[Next100 PROJECT – スタッフVoice vol.8]
グリーンピース・ジャパンのスタッフ、一人ひとりの考えや今までの背景を紐解き、新たなビジョンとして策定した「地球の恵みを、100年先の子どもたちに届ける。」への思いをご紹介します。8回目は、グリーンピース・ジャパンのリレーションシップマネジャーを担当している石川せりのインタビューです。
© Chiaki Oshima/Greenpeace

自分の強みを生かして働くことが、環境をまもるというミッションにつながっている

国際環境NGOであるグリーンピースのスタッフの業務は、多岐に渡ります。せりさんが担うのは、グリーンピースの活動に賛同し、協力してくれる、社会的に影響力のある人たちとのコミュニケーション。

グリーンピース・ジャパンの活動には、メディアに登場しているような著名人や、特定の分野の第一線で活躍する人、ソーシャルメディアで活躍するクリエイターなどが協力してくれています。そんなコラボレーションを通し、さらにたくさんの人が環境問題に関心を持ち、環境アクションをする人を一緒に増やしていくのが、せりさんの役割です。

せりさんは、2016年に寄付サポーターへのコミュニケーションを担当をする部署のアシスタントとして入職。東日本大震災をきっかけに環境問題への意識を高め、留学先のイギリスで活発な社会活動を目の当たりにしたことが、環境保護に取り組む決意につながりました。

「帰国したら、環境保護のために働きたいと思っていました。NGOでの勤務経験はなかったのですが、自分でもできる事がないか探しました」

カフェレポート(2022年7月発行)のデータ分析の一環として、DEPT代表でアクティビストのeriさんの協力を得て、日本の大手コーヒーチェーン9社の使い捨てカップの重量を測定 ©︎ RailmanPhotoOffice / Greenpeace

その後、エネルギー問題担当のキャンペーナーを経験し、2019年から現職を務めています。その過程では、自分のやりたいこととポジションとの間にギャップを感じたこともありましたが、「悩みを周囲に相談できたことは大きかった」と当時を振り返ります。そのおかげで、自分の強みである、人とのコミュニケーションを通じて、相手が抱える課題意識や地球環境への思いを実現するために、多くの人を巻き込んで行動できる、現在のポジションにたどりついたのです。

コロナ禍になって以来は、基本的に自宅勤務。オンライン疲れが社会的にも問題視されていますが、せりさんは業務用のパソコンやスマートフォンに触れるのは勤務時間だけにするなどメリハリを意識し、サステナブルな働き方を工夫しています。

トークイベント「100年後の未来のための平和と環境」で登壇したグリーンピース・ジャパンのアンバサダー・武本匡弘さんと四角大輔さん、ピースボートの岡田絢さん、そしてボランティアの方々。
© Chiaki Oshima/Greenpeace

グリーンピースの価値観を共にするからこそ、コラボレーションが可能に

これまで、さまざまな著名人とのコラボレーションをリードしてきたせりさん。誰とどんなことをするかプランを策定するにあたり大切にしているのは、グリーンピースの価値観や目指す未来を共有してくれるかどうか。

「環境保護に関心を持ち、何かしたいと思っている方に対し、その思いをグリーンピースと一緒に実現しませんか?とお声がけするようにしています。グリーンピースから単にお願いするのではなく、その方から生まれた気持ちを大切にしたいんです

金銭が発生する仕事ではなく、環境をまもりたいという願いを一緒に形にする。だからこそ、さまざまな人たちが忙しい本業の合間をぬって、グリーンピースに協力してくれます。たくさんのファンを持つ方々による呼びかけは、広くたくさんの人へとメッセージを届けることを可能にします。

「たとえば、“畜産は環境負荷が高いので、肉食を減らそう”とグリーンピースが訴えても、理解されにくかったり、真意が伝わりにくいときがあります。けれども、環境NGOスタッフではないからこその伝え方で影響力のある方が訴えると、ファンの方から前向きな反応が得られたりするんです」

コラボレーションする人たちは、NGOとも環境保護とも別の分野で活躍していることがほとんど。異業界の人たちと仕事をする難しさを痛感しながら、トライアンドエラーを繰り返し、学び続ける日々です。


神奈川県逗子市で行った海洋プラスチック観察イベントで、グリーンピース・ジャパンのアンバサダーに就任した武本匡弘さんと、東京湾の海水を採取し、顕微鏡で海洋プラスチックの有無を観察。

グリーンピースの海外オフィスでは、世界的な著名人とコラボレーションすることも少なくありません。日本でも社会的な影響力を持つ人たちが環境問題や社会問題、政治などの分野で気軽にNGOとコラボレーションができる文化を実現したいと将来への希望を語るせりさんが考える、「100年後の理想の未来の理想の姿」とは?

今よりはよい世界になっていながらも、また新たな問題が出ていると思います。でも、違和感や疑問、反対の声をあげることそのものに意味があることを最近学びました。いま活動を続ければ、違和感や反対の声をあげていた人がいたという事実が残って、100年後に声をあげるかどうか迷っている誰かを後押しできると思います」

すぐに結果が出なくても活動を続ける。グリーンピースだけでできなくても、誰かと協力してもっと遠くへ届ける。あきらめることなく、ずっと前を見つめながら、忙しい日々を健やかに働き続けるせりさんです。

© Chiaki Oshima/Greenpeace

リレーションシップマネジャー

東日本大震災の経験を通して、人と環境を犠牲にしていたこれまでの生き方に気がつき、命の源である「環境」を守ることをライフワークにすると決心。人と人がつながることで大きなムーブメントをつくり、社会を少しずつ変えていけると信じています。

[Next100 PROJECT – スタッフVoice]
vol.1グリーンピース・ジャパン事務局長、サム・アネスリー
vol.2コミュニティアウトリーチ担当、儀同千弥
vol.3気候変動・エネルギー担当、ダニエル・リード
vol.4プラスチックキャンペーンプロジェクトリード、大館弘昌
vol.5気候変動・エネルギー担当、鈴木かずえ
vol.6オンラインコンテンツコーディネーター、林恵美
vol.7プログラム部長 高田久代
vol.8リレーションシップマネジャー 石川せり
vol.9人事部 吉江 猛

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