【INC5.2】プラ生産削減、法的拘束力を含む条約締結に向けて粘り強い対話の継続をーー国際プラスチック条約は交渉難航、今回も合意ならず
国際環境NGOグリーンピース・ジャパン(東京都港区)は8月15日、スイス・ジュネーブで行われていたプラスチック汚染対策に関する国際条約を議論する第5回政府間会合再開セッション(INC5.2)が同日、前回会合に引き続きプラスチック生産や化学物質の規制などについて議論がまとまらず、条約交渉が合意に至らないまま閉幕したことを受け、以下の声明を発表しました。グリーンピースは本政府間交渉委員会に代表団を派遣し、会議にオブザーバー参加していました。

グリーンピース・アメリカ グローバル・プラスチック・キャンペーン・リード、グラハム・フォーブス(グリーンピース国際プラスチック条約代表団代表)
「ジュネーブで条約合意に至らなかったことは、世界にとって警戒すべき課題です。プラスチック汚染を終わらせるためには、石油化学業界の利益と正面から対峙する必要があるからです。大多数の加盟国は生産規制を含む実効力のある条約合意を望んでいるにもかかわらず、一部の国々が交渉を滞らせました。次の会合でも同じ交渉プロセスを繰り返すならば、異なる結果を期待することはできません。
プラスチック危機は加速しています。石油化学業界は短期的な利益のために、プラスチック汚染の影響を受けるコミュニティーや地球環境を無視しています。この状況を打開するために、市民社会が求めることは明白です。プラスチックの生産量を削減し、人間の健康を保護し、公平で充実した資金調達を提供し、採掘から廃棄に至るまでのプラスチック汚染を終わらせる、強固で法的拘束力のある条約が必要です。そして、世界の指導者たちはその声に耳を傾けなければなりません。私たちの健康と地球の未来は、国際プラスチック条約の実現にかかっています」
グリーンピース・ジャパン グローバル・プラスチック・キャンペーンコーディネーター、大館弘昌
「今回、日本が加盟国間の合意形成に尽力した姿勢は評価できます。しかし、依然として議長案(注1)はプラスチック汚染の解決には程遠い内容であり、将来的な規制強化にさえ反対する国もあります。妥協点を見出すために立場の異なる国々に歩み寄ることは重要ですが、野心の低い国々が互いに譲歩を重ねるだけでは、プラスチック汚染がもたらす危機的状況の解決にはつながりません。日本政府には、プラスチック汚染の規模に見合った実効力のある条約合意に近づけるべく、今後の交渉に臨むことを期待します」
(注1)国連環境計画 “Chair’s revised text proposal at 00h48(15 August 2025)”