エルニーニョ現象が発生した年のアマゾンの様子。降雨の減少に加え、地球温暖化に伴う高温が重なったことで深刻な干ばつに見舞われた。(2023年12月)

エルニーニョ現象とは、数年に一度、太平洋赤道域の中央〜東部で海面水温が平年より高くなる気象現象です。東から西に吹く貿易風が弱まることで発生し、世界各地の気候に大きな影響をもたらします。

近年、地球温暖化の進行により、エルニーニョ現象に伴う熱波や豪雨の影響が深刻化しています。本記事では、エルニーニョ現象の仕組みから日本への影響、気候変動との深い関係、そして私たちにできることまでをグリーンピースの視点で解説します。

エルニーニョ現象とは何か?わかりやすく解説

平常時(左)とエルニーニョ現象時(右)と海面水温の図。エルニーニョ現象では、赤道付近の海面水温が平年より高くなる。©NASA Earth Observatory

エルニーニョ現象とは、赤道付近の太平洋東部から南米沿岸にかけて海面水温が平年より高くなり、その状態が1年程度続く現象です*

気象庁では、太平洋赤道域の指定海域で海面水温が平年より0.5℃以上高い状態が半年以上続いた場合を「エルニーニョ現象」としています*

エルニーニョ(El Niño)はスペイン語で「幼子イエス・キリスト」を意味します。その由来は、ペルー北部の漁師たちがクリスマスの頃に現れる暖流を、キリストの誕生になぞらえて「エルニーニョ」と呼んだことにあるそうです*

エルニーニョ現象はわずか0.5℃の海面水温の変化ですが、この小さな変化が大気の流れを変え、日本を含む世界各地の気温や降水量に影響を及ぼしています。

エルニーニョが発生する仕組み(メカニズム)

貿易風が弱まることで暖かい海水が東部の南米側へ広がる 出典:気象庁

なぜ海面水温が高くなるのでしょうか。

鍵を握るのが、赤道付近で一年中吹いている「貿易風」です。貿易風は南米沖から西部のインドネシア側に吹く東風です。

通常は、貿易風によって海面付近の暖かい海水が太平洋の西側に吹き寄せられています。そのため南米ペルー沖では海の深い場所から冷たい海水が湧き上がり、海面水温は太平洋赤道域の西部で高く、東部で低い状態となっています。

ところが何らかの影響で貿易風が弱まると、西部に溜まっていた暖かい海水が東方へ広がるとともに、東部では冷たい水の湧き上りが弱まります。このため、太平洋赤道域の中部から東部では、海面水温が平常時よりも高くなります*

これがエルニーニョ現象です。

ラニーニャ現象との違いは?

エルニーニョ現象とは反対に、同じ海域で海面水温が平年より低い状態が続く現象はラニーニャ現象と呼ばれます*

ラニーニャ現象が発生している時には、貿易風が平常時よりも強くなります。

そのためインドネシア近海には暖かい海水がより厚く蓄積し、東部の南米沖では冷たい水の湧き上がりが平常時より強くなります。

ラニーニャ現象発生時、インドネシア近海の海上では大気中に大量の水蒸気が供給され、積乱雲がいっそう盛んに発生します。

エルニーニョが日本の気候に与える影響

©StreetVJ / Shutterstock.com

エルニーニョが発生すると、日本付近の大気の流れも大きく変化します。

夏は太平洋高気圧の張り出しが弱まることで、気温が低くなり、日照時間が少なくなる傾向にあります。これは、太平洋西部の海面水温が下がり、積乱雲の活動が不活発になるためです。

一方で、冬は西高東低の冬型気圧配置が弱まり暖冬になる傾向があります。日本海側の降雪量も減少する傾向があります*

ただし、近年は地球温暖化によって気温そのものが底上げされているため、「エルニーニョ年なのに記録的な暑さ」というケースも増えています。

またエルニーニョ発生時は、台風の発生位置や進路が平常時とは異なる傾向があります。気象庁の調査では、夏には台風がより強く発達し、寿命が長くなる傾向も報告されました。

スーパー級のエルニーニョとは?気候変動との関係

エルニーニョによる干ばつの影響で水位が15%まで低下したタイ北部の貯水池(2016年5月)

近年は地球温暖化によって海や大気の温度が上昇しているため、エルニーニョ現象と重なることで、猛暑や豪雨などの気象現象がより深刻になることが懸念されています。

そんな中、今年2026年は非常に強い「スーパー級」のエルニーニョが発生するとの予測が出されています。

米国海洋大気局(NOAA)は熱帯太平洋でエルニーニョ現象が発生し、2026年から27年の冬にかけてさらに強まるとの見通しを発表しました。海面水温が2.0℃を超える「非常に強い」エルニーニョとなる確率は63%と予測しています*

こうしたエルニーニョ現象が気候変動によって強まっているかどうか、という点については、まだ科学的に解明されていません。

ただ、エルニーニョ現象が熱波や豪雨などの極端な気象現象に影響を与える可能性はあると指摘されています。IPCCは、エルニーニョに伴う極端な降水が、温暖化が進むほど激しくなる可能性が非常に高いと警告しています*

エルニーニョが引き起こす異常気象:日本・世界の事例

エルニーニョ現象が発生した年のアマゾンの様子。降雨の減少に加え、地球温暖化に伴う高温が重なったことで深刻な干ばつに見舞われた。(2023年12月)

非常に強いエルニーニョは、世界中で壊滅的な影響をもたらすおそれがあります。

2015年から2016年に発生したエルニーニョでは、世界各地で異常気象が相次ぎました。

NOAAによると、北太平洋中部では記録的なハリケーンシーズンとなり、プエルトリコでは深刻な水不足、エチオピアでは大規模な干ばつが発生したといいます*

最も最近に発生した2023年から2024年のエルニーニョは、観測史上5本の指に入るほどの強さで、2024年に記録された世界的な高温の一因ともなりました*

世界気象機関(WMO)の事務局長は「エルニーニョは干ばつや大雨を深刻化させ、陸上と海洋の双方で熱波のリスクを高めます」と述べ、強いエルニーニョへの警戒と備えを呼びかけています*

気候変動によって地球の気温が上昇し続けるなか、強いエルニーニョが重なれば、猛暑や豪雨、干ばつなどの異常気象はさらに深刻化するおそれがあります。

エルニーニョによる極端な気象現象を止めるために

「再生可能エネルギーが平和をもたらす!化石燃料に終止符を」と書かれた横断幕を掲げるグリーンピース・コロンビアのメンバーたち。(2026年4月)

エルニーニョ現象そのものは自然現象であり、人間が発生を止めることはできません。

しかし、その影響をこれ以上深刻なものにしないために、私たちができることはあります。

猛暑や豪雨、干ばつなどの異常気象による被害を少しでも抑えるためには、災害への備えに加え、気候変動の進行そのものを食い止める取り組みを進めることが重要です。

気候変動の原因は、石炭・石油・天然ガスなどの化石燃料の利用によって排出される温室効果ガスです。

グリーンピースは、化石燃料への依存から脱却し、再生可能エネルギーへの公正な移行を求めています。異常気象が当たり前にならない未来のために、今こそ私たちが使うエネルギーを見直し、気候変動対策を加速させる必要があります。

では、私たちの暮らしや社会において、どのようなステップを踏み出せば良いのでしょうか?

一人ひとりの選択や声を大きなうねりに変え、持続可能な未来を引き寄せるために。
グリーンピースが提唱する省エネを進めつつ再エネへと移行するロードマップ、そして、私たちが今すぐ始められる具体的なアクションを、ぜひ以下のページからご覧ください。

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