たない国際社会は、極めて深刻な危機に直面しているといえます。一度でも核兵器が使用されれば、その被害は破壊的な影響をもたらします。そして世界で唯一の戦争被爆国である日本はすでに、その非人道的な結末を80年前の広島・長崎で目の当たりにしました。戦争と核兵器の悲惨さを身をもって経験した国として、いかなる戦争行為にも断固として反対し、平和の実現に向けて明確な姿勢を示す責任があります。
グリーンピースは、環境保護と平和の実現を目指し、社会のあり方そのものを問い直す活動を続けてきました。1971年の団体設立は、米軍によるアラスカでの核実験に反対し、現地へ船を出して抗議した行動に端を発します。その後も、アメリカの核実験によって被爆したマーシャル諸島ロンゲラップ島の住民を救出・搬送するなど、人々の命と環境を守るための行動を重ねてきました。1991年の湾岸戦争では、イラク軍が意図的にペルシャ湾に放出させた原油による環境汚染を、他団体との協力の元で調査し、海の生態系に深刻な被害が拡大していることを明らかにしました。(注1)私たちは、環境を守ることはすなわち平和を守ることだと確信しています。
原油の流出や火災、爆撃等によって大量の温室効果ガスや有害化学物質が排出され、水や空気、土壌や生態系が深刻に汚染される戦争は、最大の環境破壊です。それに加えて、放射能汚染や被爆のリスクを抱える核兵器の使用は、環境と人々の暮らしや健康に深刻な影響を及ぼします。だからこそ、戦争のない、そして核のない世界を目指すことが不可欠です。2021年には、核兵器禁止条約(TPNW)が発効しましたが、日本は唯一の被爆国でありながらも、いまだこの条約を批准していません。グリーンピースは、日本はもとより、核保有国を含むすべての国にこの条約への批准を求めています。戦争を起こさないという意志を次世代に受け継ぐことで、あらゆる命を守り、緑豊かで平和な社会を目指していきます。
(注1)グリーンピース・ジャパン「戦争は最大の環境破壊」(2022年7月28日発表)