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記事の投稿-トピック

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686件の投稿

  • ニホンミツバチたち、気をつけて!〜農薬の有害性に新事実

    皆さんこんにちは、食と農業担当の関根です。今日は、ニホンミツバチLoversの皆さん必見のお知らせです。ニホンミツバチたちは、養蜂業で一般に飼育されているセイヨウミツバチよりも約10倍農薬に弱い、という研究結果が発表されたのです。[写真:ニホンミツバチとその巣藤原由美子さん提供]今年の3月1日に発表された、国立研究開発法人森林総合研究所など日本の研究者たちが、殺虫剤のニホンミツバチへの急性毒性の調査やアジア地域の野生ミツバチに関する検討した論文[1]によると、❏ ニホンミツバチはセイヨウミツバチ8〜14倍も農薬(殺虫剤)に弱い❏ セイヨウミツバチの研究では、ハチに毒性の高いネオニコ系農薬の中でも特にフィプロニルやイミダクロプリドが強い毒性をもつとされているが、ニホンミツバチに対して最も毒性が強かったのはジノテフランで、続いてチアメトキサム、フィプロニルだった。❏有機リン系殺虫剤でもニホンミツバチはセイヨウミツバチより弱いということが新たにわかりました[2]。[グラフ:論文の数値に基づいて「有機農業ニュースクリップ」が作成したもの]上のグラフは、ネオニコ系農薬や有機リン系農薬の毒性の強さについてセイヨウミツバチとニホンミツバチを比較したもの。数字が小さい(グラフが低い)ほど毒性が強いことをあらわしています。ミツバチに対して毒性が強いのが、棒グラフが一番低いジノテフランになるのですが、これは、日本でも最近急激に使用量が増え、現在はもっとも多く使われているネオニコチノイド系農薬です(下のグラフの下の方の明るい青の部分がジノテフラン)。[グラフ:国立環境研究所農薬データベースより「有機農業ニュースクリップ」が作成]ニホンミツバチは、アジアに生息する「トウヨウミツバチ」の一種で、日本にしかいない固有種。もともと野生に生息していますが、プロの養蜂家の他、個人の趣味で飼う愛好家も増えています。最近では、たとえば富士見高校(長野県)や工学院大学(東京都)など多くの高校や大学のサークルで育てられるようになっている他、コミュニティ事業(銀座ミツバチプロジェクト)など、組織や地域で人をつなぐ立役者にもなっています!そして、ニホンミツバチたちは、さらに重要な役割を果たしてくれています。それは…野生のハチたちも守ってほしい私たちの食は、野生のハチたちのもたらす恵みに大きく支えられています。昨年、農業環境技術研究所が発表した研究によると、野生のハチなどの生物たちが授粉によって生み出す経済価値は、授粉による価値全体の7割にのぼることが示されています(下のグラフの青い部分)。[図:農業環境技術研究所プレスリリース(2016.2.4)より]こんなに大事なハチたちなのに、農薬の認可を申請するとき、農薬メーカーが毒性データを提出しなくてはならないのはセイヨウミツバチについてのみ。それより10倍も農薬に弱いニホンミツバチについて、毒性や影響を検討されることはありません。農薬の認可のあり方も見直すべきときがきているのではないでしょうか。日本でも…いえ、日本だからこそ規制が必要ですニホンミツバチにもっとも毒性が強いことがわかったジノテフランは、日本では、特に水田への使用が多くなっています[3]。農林水産省は、ネオニコ系農薬など、ハチに毒性の強い農薬をまくときは「まきますよ」ということを養蜂家に事前に通知すれば養蜂家が移動できるので被害は防げるとしていますが、野生のハチはそうはいきません。野生の花粉媒介生物や、かれらがもたらしてくれる恵みを守るために、農薬により弱い固有種のニホンミツバチが棲む日本でこそ、早急にネオニコ系農薬などの使用規制が必要です。[写真:野生のニホンミツバチの巣。御園孝さん提供]署名で、ネオニコはもうやめてという意思を伝えよう規制と同時に大事なのが、次々と新しいネオニコチノイド系農薬の解禁をしないこと。いま、新たに日本で導入されそうになっているネオニコ系農薬(スルホキサフロル)を止めるために、市民団体が協力して、緊急オンライン署名を立ち上げています。こちらのバナー↓をクリックして、署名にぜひ参加してください。あなたの署名と意見で、一緒にネオニコの解禁を止めてください!もう署名したよ、という方は、お友達にぜひシェアしてください。署名用紙もこちらからダウンロードできます。食の恵みを支えてくれるミツバチ、そして子どもたちの未来をまもりましょう。[1]InsecticideSusceptibilityinAsianHoneyBees(Apiscerana(Hymenoptera:Apidae))andImplicationsforWildHoneyBeesinAsia(トウヨウミツバチの殺虫剤に対する脆弱性と、アジアの野生のミツバチについて示唆されること)[2]この研究では、接触(胴体の背中側に試験対象の殺虫剤を塗る)試験で、塗ってから48時間経過した後の半数致死量を調べている。[3]農業環境技術研究所プレスリリース(2016.2.4)農作物の花を訪れる昆虫がもたらす豊かな実り-日本の農業における送粉サービスの経済価値を評価-…

  • 「日本では活況」ガラパゴス化する日本の石炭

     こんにちは。グリーンピースのエネルギーチームでインターンをしているおさないです。2015年、日本の発電の32%をまかなっていた石炭火力発電。政府や電力会社は「日本の石炭火力はクリーン!」と宣伝していますが、石炭火力発電所は、発電方法のなかで気候変動の要因となる二酸化炭素の排出がもっとも多い発電方法。実は、世界全体では石炭火力発電所は減っているのですが、日本では増えているんです。今回は、グリーンピースと、環境団体のシエラクラブ、コール・スワームが発表した最新の報告書『活況と不況2017』についてご紹介します。世界中で、気候変動対策が急務ないま、発電所の数が増えているのか、減っているのかを知ることはとてもたいせつ。最新の報告書では、世界の石炭火力発電所の計画について、分析をしています。この報告書によると、世界で計画されている石炭火力発電所の件数は、2016年に増加から減少に転じました。2017年1月現在、石炭火力発電所が多いと言われてきた中国・インドでも、両国であわせて68GWの発電所が建設停止となっています。また、石炭火力発電所の廃止も加速しており、主にヨーロッパとアメリカでは、過去2年間で64GW相当の発電所が閉鎖されました。石炭火力発電は、大気汚染の原因となっています 世界的に石炭火力発電所の建設がストップその理由とは一つは、経済の理論。中国での2015年の石炭火力発電所の平均設備利用率は50%以下。つまり、もっと使える発電所が使えていないので、電力会社にとって、採算の悪い発電方法になってしまっているのです。また、インドの動力省は、2016年6月の時点で、2019年までの電力需要をまかなえる石炭火力発電所がすでにあるとしており、新たな発電所は必要ないため、計画が延期・廃止されています。これは「必要がないから作らない」という論理。もう一歩進んで「必要があったとしても、採算がとれないから作らない、やらない」というビジネス界の「経済の理論」があります。アメリカでは、311後「経済の理論」によって原発ビジネスに見切りがつけられ始めています。大きなニュースとなっている東芝の大きな損失につながっているウェスチングハウスも、アメリカの原子炉メーカーです。石炭火力発電所でも、同じようなことが起き始めています。世界76カ国の688の機関が、石炭からの投資の引き上げ(ダイベストメント)を約束しているのです。世界中で石炭の時代を終わらせようというムーブメントが起きています。写真は、韓国で開催されたマーチの様子。この報告書によると、気温上昇を1.5度未満に抑えることを世界各国が合意したパリ協定の目標を達成するためには、新規の石炭火力発電所の建設を止めるとともに、既設の発電所を閉鎖することが重要で、現在の閉鎖スピードを2倍にする必要があります。 取り残される日本「ガラパゴス化する日本」というのは随分前から言われている表現ですが、実は石炭火力発電所の点でも、日本は世界から取り残されています。日本において過去5年に建設された発電所は1,950MW。現在、その2倍以上の4,256MWが建設中で、さらに多くの17,243MWが建設前段階にあります。そのため、報告書の中では、「中国とインド以上に注目すべき10カ国」にあげられています。さらに、下表にあるように、石炭火力発電所の延期がゼロとなっているほとんどの国の発電所に、日本が関わっています。日本は「安価な石炭火力」という「経済の理論」を装って、石炭火力発電所建設を官民一体となって牽引しているのです。 わたしたちにできること自分が利用している電気会社が全発電量の内、どのくらい石炭を使っているかを知ることは、最初の一歩かもしれません。2015年度実績によると、一番多く石炭火力を使っているのは北陸電力の64%。あなたの電力会社はどうでしょうか?iSwitchに参加して、「電力会社クリーン乗り換えガイド」をぜひ参考にしてみてください!よくある質問をまとめたQ&Aも好評です。クリックして#iSwitchに参加する>まずは↑をクリック。「電力会社クリーン乗り換えガイド」の見本もちらっと見られます。 もうひとつ、わたしたちにできること実は、日本が官民連携して推進しているのは、日本国内の石炭火力発電所だけではありません。現地では地元の方が抗議の声をあげ続けてるにも関わらず、昨年6月、国際協力銀行(JBIC。日本政府100%出資)は、インドネシア・中ジャワ州のバタン石炭火力発電事業に、約21億ドルもの巨額融資を決定しました。政府だけではなく、日本の大手電力のJパワー、伊藤忠商事も参画し、日本の民間銀行も融資をしています。〈注〉バタン石炭火力発電所の建設反対の抗議活動。農業や漁業を生業としてきたインドネシアの人々から、土地や自然の恵み、そしてそれまでの暮らしを奪う石炭火力発電の計画。日本にいてもできることは、まずは知ること、そして情報をお友達にシェアすること。ぜひこちらの情報をご覧ください。  報告書『「活況と不況2017世界の石炭火力発電所計画の追跡(原題:BoomandBust2017:TrackingTheGlobalCoalPlantPipeline)』へは、こちらからアクセス〈注〉http://toyokeizai.net/articles/-/112030    グリーンピースは、政府や企業からお金をもらっていません。独立した立場だからこそできる活動で、私たちの知らないところで進む環境破壊や生態系への影響を明らかにしています。寄付という形でも一緒にグリーンピースを応援していただけませんか?寄付する  関連ブログ住民は猛反対――石炭をめぐる日本とインドネシアの「遠くて近い」問題壊されそうな農村を守りたい。インドネシア住民が、日本企業による石炭火力発電所の建設に反対する理由とは?気候変動が引き起こす人権問題…

  • フランスで強度不足原発再稼働。問題は終わったのか?

      こんにちは。エネルギーチームの鈴木かずえです。 フランスで建設中の原発の部品に強度不足が発覚した問題。 ま…

  • 農薬メーカー優先:ミツバチへの害は「秘密」のまま承認される農薬

    いま、ミツバチに有害な新たなネオニコ系農薬が解禁されそうになっています。なぜ、害があるとわかっているのに、つぎ…

  • みんなが笑顔に戻れる日まで

    明後日3月31日は、福島原発事故で被害を受けたたくさんの人々にとって、大きな分岐点となります。…

  • 日本の消費者を不安にさせる「”非”科学的な」農薬残留基準の決め方

    みなさんこんにちは、食と農業担当の関根です。…