グリーンピースは、コカ・コーラ社にリユース製のボトルを導入するよう訴えた。
グリーンピースの活動家はペットボトルを積み上げ、コカ・コーラ社にリユース製のボトルを導入するよう訴えた。オーストリアにて(2020年1月)

プラスチックのない未来を実現するうえで、

  • バスボムを生み出したブランド
  • アイスクリームブランド
  • リユース容器のシェアリングサービス

が大切な役割を果たしています。その理由を紹介する前に、プラスチックを世界的に削減できる可能性を持つ「国際プラスチック条約」について、簡単に見ていきましょう。

国際プラ条約は、プラ汚染をくい止めるまたとないチャンス!

2022年以降、プラスチック汚染を解決へと導くために、世界各国の政府は「国際プラスチック条約」の策定に向けて、交渉を進めてきました。この条約は国連で制定が決定したもので、プラスチック汚染を終わらせることを目的に、生産から廃棄までの全過程でプラスチックを削減することを掲げています。

プラスチック問題を解決する方法は、科学的にもはっきりとわかっています。とめどなく生産され続けるプラスチックに歯止めをかけることです。これは気候、生物多様性、そして私たちの健康をまもるうえで最も効果的な方法です。

グリーンピースの活動船が訪れたコロンビア太平洋にて
国際的なプラスチックキャンペーンの一貫として、グリーンピースの調査船が訪れたコロンビア太平洋にて。(2024年4月)

しかしもちろん一筋縄ではいきません。条約について議論が進められるなか、化石燃料に支えられてきた国々や企業は、野心的な条約の規定に抵抗を示してきました。なぜならプラスチックの99%以上は石油や天然ガスなどの化石燃料でつくられているからです。

彼らの意向が優先され、適切な対策が講じられなければ、2019年の段階で4億6,000万トンだったプラスチックの生産量が2050年にはその3倍にもふくらむと予想されています*

プラスチックによる汚染をこれ以上悪化させないためにも、いまこそ生産量や使い方などにおいて、転換が求められています。

フィリピンのヴェルデ島の珊瑚礁にくっつく、パーモオリーブ社の小袋。同社からは約1億6300万もの小袋が、たったの1日で生産される。(2019年3月)
フィリピンのヴェルデ島の珊瑚礁にくっつく、石鹸などの日用品を開発・製造・販売しているコルゲート・パーモリーブ社の小袋。同社からは約1億6,300万枚もの小袋が、たったの1日で生産される。(2019年3月)

国際プラ条約では、企業の責任を明確にできる可能性も

国際プラスチック条約は、プラスチック汚染における企業の責任を明確にするチャンスでもあります。

これまで自治体や国がレジ袋やストローを規制するなどの動きはあったものの、企業への取り組みは「努力義務」とされることがほとんどでした。

たとえばグリーンピースが実施した調査からは、1年で消費されている使い捨てカップの総数が、日本の大手カフェ3社をあわせると4億7,480万個、大手コンビニ3社をあわせると19億個であることが明らかになっています(※)。

※使い捨てカップの消費量は、グリーンピースの調査による推定です。また大手カフェチェーン3社は、スターバックス コーヒー ジャパン、タリーズ、プロント、大手コンビニチェーン3社はセブン-イレブン、ファミリーマート、ローソンです。

プラスチック汚染における企業の責任が重大であることはその数字からもわかりますが、裏を返せば、企業が取り組みを変えれば状況を大きく改善していけるともいえます。

たとえば前述のコンビニ3社とカフェ3社が、テイクアウト用の使い捨てカップをすべてリユースカップに切り替えた場合、以下を節約し、環境負荷を大きく減らせることがわかっています*

  • オリンピックサイズのプール124杯分の水(=46万5,000平方メートルの水)
  • 400万本の成木が1年間に吸収するCO2の量(=8,800万キロのCO2換算排出量)
  • 27万1,000バレル以上の石油(=石油換算3,700万キロの化石燃料消費量)

2024年11月末、条約における重要な会合が開催!

「国際プラスチック条約」の内容を決定づけるうえでとても重要な会合が、来る2024年11月25日より、韓国・釜山にて開催されます。2022年よりウルグアイ、フランス、ケニア、カナダで開催されてきた政府間交渉委員会の第5回目となる会合で、最も重要な会合です。

条約を通じて世界各国が一丸となり、野心的な生産量の制限とリユース(繰り返し使うこと)社会への道筋を明確にできれば、プラスチック問題を根本的に解決できる可能性があります

企業が条約への賛同を各国政府に表明するためのページができました!

このたびグリーンピースでは、韓国での会合に先駆けて、企業が条約への賛同を各国政府に示せるよう、プラスチック汚染連合(※1)、Break Free From Plastics(※2)と共同で「Champions of Change」を立ち上げました。

各国政府に対して、プラスチック生産量を削減し、使い捨てプラスチックを段階的に廃止する野心的な条約の採択を求める公開書簡プロジェクトです。リユースやプラスチックフリーなどの取り組みを通してすでにプラスチック汚染に取り組んできた企業が、「プラスチックを減らしたり、なくしたりしても事業は成り立つ」と指し示せる機会でもあります。

※1:プラスチック汚染のない世界実現のために活動する非営利組織。https://www.plasticpollutioncoalition.org/
※2:国際的な脱プラスチックネットワーク。https://www.breakfreefromplastic.org/

Champions Of Change公開書簡の主な要望

  • 気温上昇を1.5度に抑え、生物多様性をまもる水準でプラスチック生産量を制限する
  • 小袋などをはじめとする使い捨てプラスチックを段階的に廃止する
  • 野心的なリユース目標を設定する
  • プラスチック汚染の影響を最も受ける地域社会の権利を中心に据え、公正な移行を支援するアプローチ

    冒頭でバスボム、アイスクリーム、リユース容器を挙げたのは、バスボムを開発した「ラッシュ(LUSH)」や、アイスクリームブランドの「ベン&ジェリーズ」をはじめ、世界中から350以上の企業が本書簡に署名しており、日本からもリユース容器シェアリングサービスを展開する「Megloo(株式会社カマン)」、「Circloop(株式会社Circloop)」が賛同しているためです。

    野心的な内容で条約が採択されるには、効果的な内容を求める声が一つでも多くあることが大切です。部分的な規制などにとどまらず、世界のあらゆる分野、あらゆる工程からプラスチックが削減されることを望まれているのであれば、ぜひこのチャンスを逃さず、あなたの企業も公開書簡への署名を通して強力な条約を求めるために、一緒に声を上げてくれませんか。

    企業じゃなくても、個人でも国際プラスチック条約をより強力なものにするために起こせるアクションがあります!

    ゴミ箱を覗くとプラごみだらけ……それくらいプラスチックは日常生活に深く浸透し、避けて通れないものになってしまっています。

    しかしもし、しくみを変えることができれば、私たちはふつうに暮らしているだけで自然とプラスチックを手に取る機会が減るようになるのです。この条約がまさにそのチャンスです。

    プラスチック問題は待ったなし。プラスチックのない未来に向けて一刻も早く、かつ効果的に動き出せるよう、私たちと一緒に世界のリーダーたちに声を上げましょう!