2019年最新放射線調査:帰還困難区域を除染するということ
この投稿を読むとわかること


平均値は事故前の77.5倍
福島県浪江町の大堀地区で、労働者が作業をしていた「その場所」456地点で放射線を計測したところ、平均値は、毎時3.1マイクロシーベルト(注2)、最大値は毎時7マイクロシーベルトでした(それぞれ地表から1メートルの高さ: 表1参照)。 毎時3.1マイクロシーベルトは「その場所」に一日8時間、3日も働けば胸部レントゲンを受けるに相当する放射線線量です。また、平均値の毎時3.1マイクロシーベルトは事故前の放射線量(0.04マイクロシーベルト)の77.5倍です。 実際に除染をしている方々は、 3日ごとにレントゲンを受けるほどのリスクは説明されているのでしょうか?
「線量は知らされませんでした」元除染作業員 池田実さん
2014年に浪江町で除染作業をされていた池田実さんにお話を伺いました。 「その場の線量は知らされませんでした。簡易な線量計をつけますが、線量計では、その場の放射線レベルはわかりません。現場監督から教えてもらうこともありませんでした。それに、具体的にどう防護するかという細かい話はありませんでした」 作業前に受ける放射線防護のための「教育」も、3、4時間で、放射線のことよりも、仕事内容の説明が主だったそうです。さらに、支給されるのはサージカルマスクとゴムの手袋とヘルメットだけ。私服で作業し、靴も自分のものだったそうです。

国連からの声
こうした実態を、国連人権理事会が任命した特別報告者が憂慮しています。 有害廃棄物をめぐる人権状況を担当している特別報告者のバスクト・トゥンジャクさんは2018年6月、除染作業員についての情報を提供するよう日本政府に要請をしました(注3)。 被ばくリスクの軽減措置、適正な雇用プロセス、訓練の実施、下請け業者による人権侵害防止策について、日本政府に問い合わせをしたのです。 日本政府はこれに対し、- 被ばく管理のための規則がある。
- 業者に法令遵守を求めている。
