【2022年11月】3分でわかる世界の環境ニュース
この投稿を読むとわかること
2022年11月は、世界で重要なイベントが多くありました。 エジプトで行われたCOP27の気候会議では、世界が気候危機にどう取り組むかが話し合われました。 グリーンピースは、二酸化炭素排出量の削減、自然環境の保護、気候正義の実現を目指し、日本をはじめ世界各国の政府や企業に対して提唱を続けています。 11月は、どんなニュースがあったのか、世界の環境活動の歩みを一緒に振り返ってみましょう。 |
COP27気候変動枠組条約締約国会議、「気候正義」基金を支持

11月18日に終了予定だった第27回国連気候変動会議(COP27)は、参加者間の合意形成が難航したため、「時間外」交渉の末、ようやく11月20日に閉会を迎えました。
経済先進国は初めて、気候変動による「損失と損害」を補償するために年間1,000億米ドルを提供するという約束を果たすため、気候正義基金を設立することに合意しました。
グリーンピースは、この資金が気候変動に脆弱な国や地域の損失や損害の補償だけでなく、気候変動への適応と緩和にも使われるよう、基金の詳細について政府と企業の間で行われている話し合いを引き続き監視していきます。
アントニオ・グテーレス国連事務総長も今回の会議の成果について、気候正義に向けた重要な一歩となる「損失と損害」のための基金が設立されたことは喜ばしいとする一方で、温暖化を1.5℃に抑えるためには、再生可能エネルギーへの投資を飛躍的に伸ばし、化石燃料への依存を減らす必要があると強調しました。
フランス、ドイツ、ニュージーランド、深海採掘の禁止を発表

2022年11月、世界の海には、明るい兆しが見えてきています。
深海採掘に反対する政府の数は倍増し、フランス、ドイツ、スペイン、コスタリカ、ニュージーランド、チリ、パナマ、フィジー、ミクロネシア連邦など、国際海底機構(ISA)評議会の 36 の加盟国が深海採掘の禁止または、予防的一時停止を要求しています。
COP27の会議では、フランスのマクロン首相も、深海での採掘関連事業をすべて禁止すべきと強く発言しています。 特にフランスとドイツは深海採掘の主要なスポンサーの一つであるため、これは重要なことです。
実際、科学者たちは以前から、深海鉱山の採掘は取り返しのつかない生物多様性の損失を招き、世界の主要な二酸化炭素吸収源を破壊し、脆弱な海洋生態系にダメージを与えると警告してきました。
参照:French President calls for a ban on deep sea mining at COP27
ブラジル:アマゾンの熱帯雨林を回復させる魔法はない。
COP15 生物多様性会議が 12 月にカナダのモントリオールで開催されます。
アマゾンの森林伐採問題に対する世界の意識を高めるため、グリーンピース・ブラジル、グリーンピース・オランダとオランダの著名なマジシャン、ビクター・ミッズが協力して、ストリート・リアリティ・パフォーマンスを行いました。
世界最大・最多種の生物が生息するアマゾンの森のように、大切なものが失われた後、魔法のように瞬時に復元することは困難であることを、再認識してもらうために企画されました。
ブラジル宇宙研究所(INPE)の最新データによると、2022年10月にアマゾン地域で発生した火災は13,911件で、2021年の同月と比較して20.4%増加、2022年10月末時点で、今年発生した森林火災は101,215件で、貴重な森林は危機的状況に追い込まれました。
気候変動と生物多様性の危機を解決するためには、無傷の自然環境が重要であり、COP15は世界のリーダーが自然環境の保全策を策定するための重要な機会です。
アジア:世界の自動車メーカーによる深刻な二酸化炭素排出量超過を明らかにする報告書

2022年11月、グリーンピース・ドイツとグリーンピース・東アジアが共同で、世界の主要自動車メーカー4社(トヨタ、ヒュンデ・起亜、フォルクス・ワーゲン、ゼネラル・モーターズ)の電気自動車販売目標とガソリン車廃止スケジュールを分析したレポート「内燃機関車がもたらすカーボンバブル」を発表しました。
2030年までに全世界で少なくとも3億3000万台から4億6300万台のガソリン車が生産され、その累積炭素排出量は980億トンから1160億トンとなり、炭素バジェットを大幅に上回るという予測です。
グリーンピース・ドイツの気候プログラム・ディレクターであるベンジャミン・ステファンは、「トヨタ、フォルクスワーゲン、ヒュンデ・起亜といったグローバル企業による『ゼロ・エミッション車』へ移行の遅れは、地球の未来を危うくするものだ」と述べています。 気候危機が激化し、ニューヨークやシンガポールなど各国・自治体の政府がガソリン車販売を段階的に禁止することを決める中、従来の自動車メーカーは、電動化が間に合わなければ、新しい電気自動車ブランドに太刀打ちすることは難しくなり、資産リスクに直面することになるでしょう。
報告書:1.5度目標の炭素予算 トヨタ160%超過見込み、主要4メーカー中最多ー『内燃機関車がもたらすカーボンバブル』
香港:2025年までに使い捨てプラスチック食器を削減

香港のグリーンピースは、他の環境保護団体と共同で、「2025年までに使い捨てプラスチック食器を全面的に規制する」ことを求めて何年もかけて香港政府に対して働きかけを行ってきましたが、ついに香港政府は前向きな回答を示しました。
2023年第4四半期には、発泡スチロール製食器、プラスチック製ストロー、プラスチック製マドラー、プラスチック製ナイフ・フォーク、スプーン、プラスチック製皿などを禁止し、2025年には、すべてのレストランでプラスチックカップ、蓋、プラスチック蓋付き使い捨て容器の提供を完全に禁止する予定です。
政府が市民の要望に応えたことは喜ばしいことですが、香港では再利用可能なリユース・リフィルなどのシステムの導入を加速し、さらに包括的な普及策と管理法を導入して、そもそも作られるプラスチックを減らす必要があります。
参考:2022年至今,綠色和平在臺灣、韓國、香港、日本如何推動減塑?
台湾:14人の地方長官候補者が気候に関する提案を発表

それに対応する気候政策を打ち出すよう呼びかけた(2022年10月)@Greenpeace
台湾のグリーンピースの気候プロジェクトチームは、世界の主要都市の気候政策を詳細に調査し、台湾のすべての県・市の候補者に対して、気候問題をすべての政策に取り入れるよう求める「政治提言」を作成しました。
11月14日現在、9,800人以上の方々がウェブサイトを通じて、候補者が気候問題に真剣に取り組んでくれることを期待する声を寄せています。
投票日の時点で、合計14名の地方首長候補者がグリーンピースの提案する気候政策を打ち出すことを約束しており、グリーンピースは、候補者が選挙公報や政治演説などの公の場で気候に関する誓約を行ったかどうかを引き続き検証しています。
選挙結果を手にした候補者たちには、2050年までにネットゼロエミッションを目標に掲げ、就任後に気候ガバナンスを最優先事項とする公約を実現し、市民を束ねるガバナンスプランを直ちにスタートさせることが期待されています。
気候・環境問題の課題は深刻ですが、グリーンピースの活動を日頃から応援してくださる皆様からのご支援により、世界中の政府や企業に対して環境保護活動を推進し続けることができます。
また、COP27気候会議にも参加し、気候正義基金への重要な一歩を踏み出すことができました。
12/8 COP27報告会を開催します

グリーンピース代表団の一員として、エジプトで開催されたCOP27に参加したグリーンピース・ジャパンのシニア渉外担当・小池宏隆が、現地で見聞きした気候変動の国際交渉のトレンドや、世界の人々が共有している危機感について、みなさんにお話しします。
Q&Aやブレイクアウトセッションの時間も取る対話型の報告会となります。ぜひご参加ください!
2022年12月8日(木)20:00-21:30 @オンライン開催
主催:気候Switch / グリーンピース・ジャパン
参加費無料 ★ 気候変動を抑えるグリーンピースの活動への支援になる寄付つきチケットもお選びいただけます。