グリーンピースは、スターバックスコーヒージャパン、タリーズコーヒー、プロントのすべて、またはいずれかのカフェを月2回以上利用する方を対象にカフェ利用時の使い捨てカップに関する意識調査を行いました。

その結果「使い捨てカップを減らすべき」と答えた人は8割を超え、使い捨てカップを使用する利用客のうち約68%が「店側の勧めがあればリユースカップをもっと利用したい」と考えていることが明らかになりました。

多くの人がリユースカップでの提供に好感を示しているにも関わらず、なぜカフェ業界からのごみは減らないのでしょうか?カフェのドリンクカップが環境へ与える影響と共に見ていきましょう。

「カフェの使い捨てカップ減らすべき」が8割超え

今年7月に公表したグリーンピースの調査では、日本の9つの大手カフェチェーンによって、年間3億6,950万個1日100万個の使い捨てカップが消費されていることがわかりました。*

最も多くの使い捨てカップを消費していたのは、スターバックスタリーズプロントの3社でした。

今回の意識調査では、大手カフェチェーンで1日あたり100万個のカップが使い捨てられていることについて8割以上が「使い捨てカップを減らすべき」と答え、使い捨てカップを使用する利用客のうち約68%が「店側の勧めがあればリユースカップをもっと利用したい」と考えていることが明らかになりました。

多くの利用客が使い捨てを減らすべきと考えており、店側の勧めがあればリユースカップを利用したいと考えています。

マイタンブラーをいつも利用している人は4.9%

8割以上が「使い捨てカップを減らすべき」と回答した一方で、今回の意識調査の結果、マイタンブラーをいつも利用している人はたった4.9%でした。

普段利用しない理由としては「かさばるから」が最多の49.8%「持ち歩くのを忘れるから」が45.1%続いて「カバンに入らないから」が23.2%など、マイタンブラーの広がりについて個人の努力に頼ることには限界があることが示されました。

もっとリユースカップを利用するようになるきっかけについては「はじめからマグ・グラスで提供されたら」「マグ・グラスの利用に割引があったら」がそれぞれ41.3%、41.7%で最多となりました。

この結果から、消費者の行動や環境意識の高さに依存せず、カフェの飲食提供の方法が変わらなければ、ごみの量は減らないことが分かります。一方で、店側が環境に配慮したリユースでの飲食提供をすることを多くのカフェ消費者が歓迎していることも明らかです。

では、カフェチェーン店は、どのように対応しているのでしょうか?

約85%が店内で使い捨てカップを使用

店内利用時のドリンク容器について聞いたところ、約85%が店内で使い捨てカップを使用していると回答しました。そのうち56.7%が「店側が使い捨てカップで提供する」ことを使い捨てカップを使用する理由として挙げました。

今年7月に公表したグリーンピースの調査では、使い捨てカップの消費量が多かったスターバックス、タリーズ、プロントでは、店内でドリンクを飲んでも使い捨てカップが使用されることが多く、スターバックスは10個中9個、タリーズは10個に7個、プロントでは10個中6個店内の飲み物が、使い捨てカップで販売されていました

一方で、店内飲食ではリユースマグカップの提供が積極的に行われているカフェチェーンも見受けられました。ドトールでは77%、上島珈琲店では84%、コメダ珈琲店では100%がリユースカップで提供されていました。

また、今回の調査では、店舗での使い捨てカップの提供がなくなり、リユースカップのみの提供になっても71%が継続して同じカフェを利用すると回答し、多くの人がリユースカップでの提供に好感を示していることが分りました。

カフェカップが環境に与える影響

2020年の「国際海岸クリーンアップ」の報告書によると、世界各地の海岸で見つかるもののトップ10に、プラスチックのリッド(ふた)、カップが入っていました。

日本では、使い捨てプラスチック・紙カップの大半が、焼却されています。焼却されるとCO2が排出されて気候危機の悪化に繋がります。また、プラスチックカップは化石燃料を原料とし、製造にはそれ以外にも大量の化学物質、エネルギー、水を消費します。

リサイクルが進んでいるように感じる紙カップも、紙自体は技術的にはリサイクル可能ですが、東京都環境局の報告書によれば日本ではほとんど再利用されていません。海外でも、英国0.25%、米国1%未満と、紙カップはほとんどリサイクルされていないのです。

コーヒーをもっと楽しむためにリユースへ

今回の調査では、多くのカフェユーザーが環境に配慮したリユースでの飲食提供方法にポジティブな姿勢を示していることが明らかになった一方、マイボトルやマイカップを持ち歩くことで使い捨てカップごみを減らすことはできますが、様々な理由からリユースカップの持ち歩きに難しさを感じている消費者が多いことも分りました。

また、41.3%が「はじめからマグ・グラスで提供されたら」もっとリユースカップを利用するようになると回答し、71%が店舗での使い捨てカップの提供がなくなり、リユースカップのみの提供になっても継続して同じカフェを利用すると回答しているように、店内飲食が環境に配慮したリユースにシフトすることでカフェの利用客が減ってしまう可能性も低いと考えられます。

それにも関わらず、一部のカフェチェーンでは、リユースが利用しやすい店内でも使い捨てカップを使い続けています。消費者もリユースを歓迎している以上、店内でのリユースカップによる提供を先送りし続ける理由はありません。

グリーンピースはこのような消費者の声を企業へ届けるために、使い捨てカップの消費量が多かった大手カフェチェーン、スターバックスコーヒージャパン、タリーズコーヒー、プロントの3社に向けて、使い捨てシステムからの脱却を求めた署名「1日100万個の使い捨てコーヒーカップをなくしたい」を始めています。

要望の内容はこの3つです。

  1. 「ごみの量を把握・公開して、野心的な削減目標を立てること」
  2. 「店内でマグやグラスを使うこと」
  3. 「テイクアウトでマイカップの持ち込み率を高め、同時に返却式リユースカップを導入すること」

誰がどこで飲食のテイクアウトを利用してもごみの出ない仕組みがなければ、ごみは出続けてしまいます。

現在、リユースへの切り替えにおいて遅れを取っている日本でも、消費者からの声でカフェ業界を牽引するチェーンを後押しし、「使い捨て」から持続可能なリユースへ、変化を起こしましょう。