世界を変えるために自分が変わる
2030年までに温室効果ガス排出量を半減できれば、いま以上の気候危機を抑えることができるかもしれない。そのために、二酸化炭素の総排出量のおよそ4分の1を占める運輸部門を変えようと、グリーンピースは大手自動車メーカーにビジネスモデルの転換を求めています。 いま、気候危機に日々向き合っている人はどんなことを感じているのでしょうか。 今回は、石川県で農薬も化学肥料も使用しない自然農法で、お米や果物、野菜を栽培している元屋さんにお話を伺いました。 |
気候変動の農業への影響

やっぱり夏が暑くなって、雨が降らなくなったなっていう感じはありますね。
旱魃になって豪雨が降って、旱魃になって豪雨が降って、というパターンが多いので、作物の生育にとって非常に厳しくなってきていると思います。
田んぼは、前はほどほどに雨が降ってたんだけど、雨が降らなくなっちゃうと、(田んぼの水の状態を)こまめに見にくるっていうことは必要になったかな。
だから簡単に水を引けない畑なんか、本当に水やりだけで夏の仕事がおわっちゃう。雨が降らないから作付できないとか、やったけど全然収穫できないとか、夏の終わりぐらいから雨が急に降り出してきて、ゲリラ豪雨で水害になって、そのせいで畑に入れなくて秋の作付ができないって人もいます。
秋野菜は難しくなりましたね。15年ほど前はお盆過ぎに大根や白菜のタネをまく、という感じでしたが、今は9月に入ってからくらいでも厳しいです。
じわじわやりにくくなってるな、とは感じるんです。梨なんかは、ちょうど夏に球が太ったり収穫時期を迎えるんで、ダイレクトに影響を受けてますね。

害獣被害ではこの辺にはイノシシが出ます。
(竹林があるから)タケノコもあるからね。天敵がいないからもう増え放題ですよね。15年前にはここら辺にはいなかったんです。増え出したのは10年ぐらい前からですね。(能登半島の)南の方から上がってきて。
それが気候変動に関係あるかどうかはちょっとわかんないですけど、冬の雪が減ったっていうのは一つあるかなと思います。
化学肥料から放出される亜酸化窒素の温室効果は二酸化炭素のおよそ300倍
温室効果ガスの話でいえば、農業の分野では、投入している化学肥料の施肥効率(一般に、施肥された養分が作物によって吸収される割合)は4割程度で、残りは環境中に放出されて、そのうち数%が亜酸化窒素に変化してるっていう話は、よく自然栽培の界隈でいわれてることなんです。(*亜酸化窒素の温室効果は二酸化炭素のおよそ300倍)
年々増加し続ける亜酸化窒素の発生源の6割が農業分野だそうですが、化学肥料由来はそのうち3割と評価されているようです。
まずその対策をやったらいいかなと思います。農業も良くなるし、温暖化対策にもなって一石二鳥だからそれが一番わかりやすい。化学肥料をやめるっていうことはそんなに大変じゃないんじゃないかなと思います。有機農業やってる人はいくらもいるからそれを広げていけばいい。

化学肥料も高くなってきたし、全部やめればそれだけで温室効果にだいぶインパクトがあるかなと思います。何年までに(段階的に)何パーセント増やしていくみたいな、実効的な制度がいりますね。
化学肥料をやめて有機肥料に変えるとなると、病害虫だとか大変な問題が出てくると思うんですけど、「本当に必要」ってなればやればいいかなって気がします。
自然栽培にこだわる理由と環境保護
まあ単純にやりたいからやってるっていうだけなんです。やっぱり魅力を感じるしね。自然の生業(なりわい)っていうやつの中で、自分たちの食べるものができてくれば何の心配もないと思うんです。究極の安心安全っていう。
自然栽培への取組み、できる範囲で自給自足ということが全ての解決に繋がると信じてやっています。田舎に来ればわかると思うんですけど、田舎暮らしってすごく自然に近いし、環境負荷も少ないし、みんなこういう暮らしをすればいいのになあって、単純に思います。自然の中で楽しく暮らした方がいいよって。最高ですよ。

自然と触れあっていると生き甲斐を感じる。すごく安心して穏やかに暮らせる。ぜひ皆さんもって感じですね。
政府には、小水力発電や小規模風力発電、小規模太陽光発電などを推進してもらいたい。我が家では2年ほど前に200Wの太陽光パネルを購入して、ノートパソコンやスマホの充電だけでなく、晴れた日の昼間は電気が余るので、冷蔵庫の給電にも使っています。いろいろ勉強して工夫するのは楽しいですよ。
元屋さんはグリーンピースのサポーター
政府や企業の暴走を抑制するためには、市民の声を集めて力にする、そういう働きかけが必要。自分には出来ないことをやってくれているのが、グリーンピースを応援する理由のひとつです。
利益や利権、欲に囚われた人々にはこの問題は解決できないと思います。
世界を変えるにはまず自分が変わること。一人ひとりの行動が変わった結果、世界は変わるのでは。(了)
グリーンピースといっしょに、自動車産業をサステナブルに
年を追うごとに激化する異常気象の原因のひとつは、気候変動にあります。
近年、急激に進行し気候危機とまで呼ばれる段階にまで進んだのは、人間の経済活動が排出する膨大な温室効果ガスが引き起こす地球温暖化です。
温室効果ガスのうち二酸化炭素の4分の1を排出しているのが運輸部門。その中で、日本の基幹産業でもある自動車産業が変われば、世界中の自動車業界が変わります。
走行時に温室効果ガスを排出するガソリン車から、より環境負荷の低い電気自動車に転換するだけでなく、販売台数に依存した産業形態を、安全な移動サービスの提供を中心としたビジネスに変えていく「バージョンアップ」を、グリーンピースは提案しています。
あなたも今日、声を届けてください。