暑い夏、寒い冬を学校の教室で過ごした経験は、みなさんにもあるのではないでしょうか? 文部科学省の定める「学校環境衛生基準」では、「教室の温度は18℃以上28℃以下であることが望ましい」と定めています。では、教育現場の現状はどうなっているのか? 生徒や教員の方を中心に、実際の教室での過ごしやすさについて聞きました。

年々厳しさを増す夏の暑さ。2024年も全国各地で猛暑が続いており、7月7日には静岡市で今年国内で初めて40℃に達したほか、8月に入っても観測史上最高となる気温が記録されています。

子どもたちを外で遊ばせることができない、屋外プールや校庭での授業ができない、食欲がでない、体調を崩すなど、子どもたちの教育環境や福祉、健康が脅かされています。昨年度、学校の管理下における熱中症は、3,240件(*1)報告されました。

しかし、多くの学校施設では断熱改修が十分に進んでいません。断熱がきちんとされていないため、エアコンが設置されているにもかかわらず、室温が30℃以上になるケースもあります。教室の断熱改修を進めることは、省エネの問題だけでなく、教育や児童・生徒の健康の面においても喫緊の課題となっています。

文科省は大規模改修時に断熱工事を「必ず」と推奨

文部科学省による『学校設備のZEB化の手引き』(*2)には、改修事例がコストや工夫などの取り組みとともに紹介されており、28ページには以下のように書かれています。

「適切なコストをかけることで、新築だけではなく、大規模改修工事においてもZEB化が可能であることが事例からわかりました。しかし、予算や建物個別の要因でZEB化が達成できない大規模改修工事のプロジェクトも多くあると考えられます。このようなZEB化が達成できない大規模改修工事であっても、必ず実施していただきたい工事が、『断熱工事』です。」

(*1) ZEB、とはNet Zero Energy Building(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)のこと。建物で使うエネルギーと、敷地内に再生可能エネルギー設備を設置するなどしてつくるエネルギーでプラスマイナスゼロになることをめざした建物のこと。
(*2)『学校設備のZEB化の手引き』(2024年3月発行)
https://www.mext.go.jp/a_menu/shisetu/ecoschool/detail/mext_02655.html

グリーンピースでは、全国の教室の断熱改修を政治の責任でおこなうことを求めています。

学校の教室での過ごしやすさについて実態を把握するために、2024年4月から7月にかけてグリーンピース・サポーターの方々を中心に、アンケートを実施しました。結果概要は以下の通り。

教室の過ごしやすさ&教室の温度測定協力に関してのアンケート結果ハイライト



■対象  :グリーンピースのサポーターを中心に協力を求めた
■実施期間:2024年4月19日〜2024年7月31日
■実施方法:オンラインフォームへの記入
■回答数 :236件

・学校の教室の温度「18℃以上28℃以下」という基準は実際に守られているか?
➡︎約7割の方が守られていないと感じている。

   

・「18℃以上28℃以下」という基準が守られていない理由は?
➡︎エアコンをつけても教室の外の温度が影響してしまい温度にムラができる、そもそもエアコンなどの設備が不十分、などの意見が寄せられた。

・暑い夏、寒い冬の教室は実際どのくらい過ごしやすいか?
➡︎それぞれ約6~7割の方が夏は暑すぎる、冬は寒すぎると感じたことがある。

・学校の教室の温度について、現場の生徒や教員はどう思っているのか?
➡︎学校の設備の不足、エアコンの温度ムラや設定温度より寒すぎたり暑すぎたりする現状、学校や行政の取り組みなどについて様々な意見が寄せられた。
…………………..

以下、「教室の過ごしやすさ&教室の温度測定協力に関してのアンケート回答まとめ」
(まとめPDFはこちら


教室の過ごしやすさ&教室の温度測定協力に関してのアンケート回答まとめ

実施概要

■対象  :グリーンピースのサポーターの方々を中心に協力を求めた。
■実施期間:2024年4月19日-2024年7月31日
■実施方法:オンラインフォームへの記入
■回答数 :236件

  

1.回答者について

回答者236人の内、現在学校に通っている生徒の方とその保護者の方合わせて73人、現職の教員の方45人にお答えいただいた。

   

2.実際の教室の温度はどうなっている?

教室の温度が「18℃以上28℃以下」の基準を守れているかどうかについて、3割程が守られていると感じると回答した一方、7割以上が守られていないと回答。

また、現役教員のみの結果と生徒、保護者のみの結果を見ると、どちらも全体の結果とほぼ同じような割合となったが、教員の結果より生徒、保護者の結果のほうが5%ほど守られていると感じる人の割合が高くなっていた。

  

どうして「18℃以上28℃以下」の基準が守られていないのかという質問に関しては、外の暑さ、寒さが教室に影響してしまう、という断熱に関わる回答が154人と一番多く、次いで、冷房や暖房設備の効果が不十分であるから、温度の管理が自由にできないからという回答が続いた。
  

建物の設計上の問題

「そもそも校舎建築時に断熱という発想がない」

「(基準が守られていない原因は)設備が古いこと、および経年劣化。」

「窓が多いのに断熱窓が採用されていない。気候に合った校舎デザインになっていない。」

「窓枠がサッシでなく木枠で、スース―寒気が入ってくるからと考えます。夏は、高学年の部屋にはエアコンがありません。」

「学校建築は省エネ基準義務化前の既存不適格建築が大多数を占めています。断熱材が十分に施工されておらず、冷暖房設備が十分でもなかなか冷暖房が効かないのだと考えています。」

   

予算の問題

「冷房設置は一般教室のみで、家庭科室、理科室等の特別教室には設置されていなかった。」

「予算の関係でリミッターがあり一斉につけるとダウンする。使用開始時間差を設けるなどで対応している。」

   

地球温暖化により外気温が上昇

「そもそも外気温が以前に比べて高くなってきている」

   

教室内での温度差

「座席の位置で温度差がある。」

「教室内でも寒い場所と暑い場所など温度差や、冷房直下など風があたる場所がある。換気のため窓を開けている。実際の温度設定と室温が違う。」

「暖房器具がストーブが中心で、暖房器具周囲は暖かいが、動かすことはできないため、室内全体が暖まらないため。」

   

感染症対策のための換気による影響

「コロナの影響で換気のために窓を少し開けているため余計に外気の影響を受けやすくなる。」

「換気のために窓を開けており、冷房が効きにくい。」

   

基準そのものや、その大切さの認知度の低さ

「先生が基準をよく知らないのでは?」

「教員がそれを守る大切さをしっかりと意識していないし知らないし、そのためにそれを生徒にきちんと伝えることもしていないため、基準を守らずただただ好きなように温度設定を自由にしているから。」

   

極端な温度設定

「(教員ははじめ、早く部屋の温度を変化させようと極端な温度設定を行う教員もいるが)部屋が必要以上に温まりすぎか寒すぎる時、生徒が先生に言えない日本なので 適切じゃない温度は設定され続けてます。」

「声の大きな子の意見や子どもたちの安全を極度に優先するため、(中略)(暑くないのにクーラーをつけたり)過度に暖房を付けたりしている印象です。」

「夏はクーラーが効き過ぎて寒すぎることがあると聞いています。設定温度は子ども自身では確認できないそうですが、もしかすると温度設定が基準内でないのかもしれないと思っています。」

   

冬の教室で上着が必要だと感じることがある、ときどきあると答えたのは236人中177人で、全体の75%という結果になった。

  

夏の教室で涼むための道具が必要だと感じることがある、ときどきあると答えたのは236人中191人で、全体の約80%という結果になった。

  

冬の教室で「寒すぎる」と感じると答えたのは143人で全体の60%という結果になった。一方、感じないと答えたのは49人だった。

  

夏の教室で「暑すぎる」と感じないと答えたのは49人。感じると答えたのは175人で全体の約74%という結果になった。

  

3.学校の教室の温度について現場の人たちが思うこと

建物・設備について

「夏は扇風機しかなく、冷風機は4階にしかないので(クーラーはない)年に数日は28度以上になる日があります。」(教員)

「エアコンの不調が多すぎる。」(教員)

「夏場は冷房がないと教室にいるのも苦しい。冷房がある部屋はいいが、ない部屋(特別教室、体育館)では、暑すぎて授業をすることも難しいと感じます。」(教員)

「私が勤めている東京都大田区は教室と体育館、特別教室に冷暖房機が設置されています。体育館に空調設備が入り、7月の終業式や9月の始業式、1月の始業式や卒業式・修了式も快適に参加できます。」(教員)

「比較的新しい学校なので空調設備が整っていると思います。」(生徒)

「温度ももちろんですが、湿度のコントロールもできない。夏の教室は除湿機能があれば、まだ快適なのではないかと思う。」(教員)

「断熱されてはいないが、エアコンがあるので快適な温度に設定している。節約より快適を優先。」(教員)

「冷暖房が整って来ているので、一昔前よりは快適だと感じる。」(教員)

「避難所としての機能も想定される場所なので、断熱をすすめてほしい。」(一般)

「校舎や体育館の屋根にはソーラーパネルの設置を義務付けるべき。これにより、学校で消費する電力を地産地消でき、災害時の避難場所としても有益。」(一般)

「小学校は昔ながらの鉄筋コンクリート。冬は本当に寒い。(下の保育園は)教室の外の廊下は外壁無しで剥き出しの昔ながらの保育園舎。さらにドアはこどもが指を挟まないよう隙間があくようにしてあるし、換気のために窓も開けてあることがよくある。」(生徒と保護者)

「木造なので夏はそれほどではないが、冬はとても寒いです。」(生徒と保護者)

「夏については、まずは(蚊が多い地域では)網戸を取り付けること、風を入れられるようにする事の上で、冷房や遮熱・断熱などは進めたら良いと思う。」(生徒と保護者)

「夏、扇風機は大型一台しかなく風に当たれてもぬるい。涼しい場所がない。」(生徒と保護者)

「廊下側が特に寒いです。学校は廊下に空調がありません。せっかく教室を温めても、廊下が外気温と一緒なので、とても無駄です。」(教員)

「そもそも教室の構造が貧弱です。しっかり断熱対策(2重以上のペアガラスとか、断熱構造のアルミサッシとか、海外のように木質や樹脂のサッシとか)になっていないのですから、温度管理も何も。エアコン設置という名ばかりのものも、実質的には家庭用に近い貧弱なものがちょこっとです。これでは・・・」(教員)

   

冷暖房が効きづらい

「夏は冷房が強すぎて寒いことが多い。冬は暖房が効きにくいと感じる。」(大学生)

「夏は座席の場所によって寒い所と暑い所がある。冬はストーブの周りだけ暖かく、後は概ね寒い。」(教員)

「教室と言っても、窓側・廊下側で温度の感じ方が異なる。エアコンの設置場所も教室の中央にあるわけではないので、室内の温度を平均化するのは難しい。」(教員)

「(朝の教室に)子どもたちが来ると人数が多くて冷房は効果がすごく低くなっていると感じます。低くしても低くしても暑いという感じ。」(教員)

「教室にいる子どもの数によって暑さも異なる。特に高学年だと、暑さが増すように感じる。」(教員)

「エアコンの設定温度を18度にしても室温は32度です。去年の夏はそんな日が3週間も続きました。あまりにも暑いので、教室以外のもっと涼しい部屋で過ごすことがありました。冬も同様です。エアコン設定温度28度、室温は15度にしかならない日が続きました。」(教員)

「夏は冷房の効きが非常に悪い。設定温度は一括管理されているため、調節できないようになっている。体育のあとの授業では、生徒たちが真っ赤な顔のまま始めることになるが、教室も涼しくない。発達障害の体温調節が苦手な生徒は、苛立ちを爆発する頻度が多くなる。が、学校中にじゅうぶん涼しい部屋がないため、クールダウンからの回復にも時間がかかる。教室内に温湿計を置いて、朝・昼・終礼で計測したら、昼は教室内が32℃以上の日も多かった。窓際の席はもっと高いと思う。

冬も暖房の温度は一括管理されている。生徒たちはほぼ全員ダウンなどのアウターを着ている。ひざかけを下半身にぐるっと巻いて、座っている生徒もいる。私もキルティングのロングジャケットなどを着て授業をしている。勤務校は自由だが、校則でアウターの着用やひざかけを禁止している学校もあると聞いたことがある。」(教員)

「学校は古いので、全クラスが冷房をつけるとききが悪くなり26度設定を強制されるが、暑いし集中できない。真夏の朝、学校に行けば室温はすでに36度で、なかなかエアコンが効かない。最上階の学級は地獄のように暑い。」(教員)

「教室には、扇風機が3つ、エアコンが1つありますが、どちらも教室の前列にあります。そして、教室の真ん中の両端には柱が出っ張っているのため、空気の循環が上手くいっていないように感じます。窓側の席は寒暖差が激しいので、とても辛いです。感染症対策(コロナが流行してから)として、窓を開けて換気をしている為(教室や廊下)、冬場や、風が強い日はとても寒いです。」(生徒と保護者)

   

夏暑い・冬寒い

「寒さはなんとか我慢できても、昨今の酷暑は学習環境にはとても適しているとは言えません。外国人教師もこれが先進国の校舎かとあきれています。クーラーを付けていても温度設定が自由に出来ず、いまだに40人の体の大きな高校生を詰め込んだ教室では35度近くになることもちょっしゅうです。南向きに設計されているため、窓際の生徒は座っているだけで熱中症になる子もいて、頻繁に保健室に行くので学習中断が発生します。これは教育を受ける権利を侵害しているといっても過言ではないレベルです。教えている私も汗ダラダラで、日に何度もシャツを着替えなければなりません。廊下や階段、トイレにいたってはサウナ状態です。」(教員)

「建物の階によって暑さ、寒さが異なるので、屋根に近い階の教室の暑さはすさまじい。」(教員)

「汗びっしょりになる。」(教員)

「最近、夏の時期の教室が以前に比べて暑くなってきました。」(生徒)

「冬の北海道の高校は冷蔵庫よりも寒いです。特に更衣室は。」(教員)

「過ごしやすい時がない。冬は手が冷たくて字が書けない。」(生徒と保護者)

「冬はダウンジャケットを着ながら授業を受ける子どももちらほらといる。」(生徒と保護者)

「冬場、足元が寒い 暖房の空気で上の方はあたたかくなり、ぼーっとする。」(生徒と保護者)

   

換気について

「教室の出入りで扉を開けたり、換気のために窓を開けたりするので、涼しい空気が逃げて暑い外気が入ってくる。」(教員)

「大学の古い建物にある教室では、換気が外気を取り入れるだけ(窓など)であり、熱交換機能のある外気取り入れの装置がない。」(教員)

   

極端な設定温度について

「夏は低すぎる設定、冬は高すぎる設定にされていることが多い。基準を守る大切さやその意識が大切であることを教員も生徒も保護者も知るべきだと思う。」(教員)

「夏、エアコンの設定温度が低すぎる。20℃とか。今まだ春なのに、20℃の冷房がついてる。常にエアコンが年中無休でついてる。」(教員)

「地球温暖化によって(昔とは)基準が変わったかもしれないが、夏暑い、冬寒いは当たり前の現象。ただ、夏寒い(冷房の効きすぎ)、冬暑い(暖房の効きすぎ)には我慢できない。」(教員)

「省エネを考えると、18度、28度というのは考える必要があるのだろうが、教室には40人もの人間がいるのだから、必ずしもその通りにはできない。」(教員)

「通学で暑いからと言って風量マックスで設定温度を最低まで下げ、寒がっている人に上着着用を求めるところを見て地球への配慮も人への配慮ももっと必要だと感じています。私たち一人一人の意識の低さを感じます。」(生徒)

「夏は冷房の温度を勝手に23℃等に下げる男子がいて、寒すぎることもあるそうです。」(生徒と保護者)

   

人による感じ方の違い

「県立の特別支援学校に勤務しています。医療的ケアが必要な生徒や体調管理が難しい生徒も多いので生徒にとって過ごしやすい気温をキープできないことに不安を感じています。」(教員)

「動き回って働いているので生徒よりは暑いと思う。」(教員)

「子どもによって、体温も違うし、暑さや寒さの感じ方が異なる(個人差がある)ので、誰もが快適に感じる環境にするのは、難しいと感じている。」(教員)

「基本的に夏や冬の厳しい条件では集中できる条件ではない。また体力の落ちている児童・生徒には過酷な環境となる場合がある。」(教員)

   

学校の取り組み・仕組みについて

「人によって感じ方も異なるので、温度管理は難しい課題だと思います。うまく服装で調節できるように、制服の着用ルールを緩めている学校もあり(本校もそうだが、衣替えの時期を特に定めない形に変更した)、多くの学校でそういう対応が増えればよいと思う。また事務室での一括管理ではなく、教室ごとに温度設定ができるようにするとよい。」(教員)

「教室ごとの個別空調が望ましい。一斉空調は温度調整ができず、教室位置による温度差があっても調整できない。」(教員)

「断熱一切されていないので、結露も激しく、教室の天井や、壁には黒カビが残っています。その黒カビを落とすのも教員の仕事になっています。本務ではありません。日本の教育は、教員の献身的なただ働きで支えられています。国会議員の皆さんは、断熱のない過酷な教室で、一度議会を開いてみるとよろしいと思います。」(教員)

「建物、空調設備とも古く、かなり暑さを感じます。大規模な工事は難しいとは思いますが、予算立てはしてほしいです。さしあたって、遮熱遮光シートなどを取り付けるなど小さな工夫からできるとよいと思います。」(教員)

「北海道では、伊達市で児童がなくなったことを受け、窓用の簡易エアコンが各学校に全教室分(うちでは20台異常)配られました。しかしその設置に関しての予算はなく、誰がどのようにつけるのか不明で、廊下にエアコンが並んだままになっています。教員が4階の教室の窓に自分でつけたとして、不備があって落ちてしまった場合はどうするのでしょう。また、窓が閉められなくなるので毎年冬には取り外さなければ今度は冬に教室が寒くなりすぎます。工具等に不馴れな教員の仕事ではないと思いますし、校務補さん1人でする仕事でもないと思います。つけるのであればつける人の予算までいただかないと現場は困ります。教育委員会は保護者からのクレームなどに対して「対応した」と言うためにムリな政策を進め、現場が混乱しています。」(教員)

「学校全体の整備改善も必要ですが、同時に授業中困っている児童・生徒に、個別のミニ扇風機や、足元を温めるヒーターを学校側が貸し出しても良いのではないでしょうか。」(一般)

「可能であれば席の移動を考慮することも必要ではないか。」(一般)

「換気を良くし、湿度を下げること。窓にカーテンを付け日差しを避ける。校舎内に木を植え緑を増やす。気温28℃以上の日はクラブ活動を中止する。」(一般)

「暑い、寒いを先生に伝えてもエアコンを調節してくれない事がある。まだ、エアコンを使って良い許可が出ていないなどの理由。」(生徒と保護者)

「子どもの通っている学校では、どの教室もエアコンが付いているし、夏に外で集会や体育はしないなど工夫はされていると感じる。」(生徒と保護者)

「企業であれば室内の温度をエコの範囲内で調整するのは20世紀から当たり前で、子どもから聞くと授業中の教室の温度にバラつきがあることに驚きと呆れしかありません。昨今の温暖化で授業中の教室の温度の調節は夏に難しさがあるので、夏休みを倍に伸ばす等の対策も必要だと思います。」(生徒と保護者)

「コロナ禍中、換気をするので冬は寒いため上着を着ていいとなっていたのに、コロナ禍が明けたら授業中上着はダメとなり、でも寒いので困った。学校指定のセーターは薄くて、セーターを自由にしてほしいなど生徒会から学校へお願いをしたが通らず。教室の温度管理をしっかりしてほしいとPTAからは学校長にお願いした。」(生徒と保護者)

「先生が節電を優先しエアコンの使用を控えるため。」(生徒と保護者)

「暑くなったら冷房を入れますが、移動教室のため一度冷房を消すとすぐにサウナ状態に熱くなります。エコのためなるべく消すようにしていますが、体育や外遊びから帰ってくる子どもたちのためにずっとつけっぱなしにしてしまいます。」(生徒と保護者)

「夏は吊り下げ式のクーラー、冬は石油ファンヒーターがあるのでそれを使う。ところが市の予算の関係で、つけすぎると学校に連絡があり、管理職が注意される。それで管理職はつけないようにと指導する。」(教員)

「特に夏は暑く、冬は、灯油ストーブですが、使える時間が限られている(すぐなくなるため)ため、寒い時があります。廊下はとにかくさむいです。」(教員)

「校舎一括管理だと、温度を和らげたい時や、人がいない時もつきっぱなしなのは疑問に感じる」(生徒)

   

集中力について

「集中力に影響」(教員)

「快適でないために勉強に集中できない、でも自己責任と叱責されて学校に行きたくなくなるくらい困り事。」(生徒と保護者)

   

4.私たちにできること 

 以上のアンケートを通し、学校や個人がそれぞれにさまざまな思いや課題を抱えていることが確認された。また、回答者の約7割の人が「18℃以上28℃以下」の基準が教室内で守られていないことがあると回答し、温度設定に関する課題は大きいと考えられる。

 では、この問題を解決するために何ができるのだろうか。

 なるべく快適な温度で過ごせるためには、学校側の仕組みづくりや、教員、生徒の意識も大切だということがアンケートを通して見えてきた。学校で日々過ごす人達が出来る工夫もあるはずである。一方で、個人では対処しきれない部分に関して行政が動くことの必要性も見えてきた。

 少ないエネルギーで教室全体を過ごしやすい均一な温度に保つための効果的な対処法として、学校の建物を断熱するという方法をグリーンピースでは提案している。建物を断熱することで、建物外部との熱のやり取りを最小限にし、少ないエネルギーで過ごしやすい温度への到達を可能にする他、教室内での温度ムラの解消にもつながるのだ。また、教室の保温性が高まるためエアコンを切ってもすぐに温度が変化しなくなるという効果も期待できる。

 グリーンピースでは学校断熱に関する特設サイトを開設。このサイトでは、自分の学校を断熱するワークショップへの参加の案内や、全国での学校の断熱改修を文部科学省に求める署名の実施など、誰でも学校の断熱化に参加できる方法を紹介している。個人で参加できるものから、大規模な断熱改修に必要な行政の協力を仰ぐものまで、大きく6つの方法に分けて提案している。

特設サイト:夏涼しく、冬暖かい教室を子どもたちに