【INC5.2】ジュネーブの大気中にマイクロプラスチック検出ーープラ生産規制なければさらに増える可能性、グリーンピース報告書

国際環境NGOグリーンピース・インターナショナル(本部)は8月11日(現地時間)、国際プラスチック条約策定をめぐる政府間交渉委員会第5回会合再開セッション(INC5.2)が開催されているスイス・ジュネーブの大気中にマイクロプラスチックが含まれていることを明らかにした報告書『Living In Plastic Air』を発表しました。調査チームが7月17日、ジュネーブの街中を移動しながら、空気中に浮遊する微粒子(エアロゾル)の濃度や粒径を8時間測定したところ、マイクロプラスチック粒子12個を含む165個の粒子が検出されました。調査では10マイクロメートルを超える粒子のみを分析したことから、空中には10マイクロメートル未満の微小なマイクロプラスチックがさらに存在し、重大な健康上の懸念を引き起こす可能性があると考えられます。こうした被害を未然に防ぐためにも、グリーンピースは2040年までにプラスチック生産量を75%削減する、法的拘束力のある条約の成立を求めています。
<主な調査結果>
- エアロゾルモニター(Thermo Fisher Scientific社 pDR-1500)を使用し、8時間空気中の微粒子を測定。検出された165個の総粒子数を、高倍率の赤外分光法で分析した。
- 94個の断片の多くは20マイクロメートル未満で、肉眼では見えないサイズだった。
- 71本の繊維は、長さや直径が異なり、大部分はセルロースまたは加工された天然素材で構成されていた。
- 確認されたマイクロプラスチック粒子は12個(6本の繊維、6個の断片)および合成ポリマーと仮定される3個の粒子だった。
- 確認されたマイクロプラスチックには、衣類、包装材、家具などによく使用される素材であるポリエステル、ナイロン、ポリエチレン、ビニルコポリマー、セルロースアセテートが含まれていた。
報告書『Living In Plastic Air』全文(英語)はこちら
グリーンピース・スイス 循環型経済および消費の専門家、ジョエル・へリン
「スイスのように最先端の廃棄物管理システムがあっても、プラスチックが大気汚染物質となることを防ぐことはできません。私たちは空気中に存在するプラスチックを吸い込んでおり、吸い込まれたプラスチックは肺に侵入します。この事実は、公衆衛生と地球環境の存続に取り組む各国政府にとって、大きな課題となるものであり、政治的行動が求められます。プラスチックの規制に関する決断を遅らせるごとに、大気、水、私たちの体内にあるプラスチックの量が増加することになります。人々の健康を守るためにも、プラスチック生産を『源流』で削減する実行力のある国際プラスチック条約が必要であり、条約を失敗に終わらせてはなりません」
以上