COP16にあわせて生物多様性の大切さを訴え、グリーンピースが国連広場に設置した生き物を描いたドミノ
生物多様性の大切さを訴え、グリーンピースはCOP16にあわせて国連広場に生き物を描いたドミノを設置した。ドイツ、ボン(2024年10月)

高さが美しい晴れ空があったかと思えば、急な大雨に予定を狂わされたり、読めない秋空に翻弄されたひと月。この10月には、日本被団協のノーベル平和賞受賞をはじめ、日本からの嬉しいニュースが多くありました。2024年10月にみなさんと一緒に達成した環境活動の成果をお届けします。

日本:日本被団協ノーベル平和賞受賞

日本原水爆被害者団体協議会(以下、日本被団協)が、10月11日に2024年度のノーベル平和賞を受賞しました。長きに渡って草の根で続けられてきた被爆者の証言を通した核兵器廃絶運動が評価され、個人197、団体89、計286候補からの受賞となりました**

広島原爆投下60周年を記念し、グリーンピースによって飛ばされた平和のメッセージが書かれた鳩のバルーン
広島原爆投下60周年を記念し、広島平和記念資料館前で平和のメッセージを書いた鳩が飛ばされた(2005年5月)

日本被団協は、1956年に結成されて以来、唯一の被爆者の全国組織として活動を続け、「核兵器は二度と使われてはならない」という認識を世界にひろめました。グリーンピースは、日本被団協の受賞を心から祝うとともに、引き続き各国に核兵器禁止条約(TPNW)への批准を求めます。

日本 :気候変動体感するアート展、青森で開催

青森県弘前市で気候変動を感じられるアート展「HELP展」が開催されました。

HELP展は、グリーンピースとクリエイティブユニットHAKUAによって、気候変動の影響を身近に体感してもらえるよう工夫を凝らして企画されたアート展。東京都港区青山で開催されて以来、滋賀県大津市に続いて2カ所めとなる巡回展です。

青森県の弘前れんが倉庫美術館、市民ギャラリー・スタジオで開催された「HELP展 〜30年後には消えてしまうかもしれない In AOMORI〜」の展示
青森県の弘前れんが倉庫美術館、市民ギャラリー・スタジオで開催された「HELP展 〜30年後には消えてしまうかもしれない In AOMORI〜」の展示(2024年10月)©︎HAKUA/Greenpeace

青森展限定のトークイベントやアート作品の募集が行われた他、東京と滋賀でも好評を博した展示の数々、COP29のサイドイベントでの上映が決定した『御渡り/MIWATARI』の上映も行われ、約460人以上が来場する盛況となりました。

東京での開催から数えて、HELP展への来場者数は3回の展示でのべ1,440人に上っています。

日本:映像作品『御渡り』COP29イベントで上映決定

11月11日より、アゼルバイジャンのバクーで第29回国連気候変動枠組み条約締約国会議(以下、COP29)が開催されます。COP29は国連気候変動枠組条約(UNFCCC)に加盟する国と地域による最高決定機関として非常に重要な役割を持つ議論の場です。

このCOP29のサイドイベントで、グリーンピース・ジャパン製作、クリエイティブユニットHAKUA制作の映像作品『御渡り/MIWATARI』がダイジェスト上映されることが決定しました。

グリーンピース・ジャパン製作、クリエイティブユニットHAKUA制作の映像作品『御渡り/MIWATARI』

『御渡り/MIWATARI』は、長野県の諏訪湖の湖面にあらわれる自然現象「御渡り」とそれを待ち望む人々、そして近年の気候変動のために御渡りが急速に減少していることについてまとめられた約11分の美しい作品。HELP展で上映されている他、バンコクで開催された気候変動をテーマにした国際映画祭ではドキュメンタリー部門で大賞を受賞しています。

バクー・オリンピックスタジアムのタイ政府のパビリオンにて、11月18日の現地時間午前10〜11時(日本時間午後3〜4時)に『御渡り/MIWATARI』が上映される他、パネルディスカッションにグリーンピース・ジャパンのスタッフが登壇し、長野県諏訪市の金子ゆかり市長からのビデオメッセージ紹介などを行う予定です。

また、11月20日には、国際映画祭での受賞とCOP上映を記念して、作品の主演である八剱神社の宮坂宮司を囲む受賞記念上映会&トークイベントが長野県で開催予定です。

日本:効果的なプラ条約の実現に向け、シンポジウム開催

来る11月、韓国の釜山で国際プラスチック条約(以下、プラ条約)の内容を決めるための重要な政府間会合(以下、INC5)が開催されます。グリーンピースとイクレイ日本事務局(ICLEI)は、効果的なプラ条約実現のためINC5に備え、東京都港区で国際プラスチック条約シンポジウムを開催しました。2023年9月開催のシンポジウムに続いて2回目となります。

国際プラスチック条約シンポジウムの登壇者ら
国際プラスチック条約シンポジウムの登壇者ら(2024年10月)©︎Chihiro Hashimoto / Greenpeace

シンポジウムでは、環境省や企業、市民団体、研究機関などから専門的な情報が集まり、産学官民連携のハイレベルな議論が展開されました。100人以上が参加する盛況には市民の高い関心が表れています。

プラ条約の制定はいよいよ佳境です。グリーンピースは大幅な脱プラを可能にするリユース中心の社会への転換を促すようなプラ条約を実現させるために市民の声を集めています。私たちの生活と地球環境をプラ汚染からまもるためにぜひ署名にご参加ください。

グローバル:マクドナルド、森林破壊ゼロを約束

ファストフード大手のマクドナルドが、2030年までに森林破壊に寄与する商品の取り扱いをやめることを約束しました。グリーンピース・オーストラリアが数カ月間展開してきた「メニューから森林破壊をなくそう」キャンペーンなどを筆頭に、さまざまな抗議活動で世論が高まりを見せた末の出来事です。

マクドナルド店舗前でコアラの着ぐるみを着て、牛肉生産がどのように森林を破壊しているかを市民に伝えるグリーンピース・オーストラリアの活動家
マクドナルド店舗前でコアラの着ぐるみを着て、牛肉生産がどのように森林を破壊しているかを市民に伝えるグリーンピース・オーストラリアの活動家(2024年10月)

マクドナルドは、9月にオンライン上に公開されている方針を更新し、その中で2030年までに森林破壊に寄与しないサプライチェーンの構築を約束しました。

マクドナルドは、特にオーストラリアの牛肉を最も多く買っている企業の一つです。世界中のマクドナルドの店舗の約65%でオーストラリア産の牛肉が使われています。グリーンピース・オーストラリアはこの動きを歓迎しつつ、期日などがまだまだ十分でないことを指摘しています*

地球に暮らす多様な生きものと人間

深い海の底から高山のてっぺんまで、さまざまな環境でそこに適応した生き物が暮らす地球。私たち人間の暮らしはこれまで多様な生態系に支えられてきました。しかし今、生物多様性は急速に失われています。

この危機は「環境問題」として語られていますが、問題の種となっているのは他でもない人間です。森林伐採や工業型畜農業、乱獲、天然資源の採取などによって、多くの生き物が絶滅したり、絶滅の危機に追いやられたりしています。

COP16にあわせて生物多様性の大切さを訴え、グリーンピースが国連広場に設置した生き物を描いたドミノ
生物多様性の大切さを訴え、グリーンピースはCOP16にあわせて国連広場に生き物を描いたドミノを設置した。ドイツ、ボン(2024年10月)

2024年10月21日から11月1日まで、コロンビアのカリで、生物多様性条約第16回締約国会議(COP16)が開催されています。会議には、各国からの代表や首脳陣を含む2万3,000人が参加し、過去最大規模となりました。

地球上に生きる生きものたちのさまざまな暮らしに思いを馳せ、その一員として豊かな生態系をまもる行動と選択が必要です。地球規模で起こる生物多様性の減少にも、グローバルに連携して解決に挑戦するグリーンピースのネットワークをぜひ寄付で応援してください。