横浜の気候変動対策は今がだいじ — 「ゼロエミ横浜」に聞いた地域の気候アクションの広げ方
この投稿を読むとわかること
- 2人はどのように環境問題に関心を持つようになったんですか?
- 「ゼロエミ横浜」はどのように発足したんですか?
- 今「ゼロエミ横浜」が目指している活動のゴールを教えてください。
- そのゴールに向かって、どんな活動をしているんですか?
- 活動がとても戦略的ですね。どうやって市の政策や働きかけのタイミングを把握しているんですか?
- 2人に”ガイド役”と信頼されているかずえさんは、「ゼロエミ」の活動を見てどう感じていますか?
- 自治体への働きかけは効果がある方法なのでしょうか?
- 理恵子さんと美奈さんは、実際に地域で活動していて手応えはありますか?
- 8月21日に開催されるビッグイベント「オールよこはま気候フェス」への意気込みを聞かせてください!
- 「オールよこはま気候フェス」
横浜市の気候変動対策を市民の力で加速させることをめざす「ゼロエミッションを実現する会・横浜」は、2021年からじわじわと活動の幅を広げ、この8月、横浜市のさまざまな団体や市民を巻き込んだイベント「オールよこはま気候フェス」を開催します。 立ち上げメンバーの一人だった藤田理恵子さん、そしてその活動に共感してコアメンバーの一人となった佐伯美奈さんに、地域で活動する理由やチームが目指すゴールについて、お話いただきました。また、「ゼロエミ」メンバーを支える”ガイド役”でもあるグリーンピース・ジャパンの鈴木かずえに、自治体に市民が働きかける重要性を改めて聞きました。 |
2人はどのように環境問題に関心を持つようになったんですか?
藤田理恵子さん(以下理恵子さん):最初に関心を持ったきっかけは、中学校の理科の授業で『デイ・アフター・トゥモロー』という温暖化がテーマのSF映画です。見たときは「本当にこんなことが現実で起こったら怖いな」という印象だったんですけど、それから10年くらい経って、本を読んだりドキュメンタリー見たり、セミナーに参加したりしてみて、気候変動がかなり深刻な状況になっているんだと知りました。
それで、問題に気づいているのに行動しないと後悔しそうだなと思ったので、行動しようと思いました。
佐伯美奈さん(以下美奈さん):私はもともと、消費量の多い家庭で育ったんですね。毎日お肉を食べたり、好きなお洋服をどんどん買って新品を捨てたりするような生活をしていたんですけど、大学生くらいになってその習慣を疑うようになってきたんです。
ちょうどサステナビリティやエシカルという言葉も流行ってきて自分でも調べるようになって、今地球で大変なことが起きていると知ったんです。自分が今まで当たり前にしてきたことで、被害をたくさん生んでいたんだという事実を知って、すごくショックを受けました。
例えば受講した「エシカルコンシェルジュ講座」の中で、すごく狭いケージの中で悶え苦しみながら卵を産まなきゃいけないニワトリの動画を見て、私たちはその卵を食べてるんだっていう現実を知って、泣いてしまったんですよね。
そういうことが当たり前に存在する社会って恐ろしいなって思って、これは変えなきゃいけないと思いました。
「ゼロエミ横浜」はどのように発足したんですか?
理恵子さん:「ゼロエミッションを実現する会・横浜」は、2021年の8月に発足しました。最初は私を含めた3人のメンバーで始まりました。
最初は別のグループで環境に関する活動をしていたんですが、新型コロナ感染症の拡大もあって、オンラインでの活動がメインでした。オンラインだと全国各地の方とつながることができる一方で、すぐ会おうとはならないので動きづらく感じることもあって。私は2歳から横浜に住んでいる”はまっこ”で、同じ地域の人だと気軽に会えるし、共通点が多いので、地域で活動したいと思いました。
美奈さん:私は今年の2月にゼロエミ横浜に参加しました。環境系団体にはいるのは私は初めてだったんですけど、みんな思ったより普通の人でびっくりしました。もっとゴリゴリ意識高い系の人が、難しい言葉を使いながらしゃべってるのかと思ったら、意外とのほほんっていう感じで。これだったら私もコミットしていけるかもって思いました。
理恵子さん:今ではコアメンバーが8人に増えて、とても頼もしいです。横浜市の気候変動対策を変えたいっていう思いに共感して入ってくれたので、同じ価値観の人が入ってきてくれてうれしかったですね。コアメンバーは、性別も年代も職業もバラバラですね。基本的には真面目だけど…
美奈さん:風通しよく、それなりにユーモアもあって…
理恵子さん:なんでもいえる感じだと思います。
今「ゼロエミ横浜」が目指している活動のゴールを教えてください。
理恵子さん:私たちは今、横浜市の温暖化の政策を推し進めることに注力していて、今は温室効果ガスの2030年までの削減目標を60%にするということを目標に活動しています。
今横浜市が「温暖化対策実行計画」という、横浜市が今後どうやって温暖化政策を進めていくのかという計画を改定している最中で、現状では2030年までの削減目標は50%に設定されそうなのですが、今年いっぱいまでは検討が進むので削減目標を60%まで引き上げることを目指しています。
横浜市に働きかけるには、今が重要な時期だと思います。
そのゴールに向かって、どんな活動をしているんですか?
美奈さん:今署名を募集していて、まずは1,500件集めることを目指しています。そして市民の声を集めるために、8月21日に横浜の中のいろいろな団体とコラボして、「オールよこはま気候フェス」を開催します。そのあとには、Fridays for Future Yokohamaともコラボして、気候マーチも同時開催する予定です。
横浜市に要望書を提出したり、毎週金曜日に横浜駅のMORES前でスタンディングするアクションもやっています。
理恵子さん:「温暖化対策実行計画」を検討している温暖化対策統括本部という横浜市の部局とアポイントをとって意見交換会をしたり、計画に影響を与えられる横浜市の市議会議員さんにアプローチして、私たちの思いや活動内容をお伝えしたりもしています。
今年中には、横浜市が出す「温暖化対策実行計画」改定案について、市民から意見を収集するためのパブコメが予定されていて、私たちが声を届けるいいチャンスだと思うので、できるだけ多くの市民がパブコメを書いて声を届けられるような働きかけも検討しています。
活動がとても戦略的ですね。どうやって市の政策や働きかけのタイミングを把握しているんですか?
理恵子さん:横浜市の政策を把握するには、やっぱり横浜市のホームページや温暖化対策統括本部が公開している資料を見るのが基本だと思うんですけど、それだけではわかりきらないところがあるので、電話して聞いたり、情報公開請求をしたりして、公表されている結果に至る前の経緯も把握するようにしています。
美奈さん:最初は政治家の方に働きかけるのはちょっと抵抗あるなと感じていたんですが、なんとなくやっているうちに、政治家の人も一人の人間なんだなと思えてきて、話せばちゃんと意見が言えるし、聞いてくれるということを知ったので、それはすごい大きいことだったなと思います。
理恵子さん:コアメンバー8人はロビイングや自治体アクションをやったことある人はいなかったので、サポートしてくれるゼロエミッションを実現する会の吉永さんやグリーンピースの鈴木かずえさんなどこれまで自治体アクションを経験されている方のナレッジを活用してうまくいっていると思います。
美奈さん:進め方がわからない時に、こういうふうにやるといいんだよって示してくれる、ガイド役ですね。
2人に”ガイド役”と信頼されているかずえさんは、「ゼロエミ」の活動を見てどう感じていますか?
鈴木かずえさん(以下かずえさん):「ゼロエミッションを実現する会」の皆さんは、平日働いて、平日の夜や土日の時間を使ってやっていて、本当に尊敬しています。だからこそ、どうしたら少ない時間で、効果が上がるようなことを一緒にできるかなっていうことをすごく考えています。
理恵子さんや美奈さんのように活動する方が増えることも大事だし、社会全体で働く人の時間が短くなったら、会社人として社会活動に取り組める人がもっとたくさん増えるんだろうなって思いますね。
自治体への働きかけは効果がある方法なのでしょうか?
かずえさん:自治体への働きかけは、とても効果的です。
気候危機は本当に待ったなしの状態だと思うんですね。なのに、なかなか二酸化炭素を減らしていない現状があります。そんな時に、気候危機について今大変な状況になっていますよって広く訴えることも大切なんですけど、気候危機対策をどんどん進めるように政治に変わってもらわないと、もう間に合いません。
政治に対して働きかけるNGOもいますが、一握りの人たちが1,700もある自治体にいくことは無理ですよね。やっぱり動く人が増えないといけません。それで気候危機対策をやっている自治体に働きかけるプラットフォームとして「ゼロエミッションを実現する会」を作りました。
自治体では、意思決定者に市民が直接働きかけるチャンスがあります。例えばグリーンピースは国への働きかけをしていて、それはそれで必要な活動ですが、総理大臣や大臣などの意思決定者本人にはなかなか会えるものではありません。ところが自治体だと、最高意思決定者である市長や区長に会うチャンスもあるし、担当課長など、かなり意思決定者に近い人に直接会うことができます。
それに、市民の声を集めるパブリックコメントでは、国の場合ほとんど決まっているものに対して募集することが多いので大きく変わることは期待できませんが、自治体のパブコメだと、変える余地も大きいと思います。
議会への陳情・請願や、審議会の区民公募枠など、市民参画するスキームがすでにあります。だけど、あまり利用されていないんですね。みんながこれを利用して、気候対策を進めてほしいし、それが当たり前になれば、市民の意見が反映される民主的な社会になると思っています。
理恵子さんと美奈さんは、実際に地域で活動していて手応えはありますか?
理恵子さん:手応えはすごくあると思っています。最初は3人で立ち上げて、今ではコアメンバーが8人になっています。それぞれが持っているメンバー一人ひとりのネットワークを活用しながら、活動の輪を広げられているなと感じます。最初イベントを企画したときは、参加者は1人、2人だったんですが、今では20人くらいは来るようになっていますし、人を巻き込めるようになっていると思いますね。
美奈さん:私はインスタグラムなどのSNSを使った呼びこみが得意なので結構やってるんですけど、私が入った時よりもフォロワーが確実に増えてきて、コメントしてくれる人も増えてきたり、インスタライブで色々な方とコラボして反響をもらったりしています。
8月21日に開催されるビッグイベント「オールよこはま気候フェス」への意気込みを聞かせてください!
理恵子さん:横浜が気候変動対策の先進都市になるよう、できるだけ多くの方に来ていただきたいです!横浜は日本を変えられると思っています!
美奈さん:横浜に住む環境に関心のある方々がつながる良い機会になると思っています。「ポテンシャルあるじゃん、横浜」と希望を感じていただけるとうれしいです!
「オールよこはま気候フェス」
くらしからの脱炭素に取り組む横浜市民や横浜で企業活動されている方々のお話しを聞いて、いっしょにゼロカーボンな横浜を考えましょう、つくりましょう。とくに、横浜在住、在勤、在学のみなさま、ぜひご参加ください!
日時:2022 年 8 月 21 日 (日) 14:00~16:00 (開場:13:45)
場所:オンラインとオフラインのハイブリッド開催 オフライン会場:belle関内601号室(神奈川県横浜市中区蓬莱町1-1-3 関内駅徒歩1分)
参加費:無料
☆16:15より気候マーチを開始
自分が住む街で一緒に活動する仲間を見つけたい!と思った方は、ぜひまずは「ゼロエミッションを実現する会」に参加してください。