日本政府は脱化石燃料依存への早急なシステム転換を進めよーー中東情勢悪化が突きつけるエネルギー危機、今こそ対策見直しを
国際環境NGOグリーンピース・ジャパン(東京都港区)は4月1日、米国およびイスラエルによるイランへの軍事攻撃を発端とする中東情勢の悪化、エネルギー危機および関連製品の価格高騰について、以下の声明を発表しました。
エネルギー政策の見直しについて
ーーグリーンピース・ジャパン 気候変動・エネルギー担当、豊田育生
中東情勢の緊迫化に伴うホルムズ海峡の封鎖によって、原油輸入の約9割を同海峡に依存する日本のエネルギー構造の脆弱さが改めて露呈しました。短期的な供給不安を緩和するための「石油備蓄放出」「石炭火力の稼働率引き上げ」などの政府による措置は、化石燃料依存を維持させるものです。今こそ日本政府は、この危機を「持続可能で自立したエネルギー体系への移行」という根本解決のための歴史的転換点と捉え、早急に対策を取る必要があります。
生産を特定の地域に依存する化石燃料とは異なり、太陽光や風力といった再生可能エネルギーのポテンシャルは国内に十分にあり、日本のエネルギー自給率を高めることができます。再エネは最も安価で迅速に開発できる電源であり、自然環境や地域社会に共生するかたちでの導入が可能です。外部環境に比較的影響を受けにくい再エネの加速的転換を実現することこそが真の安全保障です。化石燃料依存からの脱却のため、日本政府には、再エネへの大胆なシフトのための法整備と予算投入の強化、第7次エネルギー基本計画の緊急見直しを強く求めます。
交通部門の化石燃料依存について
ーーグリーンピース・ジャパン 気候変動・エネルギー担当、塩畑真里子
今回の中東情勢に端を発する燃料価格の高騰を受け、各国の政府は、市民に対して移動のための化石燃料の使用抑制を呼びかけ、代替手段を示しています。公共交通サービスを無償にしたり、在宅勤務を奨励するなどして、燃料使用を抑えるように努めています。ガソリン費よりも安価になるため、電気自動車への切り替えも加速しています。特にオーストラリアやニュージーランドでは、電気自動車の売上が急速に伸びています。
対照的に日本政府は市民にガソリンの使用を抑えることを呼びかけることもなく、ガソリン補助金の支給を一方的に決定しました。これは燃料費が上がれば補助金で補填すればよい、という短絡的な対応であり、また国民の税金を燃料供給会社に拠出することを意味します。脱炭素の妨げになるだけではなく、長期的なエネルギー経済保障のあり方を検討することも阻害することにつながる恐れがあります。日本政府は、経済・産業界や市民の声に向き合い、将来世代への負荷を軽減するためにも、日本の長期的なエネルギー安全を保障する戦略を検討するべきです。
ナフサ供給不安定化を受けたプラスチック政策の見直しについて
ーーグリーンピース・ジャパン 広報マネジャー、平井ナタリア恵美
ホルムズ海峡の事実上の封鎖による、エチレンの原料となるナフサ価格の高騰と調達難は、プラスチックをはじめとする石油化学産業の地政学的脆弱性を露呈させました。エチレンやプロピレンを原料とするプラスチックは、その原料のほぼ全てを化石燃料に由来しており、原料を輸入に依存している限り、地政学的リスクを免れることができません。不足が懸念される医療用製品など国民の生命に直結する分野への優先的支援は急務である一方で、プラスチック廃棄物の約40%を占める使い捨て容器包装類についてはあり方を本質的に見直し、脱使い捨てのビジネスモデルへの転換を進めるべきです。容器を繰り返し使用するリユースやリフィル、はだか売りなどの代替策の導入・推進は、使い捨てプラスチックの不要な需要を段階的に削減し、価格や供給を外部環境に左右されない強靭な経済基盤を構築する鍵となります。日本政府には、プラスチック削減の観点だけでなく、エネルギーおよび資源安全保障の観点からも、リユースの仕組みを社会実装するための合理的かつ迅速な政策推進を強く求めます。
武力行使について
グリーンピースは、米・イスラエルによるイランへの軍事攻撃を強く非難するとともに、攻撃に苦しむすべての人々への連帯を表明します。イラン政権による国民への暴圧ならびに湾岸諸国への攻撃にも断固反対しますが、それを理由に戦争を通じたさらなる市民の犠牲を正当化することはできません。イランの民間人だけでなく、湾岸地域の住民が経験している人的被害と日常の破壊に深い懸念を表明します。