気候変動や環境問題のために「何かしたい」と考える人のためのアクションガイドです。第1回は「知ること」から始める入門編。知ることはアクションの大切な第一歩です。

記録的な暑さや豪雨による洪水。温暖化が進むにつれて、極端な気象が増え、その影響は私たちの暮らしや社会にも広がっています。

国連(国際連合、United Nations)のグテーレス事務総長が「地球沸騰化」と表現したように、深刻な気候変動が進んでいます。そんな中で、何かできることをしたいのに「何から始めれば?」と思い悩んでいませんか?

このアクションガイドは、気候変動や環境問題のために「何かしたい」と考える人のための全6回シリーズ。テーマごとに情報をわかりやすくまとめています。第1回は「知ること」から始める入門編。知ることはアクションの大切な第一歩です。

▶︎今すぐできる最も力強い気候アクションについて知る

「気候変動とは?」 基本的なこと

まずは気候変動とその問題について基本的なことを知ることからはじめましょう。何が起こっているのかを知ることで「どうしたらいいのか」が見えてきます。

気候変動とは

気温や気象のパターンが、長い期間にわたって変化する現象のことです。

気候変動には、太陽活動の変動や火山の噴火といった自然による要因と、人間の活動による要因があります。しかし、その中でも近年の急激な変化である気温の上昇「地球温暖化」は、主に人間の活動が原因です(IPCC第6次評価報告書)。

世界の気温変化 (1961~2010年の平均値に対する変化 [℃])
世界の気温変化 (1961~2010年の平均値に対する変化 [℃])
(出典:Graphics and lead scientist: Ed Hawkins, National Centre for Atmospheric Science, UoR. Data: Berkeley Earth, NOAA, UK Met Office, MeteoSwiss, DWD, SMHI, UoR & ZAMG. CC BY 4.0)

主に化石燃料の燃焼によって排出される二酸化炭素を代表とする温室効果ガスが、地球の気温を急速に押し上げています。

その結果、豪雨・洪水の激甚化、海面上昇、干ばつの増加、生きものの減少、食料不足といった問題が世界各地で起こり、私たちの暮らしにも深刻な影響が及んでいます。

温暖化が進む地球で起きている変化

人間活動によって排出された温室効果ガスが、過去2000年以上の歴史をみても、かつてない速さで世界の平均気温を上昇させています。地球温暖化が進む中、どのようなことが起きているか、具体的に見ていきましょう。

フィリピンのナガ市を襲った強い熱帯暴風雨による洪水の中、冠水した通りを歩く男性
フィリピンのナガ市を襲った強い熱帯暴風雨による洪水の中、冠水した通りを歩く男性(2024年10月25日)

気温の上昇:地表の平均気温は、産業革命前(1800年代後半)と比べてすでに約1.44℃上がり、過去10万年で最も高い水準にあります。

気象災害の増加:2000〜2019年の20年間に世界で起きた大規模な洪水は、その前の20年間(1980〜1999年)と比べて2倍以上に、暴風雨は約1.4倍に増えました。

海面の上昇:世界の平均海面水位は、1880年以降21〜24センチ上昇しました。

このままだと:世界では「パリ協定」において、産業革命以前からの気温上昇を1.5℃以内に抑えることを目指す合意をしています。しかし、現在の各国の政策のままでは、今世紀末に約2.8℃気温が上がることが予測されています。

暮らしと気候変動

暑すぎる夏、台風や大雨の激甚化、冬の大雪など、深刻化する気候変動は、衣食住といった私たちの日々の暮らしにも多大な影響を及ぼしています。また、反対に、私たちの暮らしが気候変動を加速させているという事実にも目を向ける必要があります。暮らしと気候変動についてくわしくみていきましょう。

猛暑

猛暑の中、屋外の作業に従事する作業員

年々暑くなる夏。地球温暖化の進行にともない、35度を超える猛暑日も増え続けています。世界では毎年55万人近くが猛暑の影響で命を落としているとされます。これは1年間に約1分に一人が暑さで命を落としている計算です*。

▶︎猛暑がなぜ増えているのかをくわしく知る

食

日本の食卓

気候変動は、食生活にも大きく影響しています。また、工業型農業や大規模な食肉産業が、気候変動を加速させるという悪循環も起こっています。

農業

気候変動は農産物の生育や収穫量に影響を与え、農業従事者の働き方も変えています。

▶︎農家への気候変動の影響についてくわしく知る

食品ロス

食品の損失と廃棄は、世界の温室効果ガス排出量の8〜10%を占めています*。これは航空部門全体の排出量の約5倍にあたります*。

▶︎食品ロスを減らすためにできることを知る

衣服

オンライン通販「SHEIN」の衣料品と靴
オンライン通販「SHEIN」の衣料品と靴

服を長く着ることは、それだけで大きな効果があります。英国の非営利団体WRAPの調査では、衣類の平均寿命を1着あたり3カ月延ばすだけで、二酸化炭素排出量、水使用量、廃棄物排出量をそれぞれ5〜10パーセント削減できることがわかっています。

▶︎ファストファッションの問題や私たちにできることをくわしく知る

移動

ジャカルタのラッシュアワー、渋滞に巻き込まれた車
ジャカルタのラッシュアワー、渋滞に巻き込まれた車

日本の二酸化炭素排出量のうち、産業部門に次いで多いのが自動車等の運輸部門からの排出です。そして運輸部門の排出の85.6%は自動車によるもの。つまり、日本の炭素排出の約6分の1は、道路を走るクルマによるものです。

▶︎日本の「クルマ社会」の問題点をくわしく知る

住居

郊外地域の建物と住宅の空撮風景

住まいは、日本の二酸化炭素排出の大きな一角。夏はうだるような暑さ、冬は凍えるような寒さになる無断熱の住宅は冷暖房のエネルギーを余計に消費し、排出増と光熱費負担につながります。

▶︎断熱の重要性と学校の断熱を進める取り組みをくわしく知る

気候危機を止めるために必要なことは?

深刻化する地球温暖化とその影響は、いま「気候危機」とも呼ばれています。危機を回避するためには、大幅で急速な温室効果ガスの排出削減が必要です。そのため、強く問われているのは、各国政府と大企業の責任ある選択です。

活動家でジャーナリストであるナオミ・クラインは、アトランティック大学の卒業式でのスピーチで、「個人として気候変動を止めるために何ができるのか? という問いに対する答えは、『何もできない』だ」と話しました。

個人として、肉を食べるのをやめたり、飛行機に乗るのをやめたり、低炭素な生活を心掛けることもできます。しかし、そうした個人の行動は、世界経済の大きな歯車には到底太刀打ちできません。しかし、個々の行動が重要でないというわけでは全くありません。「個人にできることはない」、「だから一緒にやるしかない」。

(”We can only meet this challenge together” —Naomi Klein, On Fire: The (Burning) Case for a Green New Deal (2019) 邦訳『地球が燃えている』大月書店、2020年)

2018年のキンダー・モーガン・パイプライン反対デモに参加したナオミ・クライン
2018年のキンダー・モーガン・パイプライン反対デモに参加したナオミ・クライン Photo : Protect the Inlet, Public domain, via Wikimedia Commons

一人から始めたアクションは、他の人や団体、機関などと連帯することでより大きな力へと育ちます。そうなると、法律をつくったり、仕組みを変えたり、システム・チェンジを起こすことが可能になります。また、ナオミ・クラインは、排出量を削減するために必要な行動は、生活の質を向上させ、より健康で幸せな生活をもたらすとも述べています。

一人から始まるけど一人で終わらない気候アクション

今この記事を読んでいるあなたは、すでにマイボトルやマイバックを持ち歩くなどの心掛けをしているかもしれません。しかし、気候変動の加速をくい止めるためには、関心のない人が普通に暮らしていても確実に炭素排出が減るような仕組みづくりが必要です。

上記のようにアクションを広げ、仲間を増やすステップがとても大切です。

仲間の見つけ方

難しそうに感じる気候アクションですが、少し勇気を出して始めると、意外と多くの「できること」が見つかります。気候アクションは一人で終わらせないことがとても大切。また、誰かと一緒に取り組むことで、アクションはどんどん楽しくなります。

一緒に活動しませんか?

ゼロエミの仲間
グリーンピース・ジャパンが事務局をつとめるゼロエミでは一緒に気候アクションに挑戦する仲間を募集しています。

ゼロエミは、自分の住んでいる自治体からの脱炭素をめざす人々がお互い助け合うコミュニティです。会費などはありません。自分のペースで、挑戦してみたい活動を試してみることができます。

「まずはどんな会なのか、知りたい」という方は、ぜひホームページ、またはインスタグラムをのぞいてみてください。参加を考える人は、はじめてゼロエミに参加する人向けのオンラインオリエンテーションに出てみよう!

もっと学びたい方へ

気候変動とは何か、なぜ起きるのか、どうすれば止められるのかをもっとくわしく知りたい人のために、おすすめのコンテンツを紹介します。記事や映画、本を教材にしたり、気候変動問題に取り組む団体などのイベントや勉強会に参加するのもいいですね。

記事を読む

気候変動の基礎を知ることができるグリーンピースの記事を紹介! 子ども向け解説はイラスト入りで、学校教材としても使えます。

映画や動画を観る

映画や動画では、気候変動や環境問題について、よりイメージをともなった理解を得ることができます。

・NETFLIXのおすすめ映画
環境問題を学べるドキュメンタリー映画を紹介しています。

・「御渡り/MIWATARI」
グリーンピース・ジャパンが制作に関わった日本文化と気候変動に関する短編ドキュメンタリー映画です。

・FUTURE KID TAKARA(未来から来た子ども)
全11話のアニメーションとリアルな映像で構成された教材動画です。先生向けワークシートもダウンロードすることができ、授業教材としても使えます。

本を読む

気候変動の現状とともにどうすれば社会の仕組みを変えられるかを学ぶことができるおすすめの本を紹介しています。ラインナップはゼロエミのメンバーから集まったリアルなおすすめばかり!「自分にも何かできるかも」と感じられる一冊にきっと出会えるはず。

▶︎おすすめの気候変動関連本

セミナーやイベントに参加する

日々開催されている気候変動に関するさまざまなイベント。はじめは少し勇気がいるかもしれませんが、参加してみれば、きっと新しい気づきやできることが見つかります。

▶︎気候変動に関するイベントのカレンダー

メールマガジンに登録する

地球温暖化の防止や、生態系保全、森林保護など、地球環境の保護や持続可能な社会の実現を目指す機関や団体のメールマガジンを購読することは、気候や環境にまつわる最新情報を知る最も簡単で効果的な方法の一つ。

まずは、グリーンピース・ジャパンのメールマガジンに登録してみては? 無料で登録できます。

▶︎グリーンピースのメールマガジンを購読する

寄付は最強のアクション!

一人ずつのアクションが、そのまま個別に終わってしまった場合、すでに地球規模となって加速を続ける気候変動に変化をもたらすことはできません。

気候変動を止めるためには温室効果ガスの排出量を大幅に削減する必要があり、それには政府の削減目標や企業の脱炭素方針などをより野心的な方向へと動かす必要があります。そのためにグリーンピースなどの環境団体は、決定を後押しする調査や提言、市民の声の可視化、メディアへの働きかけを行っています。

寄付はこうした活動の規模を大きくしたり、参加する人を増やしたりすることで、政策決定者やリーダーたちに「本気の気候変動対策」を求める声の大きさを知らしめます。

「寄付をする」ことがみんなのアクションをつなぎ、大きな力にまとめ、効果的に政策決定者に届けることを助けています。▶︎寄付が最強のアクションである理由【気候アクションガイド #00】