国際環境NGOグリーンピース・ジャパン(東京都新宿区)は、2021年11月17日スターバックス コーヒー ジャパンが11月22日より東京都内・丸の内エリアで「借りて・返して・再利用」できるカップを利用した循環型サービスの実証実験の開始を発表したこと(注1)を受け、本日、以下の声明を発表しました。今回の実証実験は、NISSHA株式会社とNECソリューションイノベータ株式会社が提供する容器のリユースサービス「Re&Go(リーアンドゴー)」を活用して実施される予定です。


グリーンピース・ジャパンでは、使い捨てプラスチックから使い捨て紙カップへの移行を全国的に開始した日本のスターバックスに対して、今年の2月から「スターバックスさん、プラスチックでも紙でもない新しい”リユース”の仕組みを待ってます!(注2)」というキャンペーンを開始し、対話を行ってきました。この実証実験はグリーンピースが求めてきた、リユース(再使用)の仕組みの早期導入への第一歩となります。

グリーンピース・ジャパン プラスチック問題担当 大舘弘昌

「スターバックスの事業は、プラスチック汚染を引き起こし、気候変動にも影響を与えている使い捨て文化が土台になっており、見直されるべきです(注3)。今回、スターバックス コーヒー ジャパンがリユースの仕組みの本格導入検討に向けて動き出したことは、資源を使い捨てるモデルからの脱却に向けた大変重要な一歩であり、歓迎します。今後は、全国的な導入に向けて動き出す必要があります。

現状、多くの企業による使い捨てプラスチック対策がリサイクルや素材代替などに偏っていますが、これらは真の解決策となりえません。使い捨てプラスチック問題を解決するためには、まず使い捨て文化そのものを見直し、企業はリユースの仕組みや量り売りなどを大規模導入していくべきです。今回のスターバックスによる施策が、カフェなどの飲食業界だけでなく、消費財、小売なども含め、日本の大手企業にとってリユースを本格的に導入する契機となることが求められます。

グリーンピースとしては、プラネタリー・バウンダリー(地球の限界)を尊重したよりサステナブルなビジネスへの移行に向け、スターバックスが大量のごみを排出するコーヒーのテイクアウト(使い捨て)文化に別れを告げ、リユースカップによる新しいコーヒー文化にアップデートすることに期待します」

グリーンピースはスターバックス コーヒー ジャパンに、スターバックス韓国やヨーロッパ・中東アフリカ地域が発表しているような(注4)大幅削減に向けた目標とロードマップを公表することを、今後の行動(注5)として提案をしています。

プラスチックと気候変動リユースを進める事はプラスチック汚染だけでなく、気候変動対策としても重要です(注6)。スターバックスも今回の取り組みを通じて、CO2排出量を減らすことに言及しています。先日グリーンピースが行ったアンケート(注7)でも、約8割の生活者が「気候変動対策として使い捨てプラスチックを大幅に減らすべき」と認識していることが分かっており、市民の関心の高さも伺えました。

注1) スターバックス コーヒー ジャパン プレスリリース(2021年11月17日発表)

注2) グリーンピース・ジャパン 署名キャンペーン(2021年2月発表)

注3) グリーンピース・ジャパン報告書「リユース革命 ~カフェ業界における脱・使い捨て容器 に向けたソリューション~ 使い捨てプラスチックの課題と 先進事例から解決策を考える」(2021年8月発表)

注4) スターバックス「EU、中東、アフリカで再利用可能な循環型サービスを2025年までの導入を発表(英語)」(2021年6月発表)

注5) グリーンピース・ジャパン プレスリリース(2021年4月発表)

注6) グリーンピース・ジャパン報告書「気候非常事態をひもとくー消費財メーカーはいかにして石油大手によるプラスチックの生産拡大を促進しているかー」(2021年11月発表)

注7) グリーンピース・ジャパン「プラスチックと気候変動に関する全国生活者1000人アンケート結果概要」(2021年11月発表)