国際環境NGOグリーンピース・インターナショナル(本部・アムステルダム)は、4月23日からカナダ・オタワで始まる「法的拘束力のある国際的なプラスチック条約(注1)を議論する第4回政府間交渉委員会(INC4)」を前に、日本を含む全19カ国の1万9088人を対象に行った国際プラスチック条約に関する意識調査の結果をまとめた報告書『PEOPLE vs PLASTIC!』を発表しました。調査では、全体の82%の回答者が、プラスチック汚染を止めるにはプラスチック生産量を削減する必要があることに賛同すると答えました。国別でみると、日本は多くの項目で賛同回答の割合が19カ国中最も低くなり、プラスチック汚染に関する問題意識の低さが浮き彫りとなりました。

<主な調査結果>

  • 全体の82%の回答者が、プラスチック汚染を止めるにはプラスチック生産量を削減する必要があることに「強く賛同する・ある程度賛同する」と答えた。日本の賛同率は、19カ国中最下位の68%で、そのうち強く賛同すると答えたのは22%だった。
  • 全体の75%の回答者が、国際プラスチック条約は使い捨てプラスチック包装を禁止しなければならないことに「強く賛同する・ある程度賛同する」と答えた。日本の賛同率は、19カ国中最下位の47%で、そのうち強く賛同すると答えたのは13%だった。
  • 全体の80%の回答者が、気温上昇を1.5度以下に抑え、生物多様性の損失を止めるために、プラスチック生産の削減に合意する国際プラスチック条約を「強く支持する・ある程度支持する」と答えた。日本の賛同率は19カ国中最下位の64%だった。
  • 日本は他国と比較すると賛同回答の割合が低い項目が多かったことから、プラスチック問題に関する理解をより科学的に深めていくことが必要である。

国際プラスチック条約に関する意識調査、全調査結果(日本語版説明資料)はこちら

報告書『PEOPLE vs PLASTIC!』(英語版)はこちら

グリーンピース・アメリカ グローバル・プラスチックキャンペーンリード、グラハム・フォーブス

「この調査結果は、大多数の人々が、プラスチック生産を削減し、使い捨てプラスチックを禁止する国際プラスチック条約を望んでいる、という明確なメッセージを示しています。世界の指導者たちは、今こそ人々の声に耳を傾け、立ち上がる時です。化石燃料産業に立ち向かい、民意を反映する強力な条約を実現しなければなりません」

グリーンピース・ジャパン シニア政策渉外担当、小池宏隆

「今回の意識調査から、世界で多くの人々がプラスチック生産量を削減し、使い捨てプラスチックを禁止するプラスチック条約を支持していることが分かりました。特にプラスチックごみの環境への流出で大きな影響を受けるフィリピンやインドネシアなどの国々では、使い捨てプラ禁止の支持が9割近くなっています。日本でも、プラ生産の削減や使い捨てからリユース・リフィルへの移行などの項目で過半数が賛同しています。これらの結果を受けて、日本政府には4月23日からカナダで始まるINC4で、より積極的にプラ生産を削減し、持続可能なレベルまで落とすこと、そしてリユース中心とする脱使い捨て社会へ移行することを盛り込む条約内容を後押しすることを求めます」

<調査概要>

対象:全19カ国に住む1万9088人(各国約1000人)を対象に16歳以上の男女、10代刻み

地域:19カ国(オーストリア、ブラジル、カナダ、中国、エジプト、ドイツ、インド、インドネシア、日本、マレーシア、メキシコ、ノルウェー、フィリピン、南アフリカ、韓国、タイ、アラブ首長国連邦、イギリス、アメリカ)

方法:グリーンピースがCensuswide社(注2)に委託してオンラインで実施

時期:2024年2月16日(金)〜26日(月)

有効回答数:1万9088人

(注1)グリーンピース・ジャパン 声明(2022年3月2日発表)

(注2)Censuswide社はイギリスの市場調査会社。