HELP展 In AOMORIの作品に見入る来場者 © HAKUA / Greenpeace

気候変動が生活や文化に及ぼす影響について知り、行動を起こすきっかけにしてもらおうと、気候変動をアートで感じる展覧会「HELP展〜30年後には消えてしまうかもしれない In AOMORI」(国際環境NGOグリーンピース・ジャパン主催、クリエイティブユニットHAKUA企画)が10月4日、青森県弘前市の弘前れんが倉庫美術館・市民ギャラリーで開幕しました。昨年11月に東京・青山で開催された「HELP展」の巡回展で、今年8月に開催された滋賀展(注1)に続き2カ所目の開催となります。

会場では、気候変動の影響などから、30年後に日本から失われてしまうかもしれない生物や文化をピックアップし、日本に迫る気候危機を五感で感じられる作品を展示。ぬいぐるみ作家の片岡メリヤス氏が本展のために制作した、ヤマネやホッキョクグマ、ヘラシギなど絶滅の危機にある動物のぬいぐるみ12点や、30年後に食べられなくなる可能性が高くなるほどネタ部分が透明になった寿司のオブジェのほか、料理研究家・土井善晴氏が日本の食文化と気候変動について語るインタビュー動画や、長野県・諏訪湖で冬に湖面が氷結し亀裂がせり上がる自然現象「御渡り(御神渡り)」とその伝統神事の危機を題材にしたショートフィルムが展示・公開され、来場者は作品を手に取ったり、スタッフに展示の意図を質問するなどしていました。ショートフィルム「御渡り」は今年2月タイで開催された国際映画祭のドキュメンタリー部門で最高賞を受賞しています。(注2)

また、会場には、政策決定者に自分の意見を録音して届けることができる「未来への伝言ダイヤル」と題した電話機が設置されているほか、来場者にリユースチケットを配布し、展示品や使用した資材などを希望者に無料で譲渡することで、ごみの出ない展示会の実現を目指しています。

この日会場を訪れた会社員の女性は、「青森県は農業や漁業が盛んな自然環境の宝庫。自分が住む土地への気候変動の影響を知るきっかけになった」と話していました。

会期は10月4日(金)〜6日(日)の3日間。会場は青森県弘前市の弘前れんが倉庫美術館・市民ギャラリー(弘前市吉野町2-1)。開場時間は午前9時〜午後9時(日曜日は午後5時で閉場)。入場無料。車椅子でのアクセス可。

最終日の6日午後2時からは、青森展オリジナル企画として、「青森の暮らしと気候変動」をテーマにトークイベントを開催。地球環境戦略研究機関(IGES)上席研究員・藤野純一氏、エフエム青森アナウンサー・中里玲奈氏、りんご農家「トキあっぷる社」代表・土岐彰寿氏、HELP展クリエイティブディレクター・宮園夕加氏が登壇し、青森の自然や風土と気候変動の影響について意見を交換します。


(注1)イベント報告「30年後の日本は気候変動でどう変わる?気候変動×アートの展覧会を滋賀で開催(2024年8月29日公開)

(注2)プレスリリース「諏訪湖の神事と気候変動描く映像作品『御渡り』タイの国際映画祭でドキュメンタリー部門審査員大賞を受賞」(2024年2月18日発表)