[解説] 地球温暖化で大雪が増える理由とは?矛盾のメカニズムと「ドカ雪」の原因に、なんで大雪・暴風雪になるの?
大雪による高速道路の立ち往生、暴風雪警報、雪かき中の死亡事故...。この数年、日本各地で豪雪被害が相次いでいます。「地球温暖化で雪は減るはずでは?」と疑問に思った方も多いはずです。実は、地球温暖化による海水温上昇で水蒸気が増え、「大雪」が起こりやすくなっています。豪雪のメカニズムとは?そして、温暖化による気象災害から私たちの暮らしを守るために、今できることは?詳しく解説します。
この投稿を読むとわかること
そもそも地球温暖化とは?
二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスが、太陽から届いた地面の熱を溜め込み、地球全体の平均気温が上昇することです。温室効果ガスは、英語では「グリーンハウスガス」と呼ばれますが、野菜を育てるグリーンハウスのシートのように、地球を温めてしまっています。
地球温暖化を止めるための国際協定「パリ協定」では、産業革命前からの気温上昇を1.5度未満にとどめることを目指していますが2024年に地球の平均気温は1.55℃、上昇してしまいました*。
地球全体の気候自体が温暖化によって様々な影響を受けて変わり、私たち人間の暮らしや動物たちの命を脅かすようになってきたため、「気候変動」「気候危機」とも言われます。
地球温暖化で大雪が増える?
今回注目したいのは、地球温暖化と雪の関係です。冬の平均気温上昇により日本全体の降雪量は減少傾向にありますが、一部の地域で「大雪」が増えているのです。
一見矛盾しているように感じますが、その理由は、大気中の水蒸気量にあります。気温や海水温が上昇することで、大気中の水蒸気量が増え、一晩や数時間で多量に降り積もる「ドカ雪」が起こりやすくなっています*。
こうしたドカ雪は、高速道路の立ち往生、雪かきの負担や孤立のリスクなど、私たちの暮らしへさまざまな雪害をもたらしています。
局地的豪雪を引き起こす「JPCZ」
とはいえ、なぜ一部地域だけで豪雪となってしまうのでしょうか。大きく関係しているのが「JPCZ(日本海寒帯気団収束帯:Japan sea Polar air mass Convergence Zone)」です。
JPCZは、冬の日本海に現れる雪雲が発達しやすい収束帯のことです。シベリア大陸からの寒気が朝鮮半島の山脈で二手に分かれ、再び日本海上でぶつかる(収束する)ことで発生し、長さ約1000kmにも及びます。集中豪雨をもたらす線状降水帯と似ていることから、「線状降雪帯」とも呼ばれます。
日本海側での豪雪をもたらすJPCZですが、さらに地球温暖化が、降雪量に影響を与えているということが、様々な研究から明らかになってきています*。
例えば2026年1月下旬、JPCZの発達に伴い日本海側で記録的大雪となりましたが*、このような事例は地球温暖化によって約3倍おこりやすくなったとの研究結果がでています*。また降水量も増加する傾向が指摘されています。
文部科学省と気象庁も、地球温暖化によって降雪量が約6%増加した、という研究結果をだしています*。

あなたの地域は大丈夫?日本の雪害リスク
日本では国土の半分以上が豪雪地帯に指定されており、約2000万人がその地域で暮らしています*。雪害の代表格は雪崩で、1〜3月を中心に全国各地で発生し、毎年死者・行方不明者が出る深刻な被害も報告されています。急斜面や植生がまばらな場所で起きやすく、気温の急変や大量降雪後は特に注意が必要です。

次に多いのが除雪中の事故です。除雪作業中の死者数は、雪による事故死の約8割を占めることもあります。屋根からの転落や落雪への直撃、除雪機への巻き込まれ事故などが代表的で、高齢者や一人での作業中に発生しやすいため、複数人での作業が欠かせません。
豪雪地帯でなくとも、積雪や凍結による交通事故や転倒事故が多く発生しています。降雪や吹雪による視界不良は重大事故を引き起こす可能性もあります。豪雪地帯に住む人はもちろん、冬山登山やスキーで訪れる人も、雪害の知識をしっかり身につけておくことが必要です。
地球は寒冷化している?
一部のソーシャルメディアなどの言説では、こうした豪雪被害を例にあげ、「地球は寒冷化していく」として、地球温暖化や気候危機を疑う声も多数あります。

たしかに地球は寒い氷期と、暖かい「間氷期(かんぴょうき)」のサイクルを数万年単位で繰り返しており、現在は暖かい間氷期にあたることは事実です。ですが、次に地球が寒冷化する氷期に入るのは、約5万年後とも推定され、とてつもなく長い期間を要します*。
問題なのは、産業革命から現在までのたったの200年程度で、世界平均気温を急激に上昇させてしまっていることです。100〜200年の間で1℃以上の気温上昇は、過去2000年の中でも異常なスピードとスケールであり、人間活動がなければ、自然には起き得ない温暖化です。
地球温暖化による「海洋熱波」が深刻に
1℃の気温上昇によって、すでに私たちの暮らしや生態系に深刻な影響が出ています。とくに近年懸念されているのが「海洋熱波」です。「海洋熱波」とは、水温が過去数十年と比較して顕著に高い状態が数日以上持続する現象で、生物の減少や生態系に多大な影響を与えています*。
2℃以上気温が上昇すると、1.5℃に比べ海洋熱波のリスクが一層高まり、熱帯のサンゴ礁は1.5℃でも現在の7~9割が失われ、2℃では壊滅的な損失に至る恐れが大きいとも言われます*。日本は海に囲まれている島国です。日本近海の平均海面水温は世界平均の2倍を超える割合で上昇しており、日本近海における生態系への影響も進んでいます*。

世界で広がる「気候被害」
もちろん影響は海だけではありません。干ばつによって、オーストラリアでは雑木林の火災が広がり、コアラを含む30億匹もの野生の命が奪われました*。 2025年1月には米ロサンゼルスで大規模な山火事が発生し、20人以上がなくなりました*。熱波や山火事による被害が世界各国で深刻な問題となっています*。

豪雨災害も深刻化しています。専門家によれば、1度上昇するごとに、大気中の水蒸気が7%増えます。梅雨前線や台風が大気中の水蒸気を取り込み、集中豪雨を発生させるリスクが高まります。例えば2018年7月の西日本豪雨について、気象庁も地球温暖化の進行に伴う長期的な大気中の水蒸気の増加によって降水量が増加した可能性を指摘しています*。

私たちにできること
注目すべきなのは、すでに1度の気温上昇で、こうした影響が出ているということです。1.5度から2度まで上昇した世界では、次の世代の子どもたちや動物たちは、どんな暮らしを強いられるでしょうか?
豪雪や豪雨の被害が悪化するのを抑え、私たちの命を守るためには、今からでもできることがあります。
今すぐに実現しなければいけないのは、CO2を最も多く排出する発電方法の、石炭火力発電をやめ、自然エネルギー100%を目指すことです。

発電なんて、私たちは直接影響を与えられないと思うかもしれませんが、実は、家やお店、オフィスなどで使う電力を、自然エネルギー100%に変えることができます。電気代として払うお金は、自然エネルギーへの応援になります。
以下のサイトから、お住まいの地域で自然エネルギー100%の電気を提供する、または100%を目指す電力会社を簡単に探すことができます。

グリーンピースは世界最大の熱帯雨林であり、数千億トンもの炭素を貯蔵することで気候を安定させているアマゾンの森を開発から守るために、政府や企業への働きかけを行っています。
それだけでなく、グリーンピースは、二酸化炭素排出量の削減、自然環境の保護、気候正義の実現を目指し、様々な活動を続けています。毎日の暮らしでできる環境に優しいアクションに加えて、社会の仕組み自体をよりサステナブルに変えるために、一緒に行動しませんか?