[報告書]気候非常事態をひもとくー消費財メーカーはいかにして石油大手によるプラスチックの生産拡大を促進しているかー
国際環境NGOグリーンピース・ジャパン(東京都新宿区、以下グリーンピース)は本日(2021年11月9日)、気候変動とプラスチック生産の関連性を詳述した報告書『気候非常事態をひもとくー消費財メーカーはいかにして石油大手によるプラスチックの生産拡大を促進しているかー』を発表しました。要点は以下の通りです。

<主なポイント>
- 世界的に脱炭素の取り組みが進むなか、運輸・エネルギー部門における将来的な収入減に対応するため、世界の化石燃料大手がプラスチック生産に巨額の投資をしている
- プラスチックはそのライフサイクル全体で温室効果ガス(GHG)を排出するため、このまま生産拡大が続けば、世界はますますGHG大量排出の道筋から抜け出せなくなる危険性がある
- コカコーラ、ネスレ、ペプシコなどの日用消費財メーカーは、化石燃料業界大手を通じてプラスチック樹脂や石油化学製品を調達するメーカーから、容器包装を購入している。今回の調査では、こうした日用消費財メーカーと大手化石燃料企業がサプライチェーン上で繋がっていることを明らかにした
- また、両業界はリサイクルを目くらましとして利用し、使い捨て容器包装を制限する法律などに反対し、そのために業界団体を設立するなど数十年に渡りロビー活動を繰り広げてきた
- 両業界はケミカルリサイクルを「解決策」として推進しているが、そもそもこの手法は多くの問題を抱え、例えうまくいったとしても問題のほんの一端しか解決できない
- プラスチックの生産拡大は環境にとって有害なだけでなく、関連設備が近くにある地域にとっても有害であり、健康への影響も懸念されている。また、プラスチック生産が健康と環境にもたらす影響は、世界中で所得が低く弱い立場にある人々が住む地域に偏在している。
- プラスチック容器包装の削減は全く進んでおらず、エレンマッカーサー財団のニュープラスチックエコノミー宣言の署名企業でさえ、容器包装の使用量が減るどころか増えていた(2019年に0.6%増加)。これらの企業の容器包装のうち、リユース可能なものが占める割合はわずか1.9%にしか過ぎず、2018年から0.1%しか増えていなかった
- グリーンピースは、使い捨てプラスチック容器包装の段階的な廃止とリユースのシステムやパッケージフリー製品への全面的な移行を含めた抜本的な行動を、企業・各国政府・地方自治体に求める
目次
- 報告書の要約
- 排出集約型のプラスチック生産システム
- 主な調査結果
- 消費財メーカー
- 透明性を欠く大手企業
- 世界各地の地域社会を脅かすプラスチックの生産拡大
- 世界中でプラスチックの生産を拡大する化石燃料産業
- 米国:有害な拡大
- アジア:進む巨大化
- 欧州:米国産シェールガスへの転換
- 消費財メーカーは、使い捨てプラスチック容器包装を段階的に廃止し、リユースへと移行せよ
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