グリーンピース・ジャパンのプログラム部にて、コミュニティアウトリーチキャンペーナーを務めるR・Mさん。これまで外資系アウトドアアパレル会社に16年ほど勤務し、経済活動と環境キャンペーンの両輪に携わってきた彼が、次のステップとして非営利セクターを選んだ理由とは?
転職のきっかけや現在の仕事のやりがい、組織の実際の雰囲気についてお話を伺いました。

バックパッカーと青年海外協力隊の経験。学生時代から一貫していた環境社会問題への軸

R・Mさんのキャリアの根底には、学生時代から一貫した「環境・社会問題への関心」があります。大学卒業後、バックパッカーとして中南米やアフリカ、南アジアを巡るなか、貧困と環境破壊を目の当たりにしことが行動を起こすきっかけとなりました。

その後、青年海外協力隊として中米のニカラグア共和国へ赴任し、ストリートチルドレンの保護活動などに携わり、帰国後は環境や社会貢献活動にも注力する外資系アウトドアアパレル企業で16年ほど勤務しました。

同社では、製品販売というビジネスに携わる一方で、企業の環境キャンペーンにも関わり、経済活動と環境活動の両輪で仕事をすることができました。個人としてフェアトレードや子どもたちとのアート活動も続けてきたR・Mさんですが、関心の軸は次第に「気候変動」へと移っていきます。

「気候変動に国境はなく、よその国の問題ではありません。次の世代の将来に確実に、そして深刻に関わってくる問題です。毎年のように起こる自然災害や夏の猛暑を肌で感じるうちに、これは本当にいま取り組まなければいけない喫緊の課題だと強く感じるようになりました」

経済活動を離れ、100%の力で環境問題に取り組みたい

喫緊の課題に対して、もっと直接的に自分の時間を使いたい。それが叶えられるのが、非営利団体だった

前職でも環境活動に注力していましたが、ビジネスである以上、製品の販売やカスタマーサービスといった経済活動のウェイトも当然大きくなります。すべてを環境活動や気候変動問題に充てられるわけではなく、100%環境のことだけに集中できているわけではない、というもどかしさがありました。

環境問題に対してクリエイティブなアプローチができて、コミュニティづくりに関わる仕事がないかと、妥協せずに探し続けて出会ったのが、グリーンピースの「コミュニティアウトリーチキャンペーナー」というポジションでした。

「この募集を見つけた時は、『ああ、ここにあった』という感覚だった」と言います。

「コミュニティ・アウトリーチ・キャンペーナー」というポジションについて

このポジションの役割は、グリーンピースが展開するキャンペーン(環境プロジェクト)の目的に沿って「仲間を増やしていく」こと。地域コミュニティや他団体(NGO等含む)、そしてボランティアの皆さんがつながり、一緒に活動する場をつくり上げて支援します。

主な業務は組織内外の関係者とのネットワーキング、ボランティアのコーディネート、そしてイベントの企画・運営管理です。具体的には、各キャンペーンの初期段階からプロジェクトチームに入り、キャンペーナー、リサーチャー、アクションコーディネーターなどと連携します。どのイベントやネットワーキングをコミュニティアウトリーチが担当するか、などコンセンサスを丁寧に形成しながら相互に協力し合い、プロジェクトの目的達成をめざします。

キャンペーンだけでなく、ファンドレイジングチームとの協働イベントや、学校・学生への講義、環境教育を実施することもあります 。さらに、グリーンピース・ジャパンが事務局を務める「ゼロエミッションを実現する会」のサポート業務や、気候変動に取り組む環境団体が所属するネットワーク「ワタシのミライ」の実行委員としての業務など、多岐にわたるコミュニティとの連携を担っています。

実際に入職して感じたこと

市民団体や環境NGOとの協働が多かった前職時代に、グリーンピースの元スタッフの方と一緒に働く機会があり、その方からこの団体の話を聞いていました。

実際に入職してみて感じたのは、国際NGOということもあり、一般的な中小企業以上にしっかりとした組織基盤があり、安心して働ける環境が整っています。また、スタッフ全員が環境や地球の将来に対してパッションと愛情をもって仕事をしており、チームワークの良さも特徴の1つです。いろいろなNGOや外部団体とコラボレーションしながら活動を進めているので、組織の内外からとても良い刺激をもらっています!

働き方の面でも、リモートワークと出社のバランスがよく、働きやすい環境ですね。

1人ポジションだからこそ、密なコミュニケーションと優先順位づけを徹底

コミュニティ・アウトリーチの領域を一人で担当するR・Mさんは、複数のキャンペーンに同時に関わります。各キャンペーンで同時進行するスケジュールと、自身のキャパシティをどうコントロールしていくかが、この仕事の一番の難しさだと言います。

「時期によっては、それぞれのプロジェクトの重要な局面が重なってしまうこともあります 。そんな時は決して一人で抱え込まず、スケジュールや業務内容に関する相談を、キャンペーナーやチームメンバーと徹底して行うようにしています。 誰もが担当キャンペーンを前進させたいという強い思いを持っていますが、同時にとても思いやりがあるメンバーばかりです。

『今はこれが一番大切だから、ここに集中させてほしい』といった優先順位のコンセンサスを密なコミュニケーションによって擦り合わせることで、良いチームワークを保ちながら乗り越えています」

イベントでの出会いが次の「一歩」に。人の行動変容を直に実感できる瞬間

入職して1年を迎えたR・Mさんにとって、最も嬉しい瞬間は「イベントや勉強会の参加者が一歩踏み込んで行動を起こすきっかけを作れたとき」です 。

「4月開催された『アースデー東京』では、グリーンピースのキャンペーンを紹介するさまざまなコンテンツを展示し、来場者の方々と楽しく対話できたことが印象的でした。

ブースに立ち寄ってくれた方々のなかに「これまで何か環境活動をしたかったけれど、どうすればいいか分からなかった」という方も。「無理のない範囲で大丈夫ですよ。自分の興味があることから、まずは一歩体験してみませんか?」とお伝えすると、その日に何名かがボランティア登録をしてくださり、翌月にはボランティア活動に早速参加していただけることになりました。自分の発信や対話が、誰かの新しい選択や行動にダイレクトに結びついたと実感できた瞬間でした。

1人のアクションは小さな結果に見えるかもしれませんが、こうした『一歩』を踏み出す人が増えていくことこそが、やがて大きな社会的ムーブメントへと繋がっていくのだと肌で感じています」

入職後のサポート(バディ・サポートプログラム)について

グリーンピースには新メンバーを支える仕組みとして「バディ・サポートプログラム」があり、R・Mさんも入職後の1年間、先輩スタッフがバディとして付き、並走してくれたそうです 。入職した当初は、右も左も分からず、誰に何を質問すればいいのかすら分からない状態。「そんな私を救ってくれたのがバディの存在です」

「月に1回『バディランチ』をしながら、団体の歴史や大切にしているバリュー、日々の細かい仕事上のオペレーションにいたるまで、本当にたくさんのことを教わりました。上司とはまた違う立場で、組織の基礎をじっくり学べるこの制度があったことは、自分の中で非常に大きかったです」

こうした制度だけでなく、オフィスにいれば上司以外のスタッフにも気軽に相談できたり、アドバイスを求められたりするような、オープンでフラットなメンターシップの空気が自然に流れていることも、働きやすさの理由だと語ります。

転職やキャリアに悩むあなたへ:同じ価値観を持つ仲間と出会う、小さな一歩から

最後に、環境問題やサステナビリティに関心があり、非営利セクターやNGOへの転職を考えているけれど、あと一歩を踏み出せないという方へのメッセージを聞きました。

「いきなり『転職』という大きな決断をしなくても大丈夫です 。まずは、仕事後や休日の空いた時間にボランティアとして参加してみたり、『ゼロエミッションを実現する会』などの市民向けプログラムに関わってみることから始めてみてください。小さな一歩を踏み出してそうした場に足を運ぶと、何より『同じ価値観を持つ人たちとの出会いが待っています。

『環境のために行動したいと思っているのは自分一人じゃないんだ』と実感できることは非常に心強いですし、同じ志を持つ仲間と協働することで、自分自身のモチベーションも自然と高まっていきます。無理をせず、自分にできることから少しずつ行動してみる。その体験の積み重ねが、今後のあなたのキャリアを具体的に描くための、何よりのチャンスになるはずです」