国際環境NGOグリーンピース・ジャパン(東京都港区)は10月27日、国内大手の自動車メーカー8社の世界7大主要市場における市場シェアの推移を分析した報告書『変わりゆく構図:東南アジア・中国のEVシフトと日本自動車メーカーが直面する課題』を発表しました。本報告書では、自動車産業調査会社マークラインズ社の販売データを元に、2021年から2026年上半期の期間、主要な国内自動車メーカー8社(ホンダ、いすゞ、マツダ、三菱、日産、スバル、スズキ、トヨタ)を日本、米国、中国、欧州、東南アジア、中南米、インドの主要7市場にわたって追跡調査し、各市場におけるパワートレイン別市場シェアの推移を競合他社25社と比較分析しました。その結果、これまで日系自動車メーカーが優位であった中国および東南アジア市場でEVシフトが進み、日系自動車メーカーの市場シェアが急低下していることが明らかになりました。米国・イスラエルのイラン攻撃に伴うオイルショックにより世界のEV移行が急加速するなか、ハイブリッド車を軸とする日系自動車メーカーの戦略では失った市場シェアの回復が困難になりつつあります。

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<報告書の主なポイント>

  • 世界市場において日系自動車メーカー8社を合算した市場シェアは、2021年の32.7%から2026年上半期には25.9%へと6.8ポイント下落した。一方で、同期間中、中国の自動車メーカーは14.7%から27.5%へと急伸し、世界の自動車産業において国別の最大グループとして日本ブランドを追い抜いた。
  • 世界の新車販売に占める内燃機関車(ICEV)の市場シェアは2021年の83.5%から2025年には61.7%に低下した。一方で、バッテリー式電気自動車(BEV)は10.8ポイント増の17.3%へと拡大し、従来型ハイブリッド車(HV)の4.8ポイント増を大幅に上回るペースを見せた。ICEVやHVに注力してきた日系自動車メーカーの戦略は、BEVやプラグインハイブリッド車(PHEV)の急速な普及スピードへの追従を困難にしている。
  • 米国と日本は、依然としてICEVが優位的な市場となっており、日系自動車メーカーは、世界的なシェア低下を、国内市場シェア94.4%という圧倒的な優位性と米国市場シェア39%のHV需要によって補完している。一方でその他の地域では、ICEVが競争力のあるEVに押されてシェアを落としており、欧州で1.0ポイント、中南米で4.3ポイント、インドで4.7ポイント、それぞれ日系自動車メーカーのシェアが低下した。
  • 中国と東南アジアにおいては、2021年から2026年上半期にかけて、日系自動車メーカーの市場シェアが全車種において大きく減退した。中国では、日本車のシェアは21.5%から8.5%へと急落し、東南アジア全域における日本車の市場シェアも73.9%から50.9%へと大幅に下落した。タイ(63%に低下)、インドネシア(72%)、ベトナム(34%)、マレーシア(21%)で、中国のEV競合他社や現地メーカーが積極的に市場シェアを獲得したことにより、市場シェアが低下した。

グリーンピース・東アジア 気候変動・エネルギー担当、エリン・チョイ

「ICEVの市場シェアが調査期間に21.8%低下した一方で、BEVシェアが10.8%拡大した事実は、世界的なEVシフトが不可逆的であることを示しています。これまで日系自動車メーカーが優位であった中国や東南アジアにおいても、ICEV市場の縮小に伴って急増するBEV需要を取り込めておらず、各社の消極的なEV戦略がシェア低下を招いた可能性が高くなっています。中東情勢の緊迫化以降、日本でもBEVの新車販売台数が増加傾向にありますが、世界市場の動向と比較して遅く、市場回復に見合うスピード感をもった戦略に改める必要があります。気候変動対策の観点からも、日系自動車メーカーが注力してきたHVには温室効果ガス排出量の削減効果に限界があり、真のゼロエミッション車の生産へ移行していくことが求められます。グリーンピースは、トヨタを筆頭とする日本の自動車メーカーに対し、HVを含むICEVの段階的廃止に向けた明確なタイムラインを策定するとともに、温室効果ガス削減経路に整合した市場別のBEVシェア目標を設定することを求めます」

以上