グリーンピース・ジャパンが事務局を務める、自治体の脱炭素を進める市民のプラットフォーム「ゼロエミッションを実現する会」では、今年も様々な成果を残すことができました。

特に大きな、この3つの成果について、ゼロエミッションを実現する会の参加者3名にお話を伺いました。

1. 建物の断熱義務化が実現
2. 横浜市でパブリックコメント意見数前回比3.5倍
3. 東京都で太陽光パネル設置義務化へ
自治体の気候変動対策を加速させるゼロエミッションを実現する会

市民の力で省エネと再エネが動きました

グリーンピース・ジャパンが事務局を務める「ゼロエミッションを実現する会」は、自治体の脱炭素を進める市民のプラットフォームです。

2020年9月にFacebookグループ「ゼロエミッション東京を実現する会」として立ち上げ、その後「東京ではないけど参加したい!」というお声をいただき、2021年より「ゼロエミッションを実現する会」として、全国から参加があり、それぞれのペースで活動しています。

ゼロエミのメンバーたちは、気候変動をどうにかしたい、どうにかしなくては!という気持ちで、協力し合い活動をしていますが、大きな障壁にぶつかることもしばしば。でも、みんなの力で、壁をのりこえ、成果をあげることができました

今年の活動で、省エネと再エネの分野で前進がありました。

1.建物の断熱を義務化する『建築物省エネ法改正案』国会提出

2.横浜市の地球温暖化対策実行計画へパブリックコメント前回比3.5倍

3.東京都でハウスメーカーに太陽光パネル設置を義務付ける条例改正

それぞれ目標に向かいどのように動き、達成したのか、3名のメンバーにお話を伺いました。

1.建物の断熱義務化が実現

東京都で太陽光パネル設置義務化へ

「建築物省エネ法」(改正案)は、家を建てるときに、断熱を施すことを義務とすることを含む法律改正です。2022年1月に開会した国会に提出される予定が、提出法案リストから漏れ、先送りされてしまいました。これについて、市民、専門家、事業者などがアクションをおこし、無事6月に建築物省エネ法改正案が国会に提出され、成立しました。

立役者の1人となった、青森県在住の中堀一弥さんにお話を伺いました。

「できることやり、みんなの力をあわせたら法律が改正されました!」ゼロエミッションを実現する会 中堀 一弥 さん(青森市)

ゼロエミッションを実現する会

どうして、建築物の省エネについて興味をもったかと言えば、自分の家を建てたときの経験からです。ハウスメーカーには暖かい家だよ〜と言われていましたが、それは「蓄熱暖房」でエネルギーをたくさん使えば「暖かい家」ということでした。

お家は一生のお買い物。せっかく建てた家が寒いなんて、エネルギーの過剰な使用や高額な光熱費を思うと、それこそ寒過ぎます。ということで、そもそも始めからしっかりした家を建てて!と法案を通すため、活動を開始しました。

建物の断熱は省エネ効果が大きく、気候変動にも有効です。その大切な建築物省エネ法が先送りになるという話があった際、それは大変!ということで、まずは与党の方へ連絡をしました。

はじめに、県内の国会議員2名に要望書を提出しました。次に、別の議員さんに相談したところ、勉強会を開催いただき、他の議員さんを紹介いただいたり、熱心に働きかけをしていただいたり、精力的に動いてくださいました。

その後も、メディアに気候危機問題をとりあげてもらう活動をしているMedia is hopeに報道関係者向けの説明会を開催してもらい、法改正の重要性が記事になったり、ネット番組にとりあげてもらうようはたらきかけてそれが実現したり….できることやり、みんなの力をあわせたら法案が審議されました!

その結果、6月に法案が提出され、そして成立しました。まさかのミラクルで、とても感動しました!ひとりひとりが声を出したら、いろんな人に伝わりました。すべてのことに、無駄なことはありませんでした。

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2.横浜市でパブリックコメント意見数前回比3.5倍

ゼロエミッションを実現する会

神奈川県横浜市の温暖化対策については、2021年から改定プロセスが始まり、今年の9月に市民の意見を募集するパブリックコメント(パブコメ)の募集がありました。ゼロエミッションを実現する会・横浜でも「パブコメを提出しよう」と呼びかけ、なんと、前回に比べ、約3.5倍の808件の意見が集まりました。

人数は574人約9倍の方が参加したことになります。

ゼロエミッションを実現する会・横浜のコアメンバーのおひとり、藤田理恵子さんにお話を伺いました。

「市民の声も増え、自分たちも成長できた」ゼロエミッションを実現する会・横浜 藤田 理恵子 さん

ゼロエミッションを実現する会

ゼロエミッションを実現する会・横浜は、現在は50%削減となっている横浜市の温室効果ガス削減目標を60%以上に引き上げるというゴールに向かい、お互いに助け合って活動しています。

たくさんの方に、パブリックコメントを提出いただくために、勉強会を開催したり、Instagramで問題点や意見案を発信しました。

パブコメでは、808件の意見の45%が、「温室効果ガス削減目標を引き上げて欲しい」というものでした。ゴールまでの道のりはまだ続きそうですが、市民の声が集まったという結果を出すことができました。

ゼロエミ横浜のメンバーは、横浜市議会の、温暖化計画が議論される委員会の傍聴もしました。委員会では、9名の委員のうち、5名もの議員が目標値の引き上げについて発言し、副市長からは「50%の高みを目指していくつもりです」という答弁がありました。

また、ゼロエミ横浜は、初めは3名だったコアメンバーは6名に、また繰り返し定例会を重ね、勉強会にも参加することで、コミット力を高め、より強力なチームとして成長しました。

8月に開催した「オールよこはま気候フェス」では、準備期間に横浜市の他の団体と連携をとり、31団体と繋がることができました。オンライン・オフラインを含め、310名という大人数に参加いただき、集客力や巻き込む力も上がりました。

そして、目標達成のために力を入れてきたことの一つに、ロビーイング活動があげられます。横浜市内の市議会議員85人中29人にコンタクトをとったり、打ち合わせをしていただいたりしました。

メディアの掲載にも力を入れ、タウンニュース・神奈川新聞・TBSラジオなど、様々なところに取り上げていただき、周知につなげました。

今年初めての取り組みとしては、12月に記者会見を行い、横浜市のパブコメ公開の結果について市民の声を取り入れていただきたく、声をあげました。これは、昨年の発足時には全く考えていなかったことで、チームとして成長したその一つの結果です。

多くの方にゼロエミ横浜について知っていただくため、Instagramにも積極的に投稿しています。4月に100名だったフォロワーは、400名となり、横浜市の温暖化対策について関心を持っている方が着実に増えていると実感しています。

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3.東京都で太陽光パネル設置義務化

東京都のハウスメーカーへの太陽光パネル設置義務化実現へ

東京都が提案した、ハウスメーカーへの太陽光発電設備設置義務化(新築住宅)について、SNSを中心に誤解に基づいた反対の声が高まる中、有識者とともに義務化についての正しい認識を広め、議員に働きかけるなど力を尽くし、義務化を実現させることに貢献しました。

ゼロエミの中で、いつもアクションを提案し、メンバーを引っ張ってくれている港区で活動をしている吉永さんにお話を伺いました。

「繋がりができて実現できた。アクションしていただいたみなさんのおかげ」ゼロエミッション港を実現する会 吉永 瑞能 さん

東京都知事は2021年9月、太陽光義務化の検討を表明し、東京都環境審議会にて検討を始めました。これは、カリフォルニア州やヨーロッパでの義務化を踏まえた上での強い気候変動対策とエネルギー問題への、都としてのひとつの答えだったと考えられます。

しかし、この東京都の義務化についてSNSなどを中心に反対の声が高まりました。東京都がこの件でパブコメを始めると、義務化のルールへの誤解などから、大変な太陽光ヘイトが吹き荒れて、非常に厳しい状況となりました。最初はメディアも反対の声ばかり取り上げていたように感じました。

義務化に賛成している私たちゼロエミは、強い危機感を持って対応・尽力しました。NGOや若者のグループなどもいっしょになってがんばりました。また、建築家や省エネ健康住宅の研究者の方々もメディアへの働きかけや積極的に取材に答えるなどされました。

結果、パブコメの数では蓋を開けてみると賛成意見が56%で反対意見を上回りました。特に若い方、20代では77%が賛成という結果でした。

しかし、都議会にも義務化に反対する議員が何人もいました。このままでは、声をあげている反対意見の波に、賛成意見が押されてしまう、そうならないために、都議会議員へのアクションの呼びかけを始めました。全国のゼロエミッションを実現する会の仲間が、都議会議員に連絡をして、義務化の意義を説明してくれました。

義務化に反対する請願も提出されたので、反対請願だけではないということをきちんと示すために、私たちも、締め切りの日に「太陽光発電設備の設置義務化の推進に関する陳情」を提出し、その際、ゼロエミッションを実現する会を始め、グリーンピース・ジャパン、FoE、環境エネルギー政策研究所、気候ネットワークなど、様々な団体が連名してくれました。

さらに、反対派の主張のみが報道に出ないように、反対派と当日に記者会見も開催しました。記者クラブやメディアは両方の意見を聞き、見出しは「反対」ではなく、「賛否あり」となりました

そして12月15日、本会議で賛成が過半数を超え、東京都の太陽光パネル義務化を含む条例は、無事に可決しました。

太陽光初善設置義務化の達成にむけ、多くの方と繋がり、協力できたということがよかったです。アクションしていただいた、みなさんのおかげです。

▶︎東京都の太陽光パネル設置義務化について詳しく読む

2022年も「仲間ができた」「アクションをした」

12月、「ゼロエミ2022 振り返りとお祝いの会」とし、2022年の振り返り・お祝いを行いました。ご紹介した3名がアクション成果についてお話しし、最後にみんなで「2022年こんなことができた!」ということを共有しました。

それぞれ、できたことにマークをつけました。

いっしょに活動しませんか?

ゼロエミッションを実現する会では、一緒に活動をする方を募集しています。

活動はできる範囲で。それぞれのペースで。「初めてだし、私にできること、あるの?」「仕事もあるし忙しいから、どこまでできるかわからない。。」という方でも、仲間がフォローしますので大丈夫です^^

自然環境を守りたい。地球の未来を守りたい。子どもたちに安心安全な生活を送れる将来を残したい。

そんな気持ちをお持ちであれば、できることはたくさんあります。一人ひとりのちょっとしたアクションから、世の中は変わっていきます

ゼロエミッションを実現する会へのご参加は以下よりお申し込みください。

Slackグループは、実際に自分の住んでいる自治体の脱炭素のために活動したい・している人たちがコミュニケーションをするためのSNSです。

また、情報交換、情報共有をするためのFacebookグループも運営しています。

まずはどんなことをしているのか、知りたいという方は、「ゼロエミッションを実現する会・オリエンテーション」にご参加ください。会についての説明を、毎週土曜日の朝9:30〜10:00にオンラインで実施しております。

ご参加ご希望の方は、下記Googleフォームよりお申し込みください。お申し込みいただいたのち、オリエンテーションのZoomリンクを自動返信にて送らせていただきます。