国際環境NGOグリーンピース・ジャパンは、プラスチックと気候変動の繋がりに関する生活者の意識を調べるために、10月21日〜22日にかけて18歳〜70代の各年代の男女100人、計1000人を対象に意識調査を行いました。その結果、気候変動対策としてプラスチックを大幅に減らすべきと回答したのは約8割、75%の生活者が使い捨てプラスチックの約50〜80%を段階的に大幅削減すべきと考えていることが分かりました。

<調査方法>
対象:国内在住の1000人を対象に18~79歳男女で10代刻み。
地域:全国
方法:グリーンピースが楽天インサイト株式会社に委託してオンラインで実施
時期:2021年10月21日(木)〜2021年10月22日(金)
有効回答数:1000人

  1. プラスチックのほとんどが石油などの化石燃料でつくられていることを知っているか聞いたところ、ほとんどの生活者が知っているという結果になった。

図1:プラスチックのほとんどが化石燃料由来であることを知っているか

  1. (上記設問で「はい」と答えた人に対して)世界の石油消費に占めるプラスチック生産の割合が約6%であることについての意見を聞いたところ、「想像したより石油の使用量が少なく感じた」と答えた割合が約4割になり、「想像したより多く感じた」と回答したのは4割弱とほぼ同程度に分かれた。

図2:世界の石油消費のうち、約6%がプラスチック生産のために使われています。これについてどう思いますか。

  1. 約80%が気候変動対策としてプラスチックを大幅に減らす必要があると考えていることが分かった。「どちらでもない」と回答したのは11.5%、「あまりその必要はない」「その必要は全くない」と考えている割合は合わせて8.8%に過ぎなかった。

図3: 気候変動対策として、私たちの社会は化石燃料依存を考え直す必要がありますが、その一環として、プラスチックも大幅に減らす必要があると思いますか。

  1. また、85%以上の人が気候変動に力を入れている企業が使い捨てプラスチックを大量に使用することなどは、できるだけ早くやめるべきと答えている。

図4:「気候変動対策に力を入れている企業は、使い捨てプラスチックを大量に使用・販売・廃棄することは、できるだけ早くやめるべきだ」この意見にあなたはどの程度賛同しますか。

  1. 次に、どのくらいの使い捨てプラスチック容器包装を減らす必要があるか聞いたところ、約50%~80%を段階的に減らすべきとの回答が約6割となり、段階的に全て廃止と答えた人も16.6%に及んだ。「特に増減は気にしない」「減らす必要はない」と考えている人は、二つを合わせても10%に満たなかった。

図5: 食品や日用品が入っているプラスチック製の使い捨ての袋や容器を現在よりも減らすことについて、あなたはどの考えに近いですか。(※災害、医療用など特殊な用途を除き)

  1. 石油由来プラスチックの代替として増加している紙製や植物性の「使い捨て容器包装」について意見を聞いたところ、62%が「減らすべき」と回答している。一方で、23%が「増えてもよい」と考えていることが分かった。

図6: 世界の廃棄物は2050年までに70%増加することが予測されており、「使い捨て容器包装」はその大きな要因です。石油由来プラスチックの代わりになる紙や植物(トウモロコシなど)製などの「使い捨て容器包装」も増えていますが、これについてあなたの意見に近いものをお選びください。


【グリーンピースの提言】

プラスチックの問題は「海洋汚染問題」として捉えられがちだが、今回の調査で多くの生活者が気候変動対策としてもプラスチックの大幅削減を進めるべきと考えていることが分かった。また、プラスチックを減らすことについても、75%の生活者が使い捨て容器包装を半減またはそれ以上を削減することを求めている。しかし、これらの大幅削減を達成するためは、現在のリサイクルと代替品移行に終始した取り組みでは実現できず、現在の使い捨てを前提としたモデルを変える必要がある。よって、グリーンピースは以下を企業に向けて提言する。

  • 自社で排出している年間の廃棄物量を明らかにし公開する。そのうち、使い捨て容器包装の素材・種類別の量を調査して公開する。
  • 使い捨てプラスチック問題はライフサイクル全体の課題であることから、持続可能なモデルへの移行に向け、化石燃料由来の使い捨てプラスチックから段階的にフェーズアウトするための目標設定およびロードマップを策定する。
    • 取り組みの中心にリユースを据え、いつまでに何%をリユースに移行するか(リユース目標の設定)を策定・公表し、使い捨て製品に依存しないリユースを基本としたビジネスモデルに早急に移行する。

グリーンピースは、「使い捨てモデル」を、リユースとリフィル(再使用と詰め替え)をベースにした新しい仕組みに移行するために、企業・自治体・専門家などと対話を続けています。詳しくは、グリーンピースのウェブサイトやソーシャルメディアをご覧ください。


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