[年次報告書2024] 2024年の活動成果をふりかえって(事務局長挨拶)

事務局長あいさつ
皆さまの温かいご支援とご協力のおかげで、グリーンピース・ジャパンは2024年もさまざまな活動を展開することができました。心より感謝申し上げます。
気候変動対策
2024年の重点的な取り組みとして、再生可能エネルギーの導入促進と省エネの推進に力を入れました。年初には「かながわ脱炭素市民フォーラム」が発足し、神奈川県内でのネットワーク拡大とともに、太陽光発電の標準化に向けた具体的な一歩を踏み出しました。市民が主体となり、自治体に対してより積極的な気候対策を求める動きは、埼玉県や千葉県をはじめ、全国各地に広がりを見せています。
学校断熱プロジェクト
温暖化で猛暑による健康被害が相次ぐなか、子どもたちの学習環境を守るため、学校の断熱改修プロジェクトを本格的に始動しました。夏の教室で温熱環境の調査を行い、データを通じて建物の断熱化の必要性を明らかにしました。また、自治体への提言や特設サイトの開設などの取り組みが実を結び、神奈川県内の高校で断熱改修が実現しました。これらの成果は、気候危機への対応が、私たちの暮らしや地域社会の質を高めることにもつながるということを示しています。
プラスチック問題
プラスチック問題に関しては、国際条約の制定に向けた議論が深まった年となりました。グリーンピースは、政府関係者や企業、専門家を招いて第2回「国際プラスチック条約シンポジウム」を国内で開催し、条約締結に向けた課題や解決策について活発な意見交換を行いました。
また、報道関係者向けの勉強会や、調査報告書『変革を先導する』の発表を通じて、使い捨てプラスチックの解決策となりうるリユースの可能性を広く発信し、理解の促進に努めました。同時に企業との対話も継続しており、サプライチェーンにおけるプラ削減の具体的な可能性を探りながら、前向きな協力関係の構築を進めています。
さらに、国際条約の内容を話し合う政府間会合には、日本からスタッフ数名がオブザーバーとして参加。交渉の現場で市民社会の声を届けるとともに、政府交渉官へのロビー活動を通じて、日本政府に対し積極的な貢献を求めました。条約の正式な締結は翌年に持ち越されたものの、これら一連の取り組みにより、「プラスチック汚染ゼロ」の未来に一歩近づいたと確信しています。
市民向けのイベントや展覧会
市民に向けた気候変動の活動では、2023年の東京開催に続き、滋賀と青森で「HELP展」の巡回展を催しました。温暖化が暮らしや地域にどのように影響するのか、アートを通じて感じてもらい、行動の後押しをするような展示とイベントを設計しました。滋賀では琵琶湖やその周辺の自然を、青森では地域の豊かな自然やリンゴ栽培をテーマに取り上げ、それぞれの地域性を活かした内容としました。前年の東京展も含め、延べ1,500人以上の来場者にご来場いただき、気候変動をより身近な問題として捉えてもらうことができました。
また、HELP展の一環として製作したドキュメンタリー作品が国際映画祭で大賞を受賞し、ニュースで広く報じられたことで、国内における温暖化の現状を知ってもらう貴重な機会となりました。
2025年も引き続き、市民の皆さまと力を合わせ、自治体や国レベルでの政策転換を後押ししてまいります。脱炭素社会の早期実現をめざし、新たな挑戦に取り組んでいきたいと考えています。今後とも変わらぬご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。


グリーンピース・ジャパン
事務局長 サム・アネスリー