国際環境NGOグリーンピース・東アジアは12月2日、日本、中国、韓国の情報通信(ICT)関連企業30社(注)を対象に、気候変動対策や再生可能エネルギー導入を評価、ランキングした報告書ハイテク企業は再生可能エネルギー競争を勝ち抜くことができるか? 日本、中国、韓国のハイテク企業の気候変動対策と再エネ使用状況を採点』を発表しました。評価は「気候変動対策のコミットメント」「実施状況」「情報開示」「アドボカシー(政策提言等)」の4つの指標について行い、総合評価をもとに、それぞれをA+〜Fでランク付けしています。

<主なポイント>

  • 2030年までの再エネ100%目標を掲げているアップルやグーグルなどのグローバル企業と比べ、今回対象とした企業では取り組みの遅れが目立った。
  • 日本企業はソニーのC+を筆頭にトップ3を占めるなど、今回評価対象とした30企業の中では概ね上位を占めた。しかし、しかし、ソニーも再エネを利用している事業所は全体の10%にも満たないなど、改善の余地は大きい。
  • 日本企業10社のうち5社が再エネ100%の目標を明示している。このうちヤフー(2023年)と楽天(2025年)の2社のみが、2030年より早い時期の移行を約束。他社は、今世紀半ばとしており、RE100参加企業の目標年の平均2028年と比べはるかに遅い。サプライチェーン全体を温室効果ガス排出削減計画に含めていたのはソニー、東芝、日立の3社だけだった。
  • 日本企業の再エネ利用比率は、総電力消費量でみると楽天(64.8%)を除き、残る9社は、総電力消費量の15%以下と、まだかなり低い。
  • 対象とした日本企業すべてが、サプライチェーン全体(スコープ3)を含む温室効果ガス排出量データを開示している。また政策アドボカシーでも、日本企業は6社がAを獲得するなど日本政府に対して2030年の再エネ導入目標の引き上げを要請している。

報告書リンク


グリーンピース・ジャパン 気候変動・エネルギー担当、関根彩子

「ICT産業はサプライチェーンを含め、2030年までに電力を再エネ100%を達成するという目標を設定する必要があります。さらに、日本ではまだ電力の75%が化石燃料由来であり、政府はその最大の要因となってる石炭火力の維持や、不確実な『ゼロエミ火力』の標榜をやめ、再エネへに転換しやすい環境を早急に整える責務があります」


(注)日本企業はソニー、富士通、パナソニック、ルネサス エレクトロニクス、楽天、ソフトバンク、日立、東芝、ヤフー、キヤノンの10社を対象とした