[Next100 PROJECT – スタッフVoice vol.1]
グリーンピース・ジャパンのスタッフ、⼀⼈ひとりの考えや今までの背景を紐解き、新たなビジョンとして策定した「地球の恵みを、100 年先の⼦どもたちに届ける。」への想い、NEXT 100 PROJECT に取り組む意義をご紹介します。 初回は、グリーンピース・ジャパン事務局長サム・アネスリーのインタビューをお届けします。

サム・アネスリー(グリーンピース・ジャパン事務局長) 
1982年12⽉3⽇、イギリス北アイルランド生まれ。17歳の時、高等学校の交換留学で1年間岡⼭県に滞在。その後英ケンブリッジ大学で日本語を専攻し、その間三重県皇學館⼤学で1年間神道学を学ぶ。 大学卒業後、南米やヨーロッパでの教育経験を経て、2007 年に日本へ。以来11年間、NGO「ピースボート」や親を亡くした⼦どもたちを支援する「あしなが育英会」、自殺予防に取り組むNPO「東京英語いのちの電話」の事務局長を経て2018 年12月より現職。趣味は山登り、スキューバダイビング、サイクリングなど自然の中で過ごすこと。好きな場所は南アルプスの甲斐駒ケ岳、八丈島など。
© Greenpeace/Naoki Hirabayashi

常に成果を出してきた、「行動するNGO」。
100年後の子どもたちに笑われないために

1971年、アメリカの核実験を止めるための活動を発端に誕生したグリーンピース。以来50年、55以上の国と地域へと活動を広げ、科学的根拠に基づいた確度の高い提案と現場主義を軸に、環境問題の解決に取り組んできました日本事務所のグリーンピース・ジャパンは、32年前に活動を開始。世界のグリーンピースメンバーとグローバルに連携しながら、日本国内で想いを同じくする人々とともに、気候変動や原発の問題に取り組んできました。

グリーンピース・ジャパン事務局長のサム・アネスリーは、これまでの活動を振り返り、「私たちは常に、科学的な調査に基づいて行動し、そして結果を出してきました」と語ります。

「グリーンピースは企業や政府からの寄付金を一切受け取りません。どんな組織にも束縛されず中立だからこそ、調査・研究に基づいて気付いたことがあればすぐ、必ず動く。私たちが世界の300万人から支援していただけているのは、結果を出し、評価されていることの証しです」

グリーンピースは、NGOが持つことのできる最高の資格とも言われる、国連の「総合協議資格」を持ちます。これは、国連の各種委員会や国連主催の会議にオブザーバーとして参加し、発言することができる資格です。グリーンピースはこれまで、数多くの会議や作業に参加して国連に貢献し、評価されてきました。

「グリーンピース・ジャパンの行動指針は『動く・声をあげる・連帯する』こと。私たちが動き、声をあげることで、小さくとも大事な声を世界に伝え、国連や他国と連帯して問題の解決を行っています。例えば2017年には、国連人権理事会の会議に、原発事故被害者のお母さんといっしょに出席し、当事者の声を直接届けるサポートを行いました(※)。複数の国が日本政府へ、原発事故当事者の権利を守るよう意見を表明した是正勧告に、当事者の声を添えることで、より強く訴えることができたと思います」

スイス・ジュネーブの国連欧州本部前、2017年10月12 日。

国際社会に認められたNGOとして、着実に成果を積み上げてきたグリーンピース。設立50周年を迎えた今年、グリーンピース・ジャパンは、新たなビジョン「地球の恵みを、100年先の子どもたちに届ける。」を策定しました。そして、このビジョンを実現するため、「NEXT 100 PROJECT」として、イベントや情報発信に取り組んでいます。

「気候変動って本当にあるの?そう疑問に思っている方も多くいると思います。目に見えない変化を感じ取ることは難しく、当然の反応です。ですがこの数年、異常気象の頻度が増え、規模も大きくなり、日本国内でも気候変動を肌で感じる機会が増えました。科学も進歩した今は、気候変動と地球温暖化の関係、温暖化の原因を、理論や数値で認識できています。目に見える確かな根拠が増えた今、動かないほうがおかしいと思いませんか。これだけの根拠があるのに何もしなかったら、100年後の教科書に、私たちはどう描かれるでしょう?きっと愚かな時代の人々として、100年後の子どもたちに笑われるでしょう。未来のために、今日から動く強い決意を、このビジョンに込めています」

※ 2017年10月、スイス・ジュネーブで行われた国連人権理事会の普遍的・定期的審査(UPR)事前セッションに、東電福島第一原発事故被害者の女性とともに出席。被害者の現状を訴えた。UPRとは、人権理事会の創設に伴い,国連加盟国全ての国の人権状況を普遍的に審査する枠組みとして盛り込まれた制度で、1年に3回定期審査の作業部会が開かれ、人権理事会理事国3カ国が被審査国の報告国となる。

紛争中の北アイルランドに生まれ、刻まれた命への想い
全ての命を守ることが人間の命を守ることにつながる

「私は、グリーンピースが取り組んでいるのは、命を守る活動なのだと思っています。地球を守ること、そこに住まうたくさんの生きものたちを守ることは、結果的に、人間を、自分自身の命を守ることにつながっています。地球がなければ、生きていけない。空気、水、穀物、野菜や果物……自然からの恵みがなければ、命をつなぐことはできない。

© Greenpeace/Naoki Hirabayashi

命は何物にも代えられない尊いものーーこの想いの源泉は、サムの幼少期にあります。サムの母国・北アイルランドは、イギリスとアイルランドの間で揺れ動き続けてきた歴史を持つ土地です。サムが生まれた1982年当時、国内は内戦に近い状態。中学生の時には、学校に爆弾が仕掛けられ避難したこともあったといいます。生死はいつも間近にあり、少年の心には、命の儚さとともにその尊さが刻まれていきました。来日してからは、東日本大震災の復興支援や「いのちの電話」などの職務を通じ、命への想いを深めていきます。そして2018年、グリーンピース事務局長に就任したサムは、あらゆる人に目を向け、活動を提案することを目指してきました。

「地球を守ることは命を守ること。とは言え、食べるだけ精一杯という方々に対し、コストがかかっても自然エネルギーを選びましょう、と言うことはできません。でも、例えばお肉の量を減らしましょう、と提案をすることはできます。お肉を減らせば節約になるし、環境にも配慮できます。お金がなくても、誰にでもできる活動にしていかなければ、広がりはないと思っています」

来日してからずっと、サムは日本の自然の豊かさと美しさに魅了されてきました。趣味は山登り。「日本百名山を踏破するのが夢。もうアラフォーだから難しいかもしれないけど」と笑います。日々の生活に追われていると、自分と家族以外の命に無頓着になり、とくに人間以外の生きものや自然に想いを馳せる機会は失われがちです。サムは日本に住む人たちに、散歩でもいいから外に出て自然に触れてほしい、と語ります。自然を美しいと思う気持ちは、それを守りたいという想いへとつながっていくはずだからです。

「美しい山を見ると、拝みたい気持ちがふつふつと湧いてきます。私は、そんな素直な気持ちを大切に活動しているだけなんですよ。自然の中にいると落ち着く、と感じる方は、きっと多くいるはずです。私自身、いじめにあっていた子どもの頃は、自然の中で過ごすことだけが安らぎでした。昨今の登山ブームやキャンプブームも、多くの人が自然を求めている現れのように思えます」

しかし、日本社会は長らく、豊かな自然に目もくれず、モノを豊かさの指標としてきたのかもしれません。果たして、今の日本社会は豊かといえるのか。資本主義に傾倒しすぎた歪みが、自殺者の多さや幸福度の低さに現れてはいないかと、サムは問いかけます。

「経済は全てではありません。今、会社のためにではなく、社会のために動く人が必要です。多くの方に、会社人から社会人へと、自分の考え方を変更していただきたいと願っています。新型コロナウイルスによって、満員電車で通勤し、自分の心に一致しない仕事をする、そんな人生でいいのかと疑問を抱き始めた方も多いはずです。今ここから、これからの新しい人生を、生き始めてほしいと思っています」

科学的根拠に基づき、あるべき未来を手繰り寄せる
グリーンピースの役割は、新しい当たり前を作つくること

今や気候変動の問題が国際社会の最優先事項として議論が進み、日本社会でも脱炭素社会の実現やSDGsの達成に向けた動きが活発になってきました。サムは現代を「たくさんのことが変わろうとしているエキサイティングな時代」と評します。

「今私たちは転換点にいて、今動けば、温暖化を遅らせ、気候変動に歯止めをかけることができる。私たちグリーンピースの役割は、調査と科学的根拠に基づいて、あるべき未来を提示し、その未来を実現することにあります。私たちは、政府や企業に対して、あるべき未来を実現するための新しい制度やサービス、商品をつくっていきましょうと働きかけています。次世代の新しい価値を持つ商品は、企業にとってビジネスチャンスでもあります。利益の追求に相反するものではないんです」

© Greenpeace/Naoki Hirabayashi

実際に、これまで多くの企業がグリーンピースと協働し、業績を上げてきました。自然エネルギー100%のデータセンターを実現したアップル社、有害化学物質を廃止したファーストリテイリング社。こうした取り組みは企業の新しい価値になり、消費者から歓迎され、利益の拡大につながっています。

「例えば、オゾン層破壊物質のフロンが冷蔵庫に当たり前に使われていた頃、国際的課題となる前から、グリーンピース・ジャパンは調査に基づいてこの問題を取り上げ、日本企業に働きかけを行っていました。結果として、国際社会を先取りして脱フロンを実現することができました。社会よりも早く問題を察知し、動いているのがグリーンピースです。私たちの使命は、未来への視座を提供し、新しい当たり前を作っていくこと。自然資源がたっぷりあり、どんどん資源を消費してお金を回していく時代はもう終わったのです。各分野で、環境に負荷をかけないための技術は次々に開発されていて、私たちは選ぶことができます。新しい生き方・暮らし方に変えていく時は、今なんです」

サムは、温暖化を止め、未来の人々に美しい自然を手渡すことは、必ずできると確信しています。今この時を、100年後の子どもたちに誇れる時代にするために。グリーンピース・ジャパンは新ビジョンのもと、企業、政府、たくさんの方と協働し、あるべき未来を実現していきます。

[Next100 PROJECT – スタッフVoice]
vol.1グリーンピース・ジャパン事務局長、サム・アネスリー
vol.2コミュニティアウトリーチ担当、儀同千弥
vol.3気候変動・エネルギー担当、ダニエル・リード
vol.4プラスチックキャンペーンプロジェクトリード、大館弘昌
vol.5気候変動・エネルギー担当、鈴木かずえ
vol.6オンラインコンテンツコーディネーター、林恵美
vol.7プログラム部長 高田久代

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