「本質的価値の提供」「屋根置き」「リサイクル」が普及のカギ、進むべきは自然共生型ーー「太陽光発電に関する意識調査」全国1,032人に実施
国際環境NGOグリーンピース・ジャパン(東京都港区)は5月12日、全国の1,032人を対象に行った調査『太陽光発電に関する意識調査』の結果を発表しました。調査にあたり、環境問題への関心度や再エネに対する考え方の違いが太陽光発電への認識にどう影響するかを比較するため、対象者を「環境問題に関心有×再エネ必要」「環境問題に関心有×再エネ不要」「環境問題に関心無×再エネ必要」「環境問題に関心無×再エネ不要」の4グループに分類し、各層が同数になるようデータを収集しました。調査の結果、太陽光発電に関する情報収集に困難を感じている市民の実態や、再生可能エネルギーへの賛否を問わず「自然環境への影響」が最大の懸念となっていることが明らかになりました。受容できる太陽光発電の設置場所は「屋根上」であることや、リサイクル体制の整備を強く求める声が全層で共通していることから、太陽光発電の普及のためには、まず許容される「屋根置き」を標準化し、自然共生型の納得感のある導入モデルへの転換の実施が急務であると言えます。

<主な調査結果>
- 太陽光発電に関する情報収集について、「環境問題関心」層は、再エネの必要・不要という立場に関わらず、35.7%が「情報が多すぎて、何が正しいのか判断に迷う」と回答した。また、そのうち再エネ必要層の29.1%が「専門的で難しく、自分では判断しにくい」という問題を感じているのに対し、再エネ不要層の32.9%は「十分な情報があり、内容を理解している」とした上で再エネ不要の立場をとっていることが明らかになった。一方、「環境問題無関心」層は、情報への接触機会の欠如が顕著であり、特に再エネ必要層は約半数の47.3%が「そもそも情報に触れる機会」がほとんどないと回答している。
- 太陽光発電に関する懸念点と解決すべきと考える課題について、「自然環境への影響」がほぼ全ての層で最多(一部同率1位)となった。この傾向は特に「環境問題に関心有 × 再エネ不要」層で顕著であり、同層は「廃棄・リサイクル(70.9%)」や「近隣の生活環境への影響(56.6%)」など、多岐にわたる項目で強い懸念を抱いていることがわかった。再エネ必要層が「環境」や「コスト」への影響に注視する一方で、不要層は「景観」や「事業プロセスの透明性」も同時に重視するなど、賛否の立場によって懸念の範囲や優先順位が異なることがわかった。
- 受容できる太陽光発電の設置場所について、すべての層において「公共施設」「住宅」「工場・倉庫」といった建造物の「屋根上」への設置が支持の1位から3位までを占める結果となった。しかし、設置場所への許容度は層によって大きな差があり、再エネ必要層は多様な設置場所を検討できるとしている一方で、再エネ不要層では「納得できる場所はない」という回答が最大で4割近くに達している。また、全層を通じて「農地」や「山林などの未利用地」への設置に対する納得感は低く、環境負荷の少ない「屋根活用」や「既開発地の有効活用」を優先する社会的な合意形成が不可欠であることが明らかになった。
- 太陽光パネルの廃棄に伴う「リサイクル体制」について、「非常に重要(必須条件)」「ある程度重要」合わせて全体の84.7%が必要性を感じており、将来の廃棄に対する懸念の強さが伺えた。特に「環境問題に関心有×再エネ不要」層では75.6%が「必須条件」としており、再エネの賛否に関わらず、適正な処理体制の構築が不可欠であることが浮き彫りになった。
<調査概要>
| 対象者 | 日本国内在住の20代〜60代以上の男女(計1,032名) |
| 調査地域 | 全国 |
| 調査期間 | 2026年3月24日(火)〜3月25日(水) |
| 調査方法 | インターネット調査(委託先:株式会社マクロミル) |
| 割付条件 | 以下の4つの層が均等(258名)になるよう回収環境問題に関心有×再エネ必要環境問題に関心有×再エネ不要環境問題に関心無×再エネ必要環境問題に関心無×再エネ不要 |
「太陽光発電に関する意識調査」全調査結果はこちら
グリーンピース・ジャパン 気候変動・エネルギー担当、豊田育生
「太陽光発電の普及はエネルギー危機回避に不可欠ですが、今回の調査により、自然破壊や廃棄問題などへの懸念と、それらの情報が氾濫し正誤判断が困難にある状況が、太陽光発電のネガティブなイメージを形作っている可能性が見えてきました。太陽光パネルリサイクル義務化法案が本日の衆議院本会議で可決されることは一歩前進ですが、現行案はリサイクルの方向性を示すにとどまっています。リサイクル体制については回答者の8割以上が重要視しており、埋立処理ではなくリユース・リサイクルのより広い範囲での義務付けや、費用の透明性確保など、ライフサイクル全体を通じた制度設計が急務です。さらに、回答者の約8割が情報判断に困難を感じる中、今後政府や企業は、単なる導入量拡大ではなく、科学的根拠に基づく情報発信を通じて、再エネへの社会的信頼の再構築をする必要があります。具体的には、住宅など建築物への屋根置き設置を主軸とし、初期費用0円モデルの活用等で家計や地域の利益を可視化すると同時に、住民合意と環境共生を前提にした導入プロセスを確立すべきです。その上で、『屋根置き太陽光発電設備』の標準化と自然共生型太陽光発電設備の普及策を求めます」