アートを通して気候変動を考える「HELP展」を開催「30年後に日本から失われてしまうかもしれないもの」
この投稿を読むとわかること
グリーンピースは、2023年11月17日(金)〜 26日(日)の期間、東京青山、 LIGHT BOX STUDIO AOYAMAにて、日本の気候変動を感じる来場者参加型のアート展「HELP展 〜30年後には消えてしまうかもしれない〜」を開催しました。多様な作家や文化人とコラボレーションし、主に気候変動が原因で30年後に日本から失われてしまうことが予想される生物や文化の中からいくつかのテーマに焦点をあてた作品を、可能な限り持続可能な方法で展示しました。
気候変動を体感するアート展開催
グリーンピース・ジャパンは、11月17日から11月26日までの期間、日本における気候変動の影響をアートを通じて感じる展覧会「HELP展 〜30年後には消えてしまうかもしれない〜」を開催しました。
多様な作家や文化人とコラボレーションし、主に気候変動が原因で30年後に日本から失われてしまうことが予想される生物や文化の中からいくつかのテーマに焦点をあてた作品を、可能な限り持続可能な方法で展示。会期中の来場者数は750人にのぼり、大きな反響を呼びました。
サステナブルな展示方法を模索して行われた試みとして、展示物や什器を希望者が会期終了後に持ち帰ることができるよう企画されました。結果的に会場造作62個中59個の品に引き取り手がつき、資源を無駄にしない新しい展示会の形を示すことに成功しています。
現在、会場で展示された2つの動画作品(「御渡り」「昆布」)が、オンラインで公開されていますので、ぜひチェックしてみてください。
五感で感じる展覧会、グリーンピースの「HELP展」
日本における気候変動の影響をアートを通じて感じる展覧会として計画された「HELP展」では、主に気候変動が原因で30年後に日本から失われてしまうことが予想される生物や文化の中からいくつかのテーマをピックアップした展示が行われました。
ぬいぐるみ作家の片岡メリヤスさん、八劔神社宮司の宮坂清さん、料理研究家の土井善晴さんら多様な作家、文化人たちと協力して実現した、日本に迫る気候危機を五感で「感じられる」展覧会です。
企画にクリエイティブユニットHAKUAが参加して1年かけて準備を行い、告知などにパタゴニア日本支社の協力を得るなど、グリーンピース・ジャパンとしてもこれまでにない画期的な試みでした。
「HELP展 」のようす
片岡メリヤスさんのぬいぐるみ「動物からのHELP」、なくなってしまう可能性に応じて寿司ネタの透明度を変化させたオブジェ「寿司からのHELP」、日本の出汁文化に欠かせない昆布を通して気候について料理研究家の土井善晴さんにお話を聞いた「昆布からのHELP」、東京にも迫る海面上昇の影響を考えるサンドアート「東京からのHELP」など。
ぜひ写真を通して趣向を凝らした展示の一部をお楽しみください。
気候変動を自分ごとにするアート
会期中の来場者数は750人以上にのぼり、多数のメディアに紹介されるなど大きな反響を呼びました。大手メディアや環境系の媒体だけでなく、アートやライフスタイル系の媒体にも掲載されています。
来場者には「気候変動とアート」という切り口に興味をひかれた方が多く、口コミで広がり、リピート訪問も多くありました。
気候変動について知っている方だけでなく、よく知らなかったという方もたくさん来場され、アンケート結果では、「HELP展で、気候変動の影響がどのような形で日本にやってくるかを感じることができたか」という問いに、6割が「とても感じた」と回答。79%以上の方が「HELP展を体験して、気候変動について自分にできる行動を探したい」と回答するなど、多くの方にとって、気候変動を自分ごととして考える機会となりました。
アンケートやSNS上では以下のような声が寄せられています。
「気候変動って、自分には関係のない話だと思っていたけれど、身近にあるものがなくなると知って、身近に感じどうにかしようと思った」
「鑑賞者参加型の展示は一人一人が当事者意識を持つことができ、素晴らしいと思いました」
「なかまがたくさんいることを知れたし、あかるいきもちになった」
「変わらなければならないけれど、今の生活を手放さなくてはいけないことに難しさを感じました」
「自分が欲しいものを持ち帰ることができるのが面白いと思いました!!」
「全国の小学校や中学校でも実施してほしいような展示でした。ありがとうございました」
「環境知識のない祖父母も分かりやすく、楽しい展示でした! 老若男女問わず参加しやすい雰囲気で楽しかったです!」
「イエローサンダーバードの「私がなんか悪いことしました?」の言葉がグッと刺さった。地球は人間だけのものではないから、自分たちだけが快適になるようにするのではなく、周りの環境との共生を考えなければならない。小さなことでもできることからコツコツと」
「手紙の名前が書いてあるの嬉しかったです」
展示品のリユースや擬似募金体験などの参加型企画
HELP展では、気候変動をより身近に、そして自分ごととして考えることができるように、さまざまな参加企画を実施しました。
① 展示品や会場造作の持ち帰りで、展示会リユースの社会実験へ参加
展示方法をできる限りシンプルにし、資材を極力減らした上で、展示品を含む会場造作を持ち帰りできるリユースの実験を行いました。その結果、62個中59個の品に引き取り手がつき、資源を無駄にしない新しい「リユース型の展示会」の形を示すことができました。
持ち帰り希望の方にはリユースのアイデアを記入いただき、101ものアイデアが集まっています。それもあわせて展示することで、リユース方法をみんなでシェアする共創型の展示方法にも好評の声が多く集まりました。
② 助けたいと思ったものへの擬似募金体験
HELP展の受付で、来場者はオリジナルコインを手渡されます。コインを持って展示を鑑賞し、最後に助けたいと思ったものの募金箱へコインを投入するという企画です。
募金したものから、「ペンプロッター」によって、その場で執筆・出力されたお礼の手紙を受け取ることができる仕掛けが好評を博し、約600人の方が擬似募金体験に参加。
愛嬌のある文字と内容で「うなぎ」や「マルハナバチ」、「東京」などから自分の名前宛の手紙が書き始められると、驚きの歓声があがり、週末などは順番待ちの列ができるほど、注目される企画となりました。
長野諏訪湖の「御渡り」、「海とプラと私たちの暮らし」トークイベント
会期中には2つのトークイベントが開催されました。
11月17日には、長野県の八劔神社宮司の宮坂清氏を招いたトークイベントが行われ、「気温の変化と御渡り」をテーマにしたお話をお聞きしました。
長野県の中部、諏訪盆地にひろがる諏訪湖には、「御神渡(おみわた)り、御渡(みわた)り」と呼ばれる完全結氷した湖の亀裂が迫り上がって湖面を横断する自然現象があります。かつては冬になると毎年見られていた御渡りですが、近年は温暖化が要因の一つとなって発生が激減。御渡りの神事を司る八劔神社の宮坂宮司と、グリーンピース事務局長サム・アネスリーが対談しました。
宮坂宮司の知識豊かなお話に来場者が耳を傾けます。対談の様子はHELP展公式サイトでご覧いただけます。
また、11月23日にはグリーンピースのプラスチックキャンペーンのアンバサダーを務めるモデルのNOMAさんとフォトグラファーのMARCOさんに「海とプラと私たちの暮らし」についてお話しを聞きました。
「海が大好き」という共通点で繋がるNOMAさんとMARCOさん、グリーンピースのスタッフが、プラスチック汚染を自分ごととしてとらえ、どう向き合うかをトーク。
和やかな空気の中で、自分たちにできることを知り、未来への希望を感じられる時間となりました。
HELP展が伝えたかったこと
一人ひとりの力は、決して小さくありません。HELPを通して、何かを感じていただけた方は、どんなに小さくてもいいので、ぜひ自分なりにできるアクションを起こしてみてください。
グリーンピース・ジャパンでは、そんな皆さまの想いや行動がビジネスや政治に届くためのサポートを行っています。たとえば以下のアクションがおすすめです。
わたしたちに今日できること
- 同じ関心をもつ人とつながる、地域とつながる(オンラインでも、直接でも:12/13にグリーンピース・ジャパンはオンラインイベントを開催します、よかったらのぞきに来てください)
- 自分の選挙区の政治家に行動を求める(気候変動政策にいちばん熱心な候補者に投票する。気になったら「ゼロエミ」をのぞいてみてください)
- お金を使うとき、自分が応援したいと思う商品やお店、サービスや理念を意識的に選ぶ(まずは、やりやすいところから。その選択したことを誰かにクチコミすると、次の誰かをそっと勇気づけるかも)
- 肉食を減らし、菜食中心にしてみる(1食から、週1回から、できるときだけでも)
- 使い捨てのごみを減らし、リユースを当たり前に(工夫してうまくいくと、ちょっと嬉しくなります)
- 食品ロスや生ごみを減らす(余った食品の持ちよりパーティーや、食品を寄付できるフードドライブなどいろいろあります。コンポストは、ベランダでできるもの、おしゃれなものも)
- 自宅や学校や職場の断熱をする(できるところから。断熱ワークショップもあります。夏涼しく、冬暖かくなり、光熱費の節約にもなります)
- 自然エネルギーの電力に切り替える(Power Shiftのウェブサイトが参考になります)
- 公共交通機関、徒歩、自転車での移動をふやす
- 車が必要なときは、シェアリングや電気自動車を選ぶ
- 飛行機の利用を減らす
- 銀行や投資先などを今ある生命をまもるために役立つものに変える(350.orgのウェブサイトが参考になります)
- NGOや市民グループの活動に参加する(グリーンピースにもぜひどうぞ)
今、この世界に当たり前のようにあるものたちがこの先も存在しつづけられるかどうかは、私たちの行動にかかっています。
HELP展で展示されたものは、30年後には地球上から消えてしまうことが予想されています。主な原因は、気候変動です。このまま環境負荷をかけつづければ、私たち人類もいずれ消えてしまうかもしれません。
「HELP」
声なきものたちの叫びに耳を傾け、よりよい地球の未来に向かって今この瞬間から動き出しましょう。人間にはきっとその力があるのですから。
グリーンピースは企業や政府からの財政支援を受けず、個人からの寄付によって活動しています。今回のアートで気候変動を伝える新しい試みも応援してくださる皆様なくしては、挑戦も難しいことでした。
サポーターの皆様とともに達成した革新的なアート展となりました。