今回撮影された端脚類の一種。(2026年5月25日撮影)

国際環境NGOグリーンピース・インターナショナル(本部・アムステルダム)は、深海採掘によって脅かされる海洋生態系について知見を深めることを目的として実施した、約1カ月にわたる北極圏の深海底域における科学探査を完了しました(注1)。探査の対象となったのは、2024年にノルウェー政府が海底鉱物資源開発のために開放したものの、環境団体や科学者、漁業者らによる抗議を受け、2029年まで採掘計画が凍結された海域です(注2)。世界第一線の研究者らが参加した本探査では、未知の海山や熱水噴出孔、深海生態系の調査が行われ、複数の新種候補が発見された可能性があります。今後、探査で得られたデータを元に深海の生態系に光を当て、政策決定者に対して海洋保護区の設置や深海採掘の一時停止への支持を働きかける予定です。

ウプサラ大学進化博物館(スウェーデン) 深海カイメン専門家、パコ・カルデナス博士

「今回の探査で採集された400以上のカイメン(海綿)のサンプルのうち、すでに少なくとも3つの新種候補を特定しました。カイメンは5億年以上前から存在しており、捕食者や病原体を退けるために独自の『薬』を進化させてきました。ここで見つかる深海生物が持つ化学化合物は、現在および将来発生する疾患の治療法を解き明かす鍵を握っている可能性もあります。これらの生態系が消滅すれば、私たちはその治療法をも永遠に失うリスクを負うことになります」

ゼンケンベルグ自然史協会(ドイツ) アン・ニナ・レルツ博士

「深海の生態系は、いまだに未知の驚きに満ちています。私たちは今回、これまで人類が探査したことのない無名の海山を撮影し、サンプルを採取しました。トクササンゴやカイメンの群生など、数多くの異なる種や生態系が高解像度で初めて撮影され、世界の研究コミュニティが切望していた詳細な情報を得ることができたほか、深海の色彩豊かな動物たちがどのように生き、相互作用しているかを初めて見ることができました。今後の分析によって、これらの生物の関係性や分布についてさらなる洞察が得られるでしょう。私たちはすでに、4種の新種候補となる端脚類を発見しており、数カ月以内に学術発表と命名を行う予定です」

(注1)探査は、グリーンピース・インターナショナルと、グリーンピース北欧およびグリーンピース・ドイツが合同で実施した。

(注2)ロイター通信「ノルウェー、北極圏深海鉱物採掘のライセンスラウンドを中断」(2025年12月2日)

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