【COP29】11/14 温室効果ガス削減めぐる議論、イギリスとブラジルが野心的な目標発表ーー日本は化石燃料からの脱却へ強いコミットメント示せ
アゼルバイジャン・バクーで開催されている国連気候変動枠組条約第29回締約国会議(COP29)は11月14日、新しい資金目標を含む多くの議題についての合意文章交渉を継続し、4日目の協議を終えました。場内では同時にビジネス、投資、フィランソロピーフォーラムが開催されるなど、交渉以外でも気候対策を進めるための議論が展開されました。
気候変動対策において、各国がそれぞれの気候行動計画を、パリ協定の1.5度目標にどのように整合させるかは極めて重要であり、現地に代表団を派遣しているグリーンピースも今回、化石燃料からの脱却に向けたCOP28合意が実現されることに期待しています。議論のポイントとこれまでの各国の主な動向は次の通りです。
<排出量削減の議論のポイント>
- COP28で合意された「化石燃料からの脱却」をさらに強化する文言が合意されるか
- 各国から温室効果ガスの次期国別削減目標(NDC)に関して野心の高いメッセージがでるか
- グローバルストックテイクで合意された緩和に関する合意について今後COPでどう議論するかに合意できるか
<削減目標をめぐる各国の動向>
- 英国は、これまでの1990年比で2035年までに温室効果ガスを78%削減するという目標を更新し、81%を目指すことを発表。すでに、7月の政権発足以来、労働党は新たな陸上風力発電プロジェクトの実質的禁止を解除し、北海での新たな石油・ガス探査をしないことを約束。9月には英国最後の石炭発電所を閉鎖した。
- ブラジルは、2035年までに2005年比で59%〜67%の削減目標を設定。野心的な目標である一方、二酸化炭素回収・貯留への依存や、森林保護で過去の大統領発言より後退した部分もあり。
- 中国は、2035年のNDCは、電力セクターのみならず経済すべての排出量全体をカバーし、すべての温室効果ガスを対象とし、2060年以前のカーボンニュートラルの達成に努めるとしている。
- 韓国は1.5度目標に整合し、かつ、2050年ネットゼロに沿った2035年のNDCを準備していることを発表。
現在、日本政府は「2030年までに2013年比で46%削減、50%の高みを目指す」という目標を掲げています。そして、2035年目標を策定すべく、現在次期NDCとその基盤となる第七次エネルギー基本計画を議論しています。IPCCは世界全体で2035年までに2019年比で60%の削減を求めており、技術や資金のあり、歴史的に排出量の多い日本はさらにその上(2013年比で66%削減以上)を目指すことが求められます。日本の排出量削減のポイントは次の3点です。
<日本政府に期待すること>
- 浅尾慶一郎環境大臣による声明で、化石燃料からの脱却についてより強いコミットメントを打ち出すこと
- 途上国支援のために再エネや省エネを進め、アンモニア混焼などの効果の低い高額な技術の売り込みや途上国における化石燃料の延命に加担しないこと
- 第七次エネルギー基本計画において、最低でも66%、公平な分担として78%の削減目標を打ち出すこと
グリーンピース・ジャパン シニア政策渉外担当、小池宏隆
「米国不在が叫ばれる中、英国はこれまでの目標を引き上げた国別削減目標を発表しました。ブラジルも野心的な引き上げを行い、COP30ホスト国としての責任を示しました。日本もこれらの国々に続き、野心的な削減目標と資金拠出目標を設定することで、国際協調へのコミットメントを示すべきです。そのためにも、今議論されている第七次エネルギー基本計画では、1.5度目標に整合する、78%削減目標を目指すべきです」
以上