こんにちは。海洋生態系担当の小松原和恵です。
2月22日に開催された、世田谷の環境を考える市民連絡会の学習会でお話した、海のプラスチックごみの後編をお届けします。(前編はこちら)
多様化するプラスチック汚染
近年、新たに問題視されているのが、5mm以下のマイクロプラスチックです。
大きいプラスチックが海を漂っている間に砕けて細かくなったものも含まれます。
こちらの画像は、アメリカのチームが行った調査で、太平洋で釣ったRainbow Runner(ツムブリ)というお魚を船上でさばいたら、魚の胃袋から複数のマイクロプラスチックが見つかりました。
微生物や魚、海洋哺乳類などがプラスチックを誤食するなど海洋生態系への多大な影響があると言われてきましたが、これは、プラスチック汚染が巡りにめぐって、私たち人間の食卓に返ってくる可能性を示す、衝撃のニュースでした。
さらに最近問題視され、規制が始まっているのがマイクロビーズです。
1mm以下の超微細プラスチックで、肉眼では見えない程小さいものもあります。
下水処理施設のフィルターをくぐり抜けてしまい、海への流出を防ぐのが困難なのです。
パーソナルケア商品(歯磨き粉、洗顔料、ボディソープ、化粧品など)にスクラブ材やとろみを出すため等の目的で含まれています。
主要なマイクロビーズの種類
・ポリプロピレン(PP)
・ポリエチレン(PE)
・ポリエチレンテレフタラート(PET)
・ポリメチルメタクリレート/ポリメタクリル酸メチル(PMMA)
・ナイロン/ポリアミド(PA)
マイクロビーズはわかっているもので67種類あります。「Poly-ポリ」から始まる製品が該当します。[1]
あの大企業花王が、2016年末にマイクロビーズ代替完了!!
昨年、グリーンピース・東アジアの韓国オフィスが、世界のトップ30社のパーソナルケア企業へ、マイクロビーズの規制状況の調査を行いました。
そこで花王は、「2016年末までに代替材料に切り替える」と目標を発表していました[2]。
今年に入って進捗状況を確認をしたところ、「花王グループは、 2016年末までにすべて代替素材に切り替えました」との返答がありました。
これは、花王のホームページでも公開されています。[3]
世界のパーソナルケア市場で、第12位という同社のサプライチェーンの規模を考えると、これは海をプラスチック汚染からまもるための、大きな前進です。[4]
花王に続き、他の企業の取り組みが進むことを期待します。
また、企業の自主努力に任せるだけではなく、行政レベルできちんとした規制を引くことが、マイクロビーズから海をまもるために必要です。
海をまもるために日々のくらしでできること
マイクロビーズにNO!!
・マイクロビーズを含む商品は買わない。パーソナルケア製品を買う時に、製品表示を見てください。お気に入りの商品にマイクロビーズが入っていたら、企業に扱わないようにお願いしましょう。
もっと知りたい方は、下記のサイトを参考にしてどの製品にプラスチックが入っているのか見てみてください。
参考サイト
BEAT THE MICROBEAD(英語のみ)
化粧品の成分を教えてくれるサイト「美肌マニア」
マイクロビーズに関しては、代替の原料がすでに入手可能な状態で、もっとも解決するスピードが早い問題とも言われているんです!
プラスチックごみの少ないクリーンな社会は、すべての人に、そして地球にとってハッピーなこと!
まずは知ること。そして、周りの人にシェアすれば、さらにプラスチックごみが減ることにつながるでしょう。
一人ひとりの行動が重なって大きな力になります。
わたしたちの力で、海も人もハッピーな美しい海を守りましょう!
参考資料
[1]Beat the Microbead
[2] グリーンピース・ブログ
[3] 花王HPマイクロプラスチックビーズへの対応
[4]グリーンピース・東アジア韓国オフィス レポート”Global Cosmetics and Personal Care companies’ Microbead commitment ranking”