国際環境NGOグリーンピース・ジャパン(東京都港区)は10月10日、トヨタ自動車(愛知県豊田市)に対し、同社の温室効果ガス排出削減に関する公開質問状を送付しました。気候変動の影響が深刻化する中、日本の年間総排出量の半分以上に相当する温室効果ガスを排出する同社の気候変動対応は、地球環境全体へ影響を及ぼす可能性があります。公開質問状の回答期限は10月31日で、以下の4項目について同社の方針や見解を求めています。公開質問状に対する同社の回答は、弊団体のウェブサイト等ですみやかに公表する予定です。

<質問項目>

  • 近年の温室効果ガス総排出量とその削減について
    • トヨタの温室効果ガス総排出量は過去数年増加傾向にある。トヨタとして総排出量の削減は必要と考えているか否か。
  • 総排出量の削減目標設定について
    • いくつかの世界的自動車メーカーは2030年までの総排出量削減目標を数量的に設定しているところ、トヨタとしてパリ協定で合意されている1.5度シナリオに整合するよう総排出量削減の目標を設定することの必要性を認識するか否か。
  • 総排出量の削減手段の条件について
    • 削減に向けて新しい技術を開発導入するにあたり、それが世界の環境、社会、人権などの状況がより良くなるようにしていく、という考えに賛同するか否か。
  • 代替燃料や水素の開発と1.5度シナリオについて
    • バイオ燃料や水素燃料の技術が確立され、普及していく見通しとそれによる炭素排出削減の予測は、どのように1.5度シナリオと整合性があるのか。

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グリーンピース・ジャパン 気候変動・エネルギー担当、塩畑真里子

「今夏、日本では記録的な高温を記録し、熱中症による救急搬送者数は過去最多を更新しました。東南アジア、南アジアでは洪水および台風によって多くの人々が命を落とすなど、気候変動がもたらす異常気象によって起こる被害が日常化しており、政府や企業はこうした変化に対し、危機感をもってあたる必要があります。11月10日からはブラジルにおいて国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)が開催されます。トヨタを含め、排出量の多い企業には口約束だけではなく、排出を急速に減らすための具体的な行動指針を示し、それを実行することで説明責任を果たすことが求められます。今回の公開質問状に対し、トヨタから適切な回答をいただけることを期待しています」

以上