アマゾンの森なくして地球の未来はない
アマゾンが熱帯雨林ではなくなる──そんな日が近づいていると、科学者たちは警告しています。
野放図な農牧地の開発で、すでに原生林の17%が失われました。さらに温暖化による記録的な干ばつが追い打ちとなり、世界最大の熱帯雨林がサバンナ化する「転換点」が目前に迫っているのです。
この投稿を読むとわかること

アマゾン熱帯雨林の危機とは?
南米アマゾンの熱帯雨林は、地球上に知られる野生生物種の1割以上が暮らす、「生きものの宝庫」です。深い緑の森に一歩足を踏み入れれば、鳥や虫、サルたちの鳴き声が四方から響き渡り、いのちの鼓動に包まれます。この大地ではいまもなお、2日に一度のペースで新しい動植物が発見されるといいます。
| アマゾン熱帯雨林 約550万平方キロメートルの広さでブラジル、ボリビア、コロンビア、エクアドル、ベネズエラなど南米9カ国にまたがり、6割はブラジル国内にある。アマゾン流域の人口は4,000万人以上、そのうち約220万人の先住民族が暮らす。 |
アマゾンは世界で最も重要な生態系のひとつ。日本の約15倍の面積に広がる巨大な森は、1500億~2000億トンもの炭素を樹木や土壌のなかに蓄え、その量は世界の二酸化炭素(CO₂)排出量の15~20年分に相当します。4,000億本近くあるとされる樹木は、1日に20兆リットルの水を大気中に放出し、自ら雨を降らせます。それが豊かな生物多様性や作物を育むとともに、「自然のエアコン」として南米大陸を潤わせて冷やし、地球の気候を安定させているのです。
しかしこの壮大な森は、いま崩壊の危機に瀕しています。長年繰り返されてきた森林破壊で、原生林の17%が完全に失われ、ブラジル国内に限れば21%に及びます(Mapbiomas調べ*)。選択的な伐採や土地開発などの影響で部分的に傷んだ「森林劣化」も深刻で、残存する森林の約38%が劣化していると推定されています。*
科学者たちは「ティッピングポイント」、つまり後戻りできない転換点が近づいていると警告。森林の20〜25%が失われれば、アマゾンは十分な雨量を降らせることができず、熱帯雨林ではなくなってしまうというのです。種の多様性は損なわれ、アマゾンが蓄えている大量の炭素が大気中に放出されるおそれがあります。

その兆候は実はもう現れています。「地球の肺」と呼ばれるアマゾンが、CO₂吸収源から排出源に転じつつあるのです。2021年に火災の影響で、アマゾン南東部から年間約10億トンのCO₂が排出されたことが報告されました。これは、日本の年間総排出量に匹敵するCO₂です。さらに、2023〜24年には2年連続で壊滅的な干ばつが発生し、河川が史上最低レベルまで枯渇。野生生物は死に絶え、植生が乾燥して燃えやすくなっています。
最新の研究によると、アマゾンの熱帯雨林は温暖化、干ばつ、森林破壊、火災という複数のストレスにさらされて、生態系の回復力が低下。2050年までに10〜47%の森林がサバンナ(乾いた草地)化するなど、生態系の変化を引き起し、気候変動をさらに悪化させると予測されています。*
アマゾンの森林破壊は1970年代以降、拡大が続いてきました。最大の要因は、牛肉や大豆を生産するための農牧地の開発です。伐採された土地の9割は牛の放牧地が占めており(MapBiomas調べ、2022年*)、アマゾンを守るにはこの問題に取り組むことが欠かせません。
アマゾンを未来へつなぐために〜グリーンピースの歩み

グリーンピースは、生命を育むこの森を守るため、30年以上にわたり企業や政府に責任を問い続けてきました。森林保護に最前線で取り組む先住民コミュニティと緊密に連携し、世界中の何百万人ものサポーターに支えられながら、いくつもの成功を収めています。
2008年には、森林を伐採して生産された大豆の取引を禁じる歴史的な「大豆モラトリアム」の実現に導き、アマゾンの広大な地域を保護しました*。2019年には、石油開発を進めようとしていた石油大手トタルから、アマゾン河口のサンゴ礁を守りました*。金の違法採掘業者に重機を売っていたヒョンデ社が販売を止めたのも、グリーンピースの働きかけによるものです*。
さらに2023年から2024年にかけては、ブラジル連邦最高裁判所で複数の訴訟に関わり、政府に対して火災と森林破壊を抑えるためのさらなる措置を取るよう求めました*。そして2025年には、ブラジル最大の銀行に対し、農業融資に関する環境基準を見直させることに成功しました*。

私たちにできること
グリーンピースはいま、政府や企業に対し森林破壊を終わらせることを強く求める署名活動を行っています。ぜひこの署名で、かけがえのないアマゾンの生態系を守りたいというあなたの想いを届けてください。
暮らしのなかで実践できることもたくさんあります。たとえば肉や乳製品の消費を減らすこと、森林破壊をしない企業の商品を選択すること、自然エネルギーを導入している電力会社への切り替え、企業やメーカーに意思表示をすること、情報をSNSなどで周りの人たちとシェアすることも重要な環境運動です。

科学的根拠に基づいて世界各地で行われているグリーンピースの活動を支える寄付も、一つの大きなアクションのかたちになります。
署名運動、調査、呼びかけ、発信と、それぞれの活動を各国の拠点から専門的に行うことで、アマゾン森林破壊のような大きな問題にも力強く働きかけることができるのです。
世界各国から集まった意志の力は、現地の人々との連帯を生み、政治を動かすことにつながります。
地球の危機を乗り越え、未来をよりよい方向へ動かすためのムーブメントに、あなたの力を貸してください。
