2026年、世界を襲った異常気象と激甚化する自然災害
2026年8月は、史上最も暑い月となりました。世界平均気温は観測史上最も高くなり、2023年7月と並びました。産業革命前と比べて約1.65℃高く、海面水温も過去最高を記録しています。
世界各地で記録的な高温となり、大規模な熱波、干ばつ、山火事が相次ぎ、多くの生命や人々の生活が今もなお、脅かされています。
日本でも、記録的な豪雨が続き、各地に甚大な被害を残しています
この投稿を読むとわかること
極端な熱波と干ばつ・山火事の嵐

特に深刻なのが、熱波と乾燥が重なることで発生する大規模な山火事です。
西ヨーロッパは度重なる熱波に見舞われ、観測史上最も暑い夏となりました*。高温と乾燥によって森林火災が拡大し、特に被害が大きかったスペインとフランスでは32万人以上が避難を余儀なくされました*。
インドネシアでも、2015年のエルニーニョ現象以来となる大規模な森林火災が発生し、煙が東南アジアの広い範囲に広がりました*。
干ばつや少雨の被害も深刻です。インドでは、20年ぶりの水準という少雨のモンスーンが続いています。降雨量は平均を大きく下回り、作物の生産量や食糧価格への影響が懸念されます*。欧州ではライン川やドナウ川などの流量が極端に減り、農業や河川輸送にも影響をもたらしています*。
化石燃料の消費が及ぼす地球沸騰化の影響

なぜ、極端な気象がここまで増え、被害が深刻になっているのでしょうか。
大きな要因の一つが、石炭、石油、天然ガスなどの化石燃料の利用によって排出される、CO2などの温室効果ガスです。大気中の温室効果ガスが増えることで地球に熱が蓄積し、地球全体の気温を押し上げています。
気温の上昇は、さまざまな形で極端な気象のリスクを高めます。 高温や乾燥は山火事が起こりやすい条件をつくる一方、暖かい大気はより多くの水蒸気を含むことができるため、一度に降る雨の量が増える可能性があるのです。
この気温上昇が極端な気象と結びついていることは、科学的にも裏付けられています。
米国科学・工学・医学アカデミー(NASEM)は、人為的な温暖化が極端な高温や大規模な大雨と直接関連していると示しました*。こうした異常気象はもはや「自然災害」とはいえないのです。
ゴジラ級のエルニーニョが猛威を振るう
今年は、太平洋の赤道域で海面水温が高い状態が続くエルニーニョ現象が発生しています。今後、勢力はさらに強まっていくと推測され「ゴジラ級」になるとも予想されています*。
エルニーニョは世界各地の天候を乱し、地域によって熱波、洪水、干ばつなどの極端な現象を増やすことが知られていますが、気候変動の影響によりその被害はさらに深刻化しています。
今回のエルニーニョ現象に伴う極端な高温により、今後45万人以上が死亡する可能性も指摘されています*。
世界気象機関(WMO)は、強いエルニーニョ現象は2027年まで続くとし、「今回の異例のエルニーニョ現象には、並外れた準備と対応が求められる」と警告しています。
ヒマラヤ(ネパール国境)で発生した大規模土石流の警告
2026年8月26日、中国・チベット自治区とネパール国境のヒマラヤ地域で、氷河と岩盤が崩壊し、大規模な土石流が発生しました。大量の土砂が下流へ流れ込んだことで鉄砲水が発生し、行方不明者は6000人を超え、1400人以上が死亡するなど壊滅的な被害をもたらしています*。
気温上昇による永久凍土と氷河の不安定化

気候変動が直接的な原因であったと断定することはできませんが、急速な温暖化による氷河と凍土の融解が一因となった可能性が指摘されています。
ヒマラヤとチベット高原はもともと冷涼な高地ですが、気温の上昇により、ヒマラヤの氷河は現在、10年前と比べて65%速いペースで質量が失われているとされます*。
気温上昇は、氷河だけでなく永久凍土にも影響を及ぼしています。凍結が弱まると、斜面や地盤が不安定になり、岩石や土砂が崩れやすくなるのです。
氷河融解とまたは別の原因で急峻な地形の谷を襲う土石流は他の地域でも発生しています。
2026年8月、米国アリゾナ州のグランドキャニオンでも、豪雨による大規模な鉄砲水が発生しました。橋やキャンプ場が流され、国立公園局によると、2人が死亡し、1人が行方不明になっています。
ヒマラヤの土石流とは引き金が異なりますが、急峻な地形では局地的な現象が短時間で大きな被害につながります。地形の脆さに極端な気象が重なったときの怖さが、二つの災害に共通しています*
土石流がもたらした甚大な被害と「早期警戒システム」の課題
災害リスクが高まる中で重要になるのが、被害を減らす「適応策」です。
ヒマラヤの災害では、住民が避難できるまでの時間が非常に限られていました。このような地域では、災害の発生を完全に防ぐことが難しいからこそ、リアルタイムの監視や早期警戒システムが重要になります。
グリーンピースは2018年、中国とアジアの氷河に対する気候変動の影響を分析した報告書を発表し、早期警戒システムとリスク防止策の強化を求めました。
中国は「国家気候変動適応戦略2035」などを整え、監視と早期警戒の強化を打ち出していますが、課題は残っています。気候変動で災害リスクが変わる時代に合わせて、防災体制そのものを強化していく必要があります。
日本各地で相次ぐ豪雨被害とその背景

日本でも、8月から9月にかけて記録的な大雨が相次ぎました。線状降水帯の発生等による激しい豪雨が発生し、浸水や土砂災害が多発しています。背景には、気温の上昇で大気中の水蒸気が増えていることがあると考えられています。
日本各地で多発する線状降水帯と浸水・土砂災害
8月13日から14日にかけては「令和8年8月千葉豪雨」が発生。千葉では、24時間の降水量が360ミリを超えました。8月平年降水量の3倍以上の雨が、1日で降ったことになります*。千葉県によると、13人が亡くなったとされています*。
さらに千葉県では台風25号の発生により、またも記録的な大雨が続き、浸水や堤防決壊など各地に大きな被害を残しました*。一方の東京都心では、台風や秋雨前線の影響により37日連続降雨が記録されました。統計を開始した140年間で初めての現象です*。
世界の異常気象は、遠い国の話ではありません。 異常気象によるリスクが生活の身近に迫っているのです。
海水温の上昇と「大気中の水蒸気量」の増加
激しい雨が降る理由の1つが「水蒸気」です。人為的な温暖化によって大気中の水蒸気が増え、極端な大雨が起こりやすくなっていると指摘されています。
気象庁によると、日本では上空約1,500mの空気に含まれる水蒸気量が増加傾向にあります。大雨の発生頻度や強度が増えているのは、地球温暖化により水蒸気量に変化があることをあげています。さらに極端な大雨の発生頻度は、全国平均では増加すると予測しています*。
もちろん、豪雨の発生は台風や前線、大気の流れ、地形など、さまざまな条件が重なり発生するものです。ただし、地球温暖化によって一度に降る雨の量が極端に多い豪雨は確実に増加しているのです。
気候危機を止めるために:化石燃料からの脱却と再生可能エネルギーへのシフト

世界および日本で相次ぐ異常気象を根本的に防ぐには、石炭、石油、天然ガスなどの化石燃料への依存を減らし、太陽光や風力などの再生可能エネルギーへ移行することが不可欠です。
解決策はすでにわかっています。私たちに必要なのは社会の仕組みを動かす力です。
脱化石燃料と再生可能エネルギー(太陽光・風力など)の加速
温暖化の最大の原因は、化石燃料の燃焼で出るCO2です。気候変動対策の柱は、化石燃料への依存を一刻も早く減らすことにあります。 しかし状況は厳しく、2025年の世界のエネルギー起源CO2排出量は約384億トンと、過去最高を更新しました*。
一方で、希望もあります。2025年に、再生可能エネルギーの導入は過去最大の約800ギガワット(うち約75%が太陽光)に達しました。太陽光発電だけで、年間1.5ギガtのCO2排出抑制につながったとされます*。再生可能エネルギーの普及が排出量の増加を抑える力になっていることを示しています。
エネルギー転換は、地域社会への影響や雇用、エネルギーへのアクセス、鉱物資源の採掘など解決すべき課題もあります。だからこそ、単にエネルギー源を置き換えるだけではなく、誰も取り残さない「公正な移行(ジャスト・トランジション)」として進めることが重要です。
私たちにできること・求められる気候行動

時間の猶予はありません。世界気象機関(WMO)は、2026年から2030年の間に少なくとも1年は、世界の平均気温が一時的に1.5℃を超える可能性が非常に高いと警告しています*。1.5℃を超えると、環境破壊のリスクが高まり、取返しのつかない結果となる可能性もあります。
被害をやわらげる「適応策」は大切ですが、それだけでは足りません。温暖化そのものを食い止める「緩和策」を、社会全体で進める必要があります。すべての国々が意欲的に気候変動対策を進めていくべきです。
一人ひとりが意識し、行動を変えていくことも大切です。自宅に太陽光発電を設置することや、使用する電気を再エネに切り替えることも重要なアクションの一つです。こうした行動が、社会の仕組みを動かす力につながることもあります。社会を動かすために、あなたも一歩を踏み出してみませんか。
以下のページで、気候変動を止めるために私たちができる具体的なアクションを紹介しています。ぜひ、あなたにできることから始めてみてください。