大雪で立ち往生する車

ここ数年でも類を見ないほど強い寒波が訪れました。各地で観測史上最も低い気温が更新され、路面凍結による車の衝突事故などが発生。雪のための通行止めも起こりました。
近年、豪雪による立ち往生や家屋倒壊などの被害が度々起こっています。「最強寒波」の襲来や、普段あまり雪が積もることのない地域での積雪もあり、「温暖化しているのではないの?」と不思議に思う人もいるのではないでしょうか。
大雪被害の増加と温暖化の相関が専門家によって指摘されています。温暖化と大雪の関係と、気象災害から私たちの暮らしを守るために今できることをまとめました。

▼この記事を読むとわかること

> 地球温暖化と大雪はどう関係している?
> 全国の年間降雪量は減少している
> 雪の降り方だけじゃない 地球を蝕む気温上昇
> 今できることをしよう

地球温暖化と大雪はどう関係している?

10年に一度レベルといわれるほどの非常に厳しい寒さが訪れました。寒気のピークは1月24日(火)の夜頃から25日(水)にかけてとなり、雪雲が日本海だけに留まらずに太平洋側まで広がったことで、いつもはあまり雪が降らない地域にも積雪が。全国の広い範囲で郵便物などの配達に遅れが出ています。

温暖化が騒がれる中、厳しい寒さや大雪に見舞われる場所が増えているのはなぜなのでしょうか。

車の雪かきをする人

大気中の水蒸気量が増えることで、豪雨や台風で降雨量が増加するのと同じように大雪も起こりやすくなるということが雪が増える基本的な仕組みです*1

例えば、2020年12月に関越自動車道の立ち往生などを引き起こした日本海側の大雪について、気象庁は、日本海の海面水温が平年より1~2度高かったことで、多量の水蒸気を含んだ大気が強い寒気となって日本列島に近づいたことが原因であると指摘していました*2

ラニーニャ現象とエルニーニョ現象も大雪の一因と考えられています*3。エルニーニョ現象とは太平洋の赤道域、日付変更線付近から南米沿岸にかけての海面水温が平年より高くなった状態が1年程続く現象のこと。そして反対に、同じ海域で海面水温が平年より下がる状態が続く現象をラニーニャ現象と呼び、それらは数年おき、交互に発生します。

ラニーニャ現象とエルニーニョ現象自体は自然な気象現象ですが、温暖化はこれらを極端にしてしまい、またその頻度も増やすといわれています。

極端なラニーニャ現象とエルニーニョ現象は、世界中で異常な天候の引き金となり得ると考えられ、日本でもラニーニャ現象の影響で、激しい寒気の訪れや、降雪量の増加が引き起こされる可能性があるのです*4,5

全国の年間降雪量は減少している

短時間に大量に降る雪を「ドカ雪」と言いますが、ドカ雪は孤立や立ち往生のリスク、雪かきの負担など、暮らしに思わぬ危険をもたらします。積雪への準備のない四国や九州といった温暖な地域に急な雪が降ることは被害をより深刻なものにする可能性を高めるでしょう。

急に降る大雪は立ち往生の危険を高める。雪の中を走る車
近年、予想外の大雪による車の立ち往生が増えています。
車内の備えやガソリンの補給、不要不急の外出を避けるなどの対策が必要です。

全国的な降雪量の平年値※を見ると、2021年に更新された平年値は、これまでの平年値と比べ、多くの地点で減少していて、中には30%以上少なくなっていた地点もありました。

世界でもっとも雪深い都市とされる青森市を擁する青森県内でも2020年の年間降雪量の平年値が2010年の平年値と比べて減っていることがわかります。

気象庁「平年値」の紹介より
「青森県内の気象官署及び特別地域気象観測における年降雪量の平年値の新旧比較グラフ」
気象庁「平年値」の紹介より
「青森県内の気象官署及び特別地域気象観測における年降雪量の平年値の新旧比較グラフ」
(※平年値:30年間分の気象データについて算出した平均値で、10年ごとに更新される)

気象庁は、対策を取らずに20世紀末から気温が約4度上昇すると、北海道の一部を除く日本中で積雪量が約7割減ると予測しています*6

雪不足で山肌が露出してしまったスキー場
雪不足で山肌が露出してしまったスキー場 shutterstock

その一方、1日の降雪量の平均値は増えており、一気に降る雪が頻繁になっていることがわかります*4

一年に降る雪の総量は全国的に減っていますが、短期間で一気に降る被害に繋がりやすい危険な振り方の雪は増えてしまっている、つまり雪不足と雪被害が同時に起こる可能性があるのです。

雪の降り方だけじゃない 地球を蝕む気温上昇

産業革命以降、化石燃料を燃やしてCO2を大量に排出するようになってから現在までに、すでに地球の平均気温は1.2度上昇してしまいました*7 。地球温暖化を止めるための国際協定「パリ協定」では、これ以上の悪化を抑えるために、気温上昇を1.5度未満にとどめるための行動を各国に求めています。

地球全体の気候が温暖化によって大きく変わり、私たち人間の暮らしや動物たちの命を脅かすようになってきたため、「気候変動」や「気候危機」とも言われます。

雪に関わることだけでも、ドカ雪による立ち往生や家屋の倒壊などの被害と同時に、降雪量の減少で経営が立ち行かなくなったスキー場や*8、雪解け水の減少で作付けに影響を受けている農家さんの話も聞こえてきます*9

たった1度の気温上昇によって、すでに私たちの暮らしや生態系に深刻な影響が出ているのです。

北極や南極では氷が溶け、シロクマなどの北極圏の動物たちは絶滅の危機に瀕し、海水温が上昇することで、サンゴ礁の白化現象が進んでいます。

北極だけに暮らすシロクマ。氷が溶けることで、エサの確保や繁殖が困難に
グリーンピースのチームが、急速に変化する北極圏を記録するために、
スヴァールバル諸島を訪れて撮影したシロクマ。(2016年4月)

干ばつによって、オーストラリアの雑木林の火災が広がり、コアラを含む30億匹もの野生の命が奪われました*10

アメリカ西海岸のカリフォルニア州やオレゴン州でも、前例のない規模での山火事が広がりました*11

オーストラリアの山火事から救い出されたコアラ
山火事からレスキューされ、野生にかえるためにリハビリを受けるコアラ。
オーストラリア、クイーンズランド(2020年7月)

豪雨災害も深刻化しています。専門家によれば、1度上昇するごとに、大気中の水蒸気が7%増え、梅雨前線や台風が大気中の水蒸気を取り込み、集中豪雨を発生させるリスクが高まります

今できることをしよう

すでに多くの被害や影響が出ているにもかかわらず、このまま1.5度から2度まで気温が上昇した世界では、次の世代の子どもたちが見る地球は一体どのようになっているでしょうか。健康的に安心して暮らせる地球を未来の子どもにバトンタッチするため、私たちにできることを今から始めましょう。

豪雪や豪雨の被害、地球温暖化がもたらす影響を食い止めるためのあらゆる行動は、命を守るためのアクションです。

IPCC(気候変動に関する政府間パネル)は、気温上昇を1.5度までに抑えるためには、2050年までに必ずCO2の排出を実質ゼロにしなければならないと明言しています。

日本政府は、2020年10月に、2050年までのCO2排出実質ゼロを宣言し、ようやくスタート地点に立ちました。今すぐに実現しなければいけないのは、CO2を最も多く排出する発電方法の、石炭火力発電をやめ、再生可能エネルギー100%を目指すことです。

屋根のうえに設置される太陽光パネル
グリーンピースが福島県の地元コミュニティと共に立ち上げた「ソラライズ福島」プロジェクトで
設置された太陽光パネル。福島県三春町(2016年1月)

家やお店、オフィスなどで使う電力は意外に簡単に再生可能エネルギー100%に変えることが可能です。電気代を再生可能エネルギーの応援に使うことで、私たちの選択をより未来に優しい発電方法への投票に変えることができます。

パワーシフト:未来を作る電気の作り方

上記サイトから、お住まいの地域で再生可能エネルギー100%の電気を提供する、または100%を目指す電力会社を探してみてください。

CO2を蓄えることで地球の気温を安定させている森や海を守り、回復させることも重要です。グリーンピースは、世界55の国と地域で活動する国際的なネットワークを活かして、世界の海の30%を保護区にして開発から守る国際条約を実現するために各国政府や国連への働きかけを続けています。また、アマゾンの森を開発から守るために行っている政府への働きかけも大切な取り組みの一つ。

毎日の暮らしのなかでできる環境に優しいアクションに加えて、社会の仕組みをよりサステナブルに変えるため、一緒に行動しませんか?

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