【INC5.2】国際プラ条約めぐる政府間交渉に石油化学産業ロビイスト234人が参加ーーグリーンピースなど、ロビイスト参加禁止求め要望書提出
スイス・ジュネーブで開催中の国際プラスチック条約策定をめぐる政府間交渉委員会第5回会合再開セッション(INC5.2)で、米非営利団体・国際環境法センター(CIEL)は8月7日(現地時間)、今回のINC5.2に参加登録した石油化学産業のロビイストに関する分析を発表しました(注1)。INC5.2には、2025年11月の前会合(注2)より14人多い、234人のロビイストが参加していることが明らかになりました。これを受け、グリーンピースはCIELと合同で、同会合の場にロビイストの参加を禁止するよう求める要望書を、国連環境計画(UNEP)およびINC事務局に提出しました(注3)。
<CIELの分析によりわかったこと>
- 化石燃料と化学産業のロビイスト234人がINC5.2に登録し、INC5での登録ロビイスト220人より14人増加した
- 化石燃料と化学産業のロビイストの数は、欧州連合(EU)の27加盟国およびEUの代表団の合計233人を上回っている
- エジプト(6人)、カザフスタン(4人)、中国(3人)、イラン(3人)、チリ(2人)、ドミニカ共和国(1人)などの各国代表団内にも合計19人のロビイストの参加が確認された
- 化石燃料と化学産業のロビイストの数は、「効果的なプラスチック条約のための科学者連合(注4)」(60人)の約4倍、「国際先住民プラスチックフォーラム(注5)」(36人)の約7倍である
- 化石燃料と化学産業のロビイストのなかで代表的な企業や団体は、ダウ(7人)、アメリカ化学工業協会(7人)、エクソンモービル(6人)だった
この分析についての国際環境NGOグリーンピースのコメントは以下の通りです。
グリーンピース・アメリカ グローバル・プラスチックキャンペーンリード、グラハム・フォーブス(グリーンピース国際プラスチック条約代表団代表)
「ジュネーブに押し寄せている化石燃料と化学産業のロビイストの存在は、プラスチック汚染を終わらせ、人間の健康を守るための世界最大の機会を損なうものです。プラスチック汚染を引き起こし、利益を得ている産業が、その解決の場で有利な立場を得ることは許されません。プラスチックを無限に生産し続けることを可能にする実効性の薄い条約合意が実現すれば、将来世代に汚染された未来をもたらすことになります。各国政府はリーダーシップを示し、化石燃料業界の要求を拒否し、実効的な条約を成立させなければならず、汚染者にルールを書き換えることを許してはなりません」
(注1)国際環境法センター(CIEL) プレスリリース(2025年8月7日発表)
(注2)国際環境法センター(CIEL) プレスリリース(2024年11月27日発表)
(注3)グリーンピース・インターナショナル 要望書(2025年8月7日発表)
(注4)Scientists’ Coalition for an Effective Plastics Treaty
(注5)International Indigenous Peoples’ Forum on Plastics
以上