記事の投稿-気候変動
気候変動に関する投稿は、以下の一覧からご覧いただけます。
290件の投稿
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地球温暖化が引き起こしている4つの驚くべき変化
将来はもっと“極度の異常な天候”に備えておくべきでしょうか?…
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気候変動の脅威にさらされている4つの美しい場所
今後、私たちが気候変動や北極圏の石油採掘を止めない限り、ベニスを訪れるときは、シュノーケルが必要になるかもしれ…
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石炭が世界から消えている5つの理由
化石燃料産業を擁護しようとする政治家(わざわざいう必要はないと思いますが、トランプ大統領とか…)がいる一方、世…
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40,000羽のペンギンから生き残ったヒナは、たったの2羽。南極で何が起きている?
皆さん、こんにちは。海洋生態系担当の岡田です。先週は夏日の所さえあったのに、今週は一転。10月中旬にしてはとても寒い日が続いていますね。そんな中、南極からとても悲しいセンセーショナルなニュースが届きました[1]。写真:目の周りの白いリングが印象的なアデリーペンギン東日本の皆さんにはおなじみ、Suicaのマスコットキャラクターのアデリーペンギンに、とんでもないことが起きています。フランス人研究者によると、アルゼンチンの南に位置する、南極大陸アデリーランド地方ペトレル島の約4万羽のアデリーペンギンのコロニーから、今年はたった2羽しかヒナが生き残らなかったというのです。その原因は、ペトレル島周辺では海にただよう氷が増え、親ペンギンが餌をとる場所まで行くのに余計な時間がかかり、その間にヒナたちは飢えて死んでしまったというのです。孵化していない卵も島中で発見されました[1]。実は4年前にも同じことが!写真:アデリーペンギンのヒナたちさかのぼること4年前の2013年にも、同じコロニーに同様の出来事がありました。その時は1羽のヒナさえも生き残らなかったのです。原因は、今回と同じで、周辺海域にただよう海氷の激増により、餌をとりに片道100kmも余計に旅をしなくてはならなかったこと。他にも、記録的な雨量にみまわれたこと[1]。ヒナたちの羽毛は防水性が乏しく、親ペンギンに守られていても、雨にぬれてしまっては体温をキープすることが不可能だったのです[1]。海氷がふえたのは、一体なぜ?写真:南極で氷ができる(結氷)現象4年という短い間に、2度もこんな悲惨な出来事がおこったのは、2010年、東南極のメルツ氷河が断裂したことに原因があるのでは、といわれています。メルツ氷河からルクセンブルグとほぼ同じ大きさの氷片が分離したことで、同海域の海流の変化や、氷ができやすくなるなど、大きな影響を与えた、と考えられています[1]。この分離した断片は、世界人口の約1/3の人たちが、1年間に消費する水の量に匹敵します[2]。また海氷は近年、増加し続けています。塩分を含んだ水のほうが凝固点(固まる温度)が低いのですが、近年の気候変動により大陸周辺の海に真水の量が増えたことで、海水の凝固点が上昇し、氷ができやすくなったことに起因する可能性も指摘されています[1]。アデリーペンギンにしのびよる魔の手この様に、いま大変な危機にさらされているペトレル島コロニーのアデリーペンギン。その生態には、人間の行動による他の危険も差し迫っているのです。それは、漁業の拡大とツーリズムによるものです[1]。写真:南極アデリーランド地方にあるフランスのデュモン・デュルヴィル観測基地近くのアデリーペンギンアデリーペンギンの餌であるオキアミの漁獲を、ペトレル島周辺の海で許可してしまうことは、漁船とアデリーペンギンによるオキアミ争奪戦になりうるということです。4年という短い期間に2度も繁殖に大失敗し大打撃をうけているアデリーペンギンのコロニー。やっとこの大打撃から回復したところに、オキアミ漁業によりさらに負荷がかかることは、絶対にさけなければならない事態です[1]。写真:オキアミと呼ばれるエビに似た甲殻類。主にペンギンやクジラの餌になる。ペンギンたちのパラダイスを作ろう!南極海での海洋保護区設立の可能性を協議するため、10月16日から2週間の予定で、24の加盟国とEUが「南極の海洋生物資源の保存に関する委員会(CCAMLR)」のためにオーストラリアのホバートで集まっています[1]。もちろん、日本もこの委員会の加盟国です。写真:海氷の上のアデリーペンギン海洋保護区は、主に商業的な漁業や石油採掘などの生態系に大きな影響を与える開発を制限し、そのエリアの生態系を守ろうという取り組みです。去年、グリーンピース・ジャパンでもサポーターのみなさまにメールでお知らせしましたが、世界でいちばん大きい海洋保護区が南極ロス海に設立される事が決まったのも、まだ記憶に新しいのではないでしょうか[3]。写真:氷河を移動するアデリーペンギン4年という短い間に2度の繁殖大打撃をうけたペトレル島のアデリーペンギンたち。実は8年前、このペンギンたちが餌をとる海域を含んだ東南極を海洋保護区にしようという案が提出されています[1]。今年の委員会では、ペトレル島のアデリーペンギンたちに、これ以上の人為的圧力をかけないよう、東南極の海洋保護区の設立が期待されています。グリーンピースは世界の海の40%が海洋保護区に指定されることをめざしています。ペンギンたちのパラダイスを作りたい!そう思うみなさん、海洋保護区設立の気運を盛り上げるため、ぜひこのブログをシェアしてください。参考文献[1] TheGuardians:Penguinsstarvingtodeathisasignthatsomething’sverywrongintheAntarctic[2] TheGuardians:GiantAntarcticicebergcouldaffectglobaloceancirculation[3]SustainableJapan:南極海に世界最大の海洋保護区誕生。南極海洋生物資源保存条約で加盟国が合意海をまもりたい!…
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自然エネルギー現場紀行 クリーン電力 メガソーラーの問題点を考えよう
こんにちは。エネルギーチーム広報担当の城野です。今回は、問題点が指摘されている太陽光発電所についてのお話です。グリーンピースでは、自然エネルギーを広めるために、世界中でいろいろな活動をしていますが、自然エネルギーならなんでもいい!と考えているわけではありません。東京ドーム40個分、ソーラーパネル31万枚、出力89メガワット、敷地面積188ヘクタールという、なんとも大規模なメガソーラーが計画されている地域があります。長野県諏訪市、霧ヶ峰南麓の森林。新電力のLooop社(東京都文京区)が計画する「ソーラーパーク四賀」です。地元の方々から、エネルギー問題に取り組むNGOやNPOに、とても困っているとの相談があり、昨年11月にみんなで見学に行って来ました。このブログは、その時の情報を元に書いています。(写真:霧ヶ峰南麓の建設予定地で、地元の方々から説明を受けました)地元の方によると、膨大な量のソーラーパネルを設置するために自然豊かな森を切り開くので、大きな環境破壊が行われるとのことなのです。簡単にいうと、凸凹した土地には、パネルを敷きにくいので、山を平らにします。また、山にパネルを運ぶためには、建設用の道路をつくる必要があります。問題1調整池と盛り土が、土砂災害を誘発?工事によって発生する土砂はなんとダンプ5万台。自然の沢地を土捨て場にして埋める計画です。また、水害を防ぐ目的で一時的に水を貯める調整池というものをつくります。これらの土捨て場や調整池が、地震や大雨の際にこわれて、土砂災害が起こる危険性があると、地元の方が心配しています。問題2豊かな生態系がこわされる?計画地域には、5つの湿地帯が確認されていて、希少種も含め豊かな動植物が生息しています。ミズゴケなど、レッドリストに登録されているものもあります。自然環境が大きく変えられることで、こういった生態系までこわされてしまいます。(写真:計画地域にある希少生物がすむ湿地帯)問題3飲み水への影響このあたりには、大清水とよばれる大規模な湧水があります。山の生態系がこわされることで、大清水の水質や水量に悪影響があるのでは、と懸念されています。地域の2万人近くの方々の大切な飲み水です。問題4つくられた電気は東京へもここでつくられた電気は、東京をはじめとする首都圏にも送られるそうです。私はいま東京で生活しています。自分たちの電気のために、どこかのまちの誰かの暮らしや、豊かな自然がこわされているとしたら、そしてそれを知らずに、能天気に電気を使っていたとしたら、、、とても残念です。本当にエコで、サステナブルな電気、電力のあり方とは?ソーラーだからといって、自然エネルギーだからといって、なんでも良いわけではありません。どんな発電所も、結果的に回復不可能なほど自然環境をこわしたり、汚染したりするなら、持続可能とはいえません。自然エネルギーの発電所も、自然環境のなかに人工物をつくります。グリーンピースは、周辺の環境や生態系への影響を事前に確かめること、そして地域の住民の方が意思決定に関わることがとても大切だと考えています。また、そもそもエネルギーをむだなく使って、必要なエネルギーを減らす省エネへの取り組みも大切ですね。さて、長野県は、さかのぼること2016年1月に、全国で初めて、メガソーラーを環境影響評価(環境アセス)条例の対象にし、その第1号事例が、実はこの四賀メガソーラーパークなのです。適正なアセスメントが行われて、Looopが住民の懸念や意見をしっかり受け止め、双方が納得してプロジェクトが行われることを心から願っています。なお、グリーンピースもメンバーの一員である、自然エネルギーの電力会社を応援する「パワーシフト」はLooopと意見交換を続けました。現時点では、同社をおすすめの電力会社から外しました。(2017年4月)こちらのブログもオススメ!マンション住まいでも大丈夫。太陽光のパネルオーナー制度とは?【自然エネルギー現場紀行~山梨編~】自然エネルギー現場紀行太陽光in鹿児島編エネルギーチーム広報担当城野グリーンピースは、政府や企業からお金をもらっていません。独立した立場だからこそできる活動で、私たちの知らないところで進む環境破壊や生態系への影響を明らかにしています。寄付という形でも一緒にグリーンピースを応援していただけませんか?寄付する
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なぜ、市民が変えるエネルギー基本計画プロジェクト発足?
こんにちは。19日の午後、市民団体が力をあわせる「市民が変えるエネルギー基本計画プロジェクト」の発足集会が開催されました。会場は日中にも関わらず、120人の参加者が集まり、加えて議員の出席もあり、発足集会にふさわしい会になりました。なぜいま、「市民が変えるエネルギー基本計画プロジェクト」? まず最初に、FoEの吉田さんより、「市民が変えるエネルギー基本計画プロジェクト」を立ち上げることについて説明がありました。エネルギー基本計画は、エネルギー政策の土台になるもの。基本計画は、2002年のエネルギー政策基本法に基づいて、3年ごとに見直しすることになっていて、現行のエネルギー基本計画が2014年に策定されてから3年が経過する今年、見直しをするかどうかの議論が始まります。 2012年夏、2カ月にわたる国民議論が開かれ、日本で初めて、脱原発の方針が固められたことを覚えておいででしょうか?その議論を受けて、脱原発を盛り込んだエネルギー基本計画ができるはずだったのに、政権交代によって白紙撤回されてしまいました。そのプロセスが、現在すべて無視されてしまったことを忘れてはならない、と吉田さんは力強く話しました。3年が経ったいま、多くのことが変わりました。例えば、・電力会社の計画ほど、再稼働が進んでいない(でも、電力は不足していない)・省エネが進んだ・自然エネルギーが増えた・東芝のスキャンダル、もんじゅの廃止が決定。・世界では脱石炭の流れが進む・世界でも脱原発の明確な方針これらは、3年前には考えられなかった大きな変化。それを踏まえて、現実に基づいたエネルギー基本計画が欲しいですよね。ところが、現在、「エネルギー基本計画は原発の新増設が焦点」などと報道されています。世界でも日本でも、大きく変化する状況を無視しているかのようです。電力業界はこれまで、「環境(Environment)」にやさしく、「経済効率性(Economy)」もあり「エネルギー安全保障(EnergySecurity)」を満たす電源を考える必要がある、としてきました。2011年の東京電力東日本大震災のあとには、この「3E」に「安全(Safety)」のSを加えて、S+3Eとしています。電力会社は、S+3Eの観点から、原子力は必要だとしています。でも、S+3Eについて考えてみると、危険で万が一の事故の際にひどい環境汚染をもたらす原子力ではなく、省エネ・自然エネルギー社会を作ることが真のS+3Eではないでしょうか。エネルギー基本計画に市民の声を届けよう、「真の3E+S」からエネルギー政策を考え、政府に働きかけていこうと、プロジェクトは発足しました。 そのあと、S+3Eについて説明するプレゼンテーションがありました。詳しくご覧になりたい方は、ぜひあとで紹介する資料(*1)をご覧いただければと思いますが、ごくごく簡単にポイントだけご紹介します。 エネルギー安全保障について(ISEP松原さんより)グラフ:松原さんの発表資料より・自然エネルギーがエネルギー安全保障を高める、というのが世界でも一般的になってきた。太陽光発電+風力発電の発電設備容量の合計は、原子力の2倍になっている。・経産省は、原発を入れて自給率を計算しているが、原発の燃料となるウランはすべて輸入しているし、使用済み核燃料の再処理、再利用については、日本では破綻。エネルギー自給率の計算に、原発を入れるのはおかしいのでは? 経済について(東北大学明日香さんより) ・電力業界がいうS+3Eは、自然エネルギーが高く、原発が安い、そして原発は気候変動対策に必要、という結論ありき。・経産省の外郭団体、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)も、自然エネルギーの価格がそれ以外の発電方法よりも安くなっていると認識している。実際、アメリカでは補助金なしで風力・太陽光が安い状況になっている。・日本での電気のコスト計算には、原発事故のコストや、石炭火力発電によって生じる大気汚染被害のコストなど、入れるべきものが十分に反映されていない。 環境について(気候ネットワーク桃井さんより)・パリ協定では気温上昇を1.5度未満に抑えることが目標として掲げられた。そのために21世紀後半に二酸化炭素を排出ゼロにする必要あり。ただ、各国の目標を合計しても目標には届かず、目標を見直し削減量を大幅に減らす必要がある。・世界の方向は脱石炭(イギリスは2026年、フランスは2023年、カナダは2030年石炭から撤退すると発表。中国も100以上の建設を中止。韓国は脱石炭・脱原発)・海外のNGOによる各国の気候変動対策評価では、58カ国中、日本は下から2番目の評価(サウジアラビアの次に悪い)。評価の主な理由は、日本国内で石炭火力発電所の新設計画があるため。・日本政府は、高効率の石炭火力発電を日本の経済戦略に位置づけているが、高効率火力発電でも、CO2の排出量は天然ガスの2倍。石炭火力発電所は、1度稼働してしまえば数十年間にわたって稼働するので、やめるなら計画段階の今。・原発はCO2を出さずに環境に優しいゼロエミッションと言われるが、万が一の事故の放射能汚染は計り知れず、また通常稼働で発生する使用済み核燃料も問題。 安全について(原子力市民委員会松久保さんより)・東京電力福島第一原発事故を経験した国として、安全はとても重要な要素。・原発の燃料ウランは放射性物質を、石炭火力発電も二酸化炭素に加えてNoxやSoxなどの有害物質を排出する。・アメリカではサイバーテロが発生。原発はターゲットとはなっていないが、電力供給網が狙われた。もしも、原発につながる外部電源を狙われたとしたら危険。アメリカでは原発に対して武力攻撃を想定し、規制当局がシミュレーションしているが、日本では・・?・原発事故のリスクは大幅に軽く見られていた。「10万炉年に1度」との想定が、実際は「10炉年に1度」になっている。色々な条件のもと事故発生を想定したものだが、非常に楽観的。 話そう、声をあげようS+3Eのそれぞれの説明に加えて、プロジェクトの趣旨に賛同するさまざまな団体から、活動紹介や、政府に求めることなど、メッセージもいただきました。例えば、・電力会社も持つ生活クラブ生協・地産地消の電力会社の立ち上げを実施・支援するワタミファーム&エナジー・実践を通じて自然エネルギーを普及させるエネルギーから経済を考える経営者ネットワーク会議・エネルギーシフトで持続可能な社会を目指すとしたエネルギー宣言を発表している中小企業家同友会・そして金融機関としてエネルギーの分野でも先進的な情報発信や取り組みを続ける城南信用金庫大手電力会社からなる電気事業連合会の会長は、エネルギー基本計画について「特定の電源に集中せず原子力、石炭、ガスをバランスよく構成するもの。原子力は安定経済性、環境保全などの要素を満たす大きな役割がある」(*2)と取材に答えています。だからこそ、「脱原発・脱石炭」という声をあげていくことは、とっても大切。市民団体だけではなく、いろんな立場で声があがっていること、とても心強く思います。まずは、「そういえば、エネルギー基本計画が見直されるタイミングなんだな」と知っていただいて、そしてもしも電気のこと、エネルギーについて話題にのぼったら、すかさず「エネルギー基本計画見直し!」と周りの方にシェアしてみませんか?現在、他の団体さんたちと協力して、エネルギーについてのリーフレットを鋭意作成しています。また、皆さんと一緒に議論し、声をあげる場も作ってはどうかとも話し合っています。今後の活動もブログやメールマガジンなどでお知らせしますので、まだの方はぜひこの機会にメルマガご登録ください!登録はこちらから! *1:発足集会の当日の資料は、こちらをご覧ください! …