大寒波・豪雪が全国を襲い、世界を巻き込むエネルギー危機によって電気代の高騰を嘆く声が上がった1月。世界情勢や気候と私たちの暮らしが密接に関係していることが感じられた月でした。また、世界経済フォーラムのダボス会議が開催されたり、気候変動条約会議COP28の議長が選出されるなど、重要な国際政治・経済の動きもありました。

見逃せないニュースを振り返りながら、グリーンピースの活動の成果や進捗をご報告します。

▼この記事を読むとわかること

> 日本:川崎でも太陽光パネル設置義務化に「賛成」多数
> 日本:「原発は温暖化対策」政府が原発を推進する文書へのパブコメを募集
> ヨーロッパ:世界経済フォーラムのプライベートジェット問題
> ドイツ:炭鉱のために立ち退きを迫られる村人たち
> グローバル:石油会社のCEOが今年のCOP28の議長に
> グローバル:海底採掘による汚染の現場を公開
> 2023年も一緒にポジティブな変化を

日本:川崎でも太陽光パネル設置義務化に「賛成」多数

温暖化対策としてアメリカやEUではすでに屋根置きの太陽光パネルは義務化されている。東京都でも、2022年にパブリックコメントが実施されて、「賛成」が過半数となった。写真は福島県のコミュニティショップの屋根に設置される太陽光パネル(2016年1月)

東京都に続いて川崎市でも、太陽光パネル設置義務化についてのパブリックコメントで、「賛成」が「反対」を上回りました。グリーンピースが事務局を務める「ゼロエミッションを実現する会」がパブコメ提出を呼びかけ、NGOの仲間やたくさんの方々がパブコメを提出した成果が数字に表れ、川崎市では、3月議会に義務化を含む条例案が議論されることになりました。

日本:「原発は温暖化対策」政府が原発を推進する文書へのパブコメを募集

福井県にある関西電力の高浜原子力発電所。1、2号機は運転開始から40年を超え、3、4号機も30年を超えている(2016年3月)

エネルギー安全保障や温暖化対策を名目に、原発の寿命の延長や、原発の再稼働・新増設などを含む、原発推進の文書を日本政府が発表*1し、グリーンピースもパブリックコメントを提出しました。

原子力は事故や不正、裁判所命令などでよく停止する不安定な電源のため、エネルギー安定供給や温暖化対策にはならず、原発に依存し続けるのではなく、建築物の断熱や機器の省エネ推進、再生可能エネルギー拡大に力を入れることを求めました

ヨーロッパ:世界経済フォーラムのプライベートジェット問題

短距離のフライトを減らし、列車などの低炭素の輸送・交通手段へ切り替えることを求める意思表示として、グリーンピースとエクスティンクション・リベリオンが、アムステルダムのスキポール空港に集まり、プライベートジェットの離発着を停止させた(2022年11月)

世界経済フォーラムは、毎年スイスのダボスで開催される国際会議で、今年も1月に開催されました。問題は「気候変動とのたたかい」を目標に掲げているにもかかわらず、多くの参加者がプライベートジェットでダボスにやってくることです。

グリーンピースは、去年の世界経済フォーラム開催期間にダボス市に発着したプライベートジェットについて分析し、期間中ダボス市には1,040機のプライベートジェットが発着し、1週間の平均排出量の4倍のCO2を排出していたことが明らかになりました。その半分以上は、列車でも十分移動できる750キロ未満の短距離のフライトで(例えば、東京から岡山まで新幹線約730キロ)、最短のフライトはなんと21キロでした*2

ドイツ:炭鉱のために立ち退きを迫られる村人たち

ドイツ西部のリュッツェラート村で、炭鉱の拡大を止めるために反対し続けてきた村の住民たちは立ち退きを迫られている。地元住民を支援するため何千人もの人々が抗議活動を行った(2023年1月)

2022年、土壌に大量の褐炭(水分や不純物を多く含む低品質の石炭)を含むドイツ西部のリュッツェラート村において、ドイツ最大の電力会社RWEが褐炭の採掘を進めており、2年以上抗議を続けてきた住人たちは、立ち退きを余儀なくされています。 気候危機を回避するために二酸化炭素を大幅に削減しなければならない今、排出量の多い褐炭鉱山を開発しようとするドイツ政府に対し、1月の抗議活動には、環境活動家のグレタ・トゥーンベリさん含む何千人もの人々が集まりました*3

グリーンピースは引き続き、リュッツェラート村の住民の声が世界中に広く届くよう支援し、ドイツ政府へ気候変動対策を求めて働きかけていきます。

グローバル:石油会社のCEOが今年のCOP28の議長に

2023年第28回気候変動会議(COP28)は、アラブ首長国連邦の主催でドバイで開催される(出典:shutterstock)

今年の気候変動条約締約国会議(COP28)は、ドバイで開催されます。しかし主催者は、世界最大級の石油会社であるアブダビ国営石油会社(ADNOC)の最高経営責任者(CEO)を議長に指名しました。

気候変動の緩和のために、地球温暖化を1.5℃以内に抑えるというパリ協定で合意された目標に向かって話し合うための国際会議を、石油会社のCEOがリードするとは、非常に皮肉なことです。COP28では、石炭、石油、ガスを含むすべての化石燃料の段階的な廃止を妥協なく約束しなければなりません*4

グローバル:海底採掘による汚染の現場を公開

グリーンピースは、太平洋における深海鉱物探査の状況を調査・記録し続けています。2023年1月、カナダとスイスの企業による太平洋の深海鉱物の採掘で、海の生きものに害となる海底採掘の堆積物を直接海面に排出している現場を目撃・記録し、その事実が公表されていないことを明らかにしました*5

こうした調査報道はグリーンピースの強みで、これまでも放射性廃棄物の海洋投棄やファストファッション工場による化学物質汚染などを明るみに出してきました。

2023年も一緒にポジティブな変化を

グリーンピースが、政府や企業に対して、より責任ある行動、より持続可能な政策を求めていくために、エネルギーと支援を続けてくださる多くの方々に心から感謝いたします。 

2023年も、私たち自身のため、未来の世代のために、より安全で美しい地球環境を守る活動をぜひ見守り、一緒に行動してくださったら心強く思います。来月の「3分でわかる日本と世界の環境ニュース」もぜひご覧ください。

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