プラスチック生産削減なくして汚染解決せずーー国際プラスチック条約第4回政府間会合、プラ生産規制をめぐり議論が難航
国際環境NGOグリーンピース・ジャパン(東京都港区)は、カナダ・オタワで現地時間の4月30日、法的拘束力のある国際的なプラスチック条約(注1)を議論する第4回政府間交渉委員会(INC4)が閉幕したことを受け(注2)、以下の声明を発表しました。グリーンピースは本政府間交渉委員会に代表団を派遣し、会議にオブザーバー参加しました。
グリーンピース・アメリカ グローバル・プラスチックキャンペーンリード、グラハム・フォーブス
「今回の交渉では、ルワンダやペルー、『釜山への架け橋(注3)』宣言の署名国など、プラスチック生産削減を推進する国々の継続的な努力によって、一定の進展が見られました。しかし、プラスチック生産の削減を無視した妥協的な結果が出され、科学的に必要とされる公正な条約への到達はさらに遠のきました。プラスチック生産によって日々被害を受けている人々がいるにもかかわらず、加盟国は医療科学者よりも石油化学産業のロビイストの意見に耳を傾けています。プラスチックの大量生産を止めない限り、プラスチック危機を解決できないことは明らかです。特に高野心連合(HAC)加盟国が、韓国・釜山で開催されるINC5までの間に行動を起こさなければ、石油化学業界に利する条約が結ばれる可能性が高くなります。プラスチック生産の削減と、使い捨てプラスチックの廃止を定める国際プラスチック条約が必要です。問題解決につながらないアプローチに時間を費やしている時間はありません」
グリーンピース・ジャパン シニア政策渉外担当、小池宏隆
「INC4で日本政府が、バジャス新議長(エクアドル)のリーダーシップを支持し、スムーズな交渉に積極的に貢献したことを評価します。しかし、2040年までに追加的なプラスチック汚染をゼロにすることに昨年のG7広島サミットで合意したにもかかわらず、そのために必要な規制に関する世界共通ルールには消極的なままです。
4月29日、イタリアで開催中のG7環境気候エネルギー大臣会合では、日本も含めた各国が『持続可能な社会の実現に向けて、一次プラスチックポリマー(注4)の世界的な生産と消費を削減し、場合によっては抑制することを目指す』ことに合意しました(注5)。しかしINC4では、これと一致するような声は日本政府からあがりませんでした。日本政府には、地球が抱える気候変動、生物多様性、汚染という三重の危機すべてに悪影響を与えるプラスチック汚染を根本的に解決する条約実現に向けて、より生産規制に踏み込んだアプローチを求めます」
(注1)グリーンピース・ジャパン 声明(2022年3月2日発表)
(注2)国連環境計画(UNEP)発表(2024年4月30日発表)
(注3)一次プラスチックポリマーに関する宣言「Bridge to Busan」
(注4)化石燃料から作られるプラスチックの主な原料。
(注5)France24 “G7 to commit to reducing plastic production, says French environment minister”(2024年4月29日)
以上