稼ぐ力に攻めの脱炭素の観点導入をーートヨタ定時株主総会、中東情勢言及せずも影響色濃く

国際環境NGOグリーンピース・ジャパン(東京都港区)は6月17日、同日開催されたトヨタ自動車の定時株主総会において、4月に社長に就いた近健太氏が中東情勢の影響について言及せず、稼ぐ力の改善に重点を置く方針を発表したことについて、以下のコメントを発表しました(注1)。
グリーンピース・東アジア 気候変動・エネルギー担当、エリン・チョイ
「2026年2月以降の中東情勢の緊迫化は、エネルギー価格を高騰させ、自動車産業や石油化学産業を含む数多くの産業に多大なる影響をもたらしました。トヨタにとっても例外ではなく、2027年3月期の営業利益が約6,700億円減少する見通しが報じられ(注2)、本年度の最終利益も3年連続減益となりました。原油価格高騰でガソリン車の販売が低迷する一方で、電気自動車(EV)の販売は世界的に急成長しており、日本国内でも3月のEV販売台数は前年同月比で約2.1倍も増加しています(注3)。市場は明確に脱化石燃料、脱内燃機関車へと舵を切っています。EVメーカー間の競争が急速に激化するなかで、トヨタが競争力を維持するためには長期的なBEV計画の野心を高めることが求められます。
2025年のトヨタの総販売台数に占めるバッテリー電気自動車(BEV)の割合は、わずか2.3%でしたが、今年3月は、同社のEVの世界販売は前年同月比2.4倍の3万5524台と、過去最高の伸び幅でした(注4)。会長に再任された豊田章男氏は、これまでBEVの推進に慎重なアプローチをみせていましたが、世界で加速するEVシフトの大きなうねりを捉え、昨年見られた同社のEVの開発や生産における前進を強化していくことが期待されます。
トヨタには、この変革期において自動車業界を牽引するだけの規模、資金、そして影響力があります。先日、米ケンタッキー州において同社のEV生産工場に対する約8億ドルの投資を発表したことは歓迎すべきですが(注5)、世界のEVシフトの速度に追いつき、同社が世界で排出する5億8957万トンCO₂e(二酸化炭素換算・2024年)もの温室効果ガスを削減していくためにも、今後はそれを世界の各市場に広げていくべきです。グリーンピースはトヨタに対し、世界をリードする自動車会社として、脱炭素化に向けた技術開発を含め、リーダーシップを発揮することを求めます。そのためには内燃機関(ICE)車からの速やかな脱却、BEV推進への明確なコミットが不可欠です。トヨタが脱炭素化へと事業を変革させる手腕に期待しています」
以上
(注1)日本経済新聞「トヨタ、近社長体制初の株主総会 稼ぐ力改善へ『アクセル踏む』」(2026年6月17日)
(注2)時事通信「トヨタ、中東影響で6700億円減益」(2026年5月8日)
(注3)日本自動車会議所「3月のEV販売、初の1万台超え CEV補助金が需要押し上げ トヨタはHV供給不足でbZ4Xが受け皿」(2026年4月8日)
(注4)Bloomberg「トヨタのEV販売がイラン戦争後2.4倍-3月、ガソリン車から乗り換え進むむ」(2026年4月27日)
(注5)日本貿易振興機構「トヨタ自動車、ケンタッキー州などで10億ドルの追加投資を発表」(2026年3月25日)