石炭火力発電増設計画「GENESIS松島」の中止を求める要望を電源開発に提出
国際環境NGOグリーンピース・ジャパンおよび国際環境NGO 350.org Japanは、4月1日に電源開発株式会社の加藤英彰氏が代表取締役社長に就任したことを受けて、4月8日に長崎県における石炭火力発電の増設計画「GENESIS松島」の中止を求める要望書を提出しました。本要望書は、同氏がこれまで、GENESIS松島を「見直す」「延期せざるを得ない」と述べていたことを背景に、石炭火力発電からの脱却を改めて求めるものです。
<背景>
電源開発(J-POWER)の松島火力発電所の1号機と2号機(いずれも50万kW)は、45年前の1981年に運転開始した、超臨界圧(SC)と呼ばれる低効率な旧技術を用いたものです。すでに1号機は廃止され、2号機は休止中ですが、「GENESIS松島」は、この2号機に10万kW相当の石炭ガス化発電設備を付加する計画です。
当初、GENESIS松島は、2024年に工事を開始し、2026年度に運転を開始する計画でした。ところが、2023年にJ-POWERは計画を延期し、「2026年:工事開始、2028年度:運転開始」とすることを発表しました。加藤社長の前任である菅野等氏は、2025年8月に「今秋、環境アセスメントの最終段階となる準備書の手続きに入りたい」と述べていましたが、現在に至るまで環境アセスメント手続きは中断されたままです。加藤新社長は、同計画について、これまで「見直す」「延期せざるを得ない」とコメントしていました。
気候危機の対応のために石炭火力発電からの脱却が世界で加速しています。GENESIS松島で導入がめざされている石炭ガス化技術によって削減できるCO2排出量はわずかです。これまで環境アセスメントでの多数の反対意見、J-POWERの株主総会の会場前の抗議アクションなど、気候変動を懸念する市民からの多数の懸念の声があがりました。さらに、大気汚染物質の排出量が他の発電所よりも大きいことも問題視されてきました。
松島火力発電所は当該地域の経済において重要な役割を担っていると認識されていました。地元地域の雇用の確保や持続可能な経済社会の発展のためには、早期のフェーズアウトが求められている石炭火力発電ではなく、持続可能な再生可能エネルギー事業こそが進められるべきです。
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国際環境NGOグリーンピース・ジャパン 気候変動・エネルギー担当、豊田育生
「気候危機が深刻化する中で、排出量の多い石炭火力に固執し続けることは、国際的な脱炭素の流れに逆行し、日本の産業競争力をも喪失させかねません。また昨今の中東情勢の緊迫化は、エネルギー資源を輸入に依存する日本のエネルギー構造がいかに脆弱かを改めて突きつけました。石炭火力の増設を推進することは、国民をさらなるリスクに晒し、化石燃料依存の体制を未来にまで固定化させる危険があります。今こそ、最も安価かつ迅速に開発できる電源であり、国内に豊富なポテンシャルを持つ再生可能エネルギーへの歴史的転換を実現させ、地域社会と共生した導入による真の安全保障を構築することが必要不可欠です。石炭火力増設という誤った選択は撤回し、未来を見据えた、自立したエネルギー体系の構築を求めます」
国際環境NGO 350.orgジャパン キャンペーナー、伊与田昌慶
「パリ協定1.5°C目標の達成のためには、日本のような先進国は国内の石炭火力発電所を遅くとも2030年までに廃止することが求められます。石炭火力発電のフェーズアウトをめざす『脱石炭国際連盟(PPCA)』には、すでに180以上の国・地域・企業が参加しており、英国は2024年に国内の石炭火力発電ゼロを実現し、韓国も石炭火力発電ゼロをめざすと宣言しました。このような『脱石炭』の流れにあって、GENESIS松島は、日本がいまだに『石炭中毒』から抜け出す意思がないことを示す象徴となっています。昨今のイラン情勢は、海外のエネルギー資源を輸入し続けなければならない構造の危うさを示しています。CO2をほぼ排出せず、コスト低下が進み、燃料が不要な太陽光発電や風力発電のような再生可能エネルギーこそ、2026年になされるべきビジネスの選択です」