国際環境NGOグリーンピース・ジャパン(東京都港区)は1月17日、昨年10月に青森県弘前市で開催した、日本の気候変動をアートで感じる展覧会「HELP展〜30年後には消えてしまうかもしれない In AOMORI〜」で、アートコンペ「アップルクリエイティブアワード2024(青森県藤崎町主催)」と連携して設けた「HELP賞」の受賞者を発表しました。りんご農家とソーラーシェアリングを描いた絵画作品で「HELP賞」を受賞した梅原直子(うめはら・なおこ)氏には、賞金5万円とりんご1箱が贈られます。

本コンペは、青森県藤崎町にある「リンゴカ・ミュージアム」に展示するアート作品の募集を目的に、2023年からアップルクリエイティブアワード実行委員会が主催するアートコンペで、2024年は合計81名87作品の応募がありました。青森県では、りんご栽培をはじめ様々な場面で気候変動の影響が顕在化していることから、同年はHELP展と連携した「HELP賞」を特設し、りんごを通じて気候変動への関心を高め、身近な問題として捉えてもらえる作品を募集しました。「HELP賞」賞金には、グリーンピース・ジャパンが発表した映像作品『御渡り/MIWATARI』(監督:小野友資)が、2024年2月にタイの国際映画祭「Changing Climate, Changing Lives Film Festival(CCCL)」ドキュメンタリー部門で審査員大賞を受賞した際の賞金を活用しています(注1)。

(注1)グリーンピース・ジャパン「諏訪湖の神事と気候変動描く映像作品『御渡り』 タイの国際映画祭でドキュメンタリー部門審査員対象を受賞」(2024年2月18日発表)

HELP賞を受賞した梅原直子氏と受賞作品
HELP賞を受賞した梅原直子氏(写真左)と受賞作品

<アップルクリエイティブアワード HELP賞受賞者 梅原直子氏>

作品名:「おひさまのエネルギーをいただく」

作品で使用した素材:使用済みダンボール、クレヨン、アクリル絵の具、木

受賞者コメント

子供が産まれてから育児ごみの量に衝撃を受け、ごみ問題に関心を持ち、気候変動問題について考えるようになりました。子供のために持続可能な環境を残したい、という気持ちが大きくなるにつれて、家の中で一人でできるアクションだけではなく、気候変動問題に関心がない人を巻き込みたいと思い、ポッドキャストでの発信や地元議員へのロビイングなど、様々な活動を始めています。活動の一つのツールとして、これからもアートを活用していきたいと思います。この作品は私にとってプラカードです。


審査員を務めた宮園夕加氏(HELP展クリエイティブ・ディレクター、クリエイティブユニット

HAKUA)

気候変動をアートで伝えてきたHELP展は、2023年の東京展開催後、2024年には滋賀、青森を巡回しました。HELP展の「作る側」の目線ではなく、アップルクリエイティブアワードの審査員という「見る側」に立った時、言葉ではなくアートを通して課題を伝えられることの喜びやときめきを改めて強く感じました。受賞された梅原さんの作品は、ソーラーシェアリングに関するリサーチや気候変動に関わる活動の経験、そして自身のキャラクターを反映し、明るく人を照らす作品になっていました。またキャンバスとして使用済みダンボールを使用するなど、制作素材の検討を含めて高い評価に繋がりました。他の出展者の作品からもたくさんのエネルギーを頂き、HELP展の理念が受け継がれていく喜びを感じました。

<アップルクリエイティブアワード概要>

応募期間:2024年9月18日(水)〜11月15日(金)

作品形式:プロダクト、工芸、絵、彫刻、詩、写真、映像等、形態は自由

審査員:平田博幸(藤崎町長)、石澤暁夫(株式会社エーアイサイン、代表取締役)、安原義太

郎(株式会社落ちないりんご代表、藤崎農業委員会長)、笠原綾子(一般社団法人ROUTE22、代表理事)、香田遼平(株式会社KOMORU、代表取締役)、宮園夕加(クリエイティブユニットHAKUA、HELP展クリエイティブディレクター)

主催:アップルクリエイティブアワード実行委員会(株式会社KOMORU・一般社団法人ROUTE22・株式会社Naegi)

公式サイト:https://ringoca-award.com/

HELP賞審査基準:1.「地球沸騰化」に伴う気候変動が進行する中、青森県ではりんごをはじめ、さまざまな場面でその影響が顕在化している。気候変動について楽しく関心をもってもらい、身近な出来事として捉えてもらう作品であること(作品を通じて気候変動について行動を促すような動機づけがされていると尚可)2.独創性があるか、3.技術表現力があるか

<HELP展概要>

グリーンピース・ジャパンが主催し、2023年11月に東京・青山、2024年8月に滋賀県、10月に青森県で開催した、日本における気候変動の影響をアートを通じて感じる展覧会。主に気候変動が原因で30年後に日本から失われてしまうことが予想される生物や文化の中からいくつかのテーマをピックアップし、ぬいぐるみ作家・片岡メリヤス氏、八剱神社宮司・宮坂清氏、料理研究科・土井善晴氏らを含む多様な作家、文化人たちと協力し、日本に迫る気候危機を五感で「感じられる」作品を展示。

公式サイト:https://help-ex.jp/