サムスン電子、アジアのIT企業として初の自然エネルギー100%を約束ーー世界5万人の声が転換を後押し

国際環境NGOグリーンピースは、韓国のサムスン電子が2020年までに米国、欧州、中国で自然エネルギー100%の実現を目指す、と本日6月14日に公式発表したことを受けて、以下の声明を発表しました。これは、アジアに本社があるIT企業として初めての発表です(注1)。グリーンピースとともに世界中の人々が、数ヶ月にわたり同社に対して、自社事業だけでなくサプライチェーンも含めて自然エネルギーに転換するよう求めてきた結果、実現しました。

グリーンピース・インターナショナル(本部)事務局長ジェニファー・モーガンは、「サムスンの発表は、自然エネルギーであふれる未来をつくるためのとても大きな一歩です。同社が中身の伴った行動を続けることで、気候変動の緊急性を認識する革新的なビジネスリーダーへの仲間入りをし、私たちの描く未来を実現することがまだ可能であることを示すことになるでしょう」と語りました。

サムスンは、同社ウェブサイト上の公式発表で、以下のことを約束しています。

  • 米国、欧州、中国において、自然エネルギーを100%利用。世界38カ所の製造拠点のうち、製造工場、オフィスや関連施設などを含め17カ所がこの3つの地域に含まれます。

  • カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト(CDP)のサプライチェーンプログラムに参加。これにより気候変動リスクの特定と対策が可能となり、サプライチェーンにおけるエネルギーシフトを進められます(注2)

  • 主要な半導体工場がある韓国の京畿道(キョンギド)の施設内で、太陽光発電および地熱発電設備を導入

この約束は、サムスンのサステナビリティ・レポートの発表に先駆けて発表され、同社は今後の計画と具体的な道筋の詳細を同レポートで明らかにする予定です。

サムスンは世界最大のスマートフォンシェアを誇り、製造拠点は世界に38カ所、2,000社以上のサプライヤー抱えています。また、ほかの大手IT企業の主要部品を製造するサプライヤーの1つでもあります。 サムスンは、2016年に16,000GWh以上のエネルギーを使用していますが、そのうち自然エネルギーの使用はわずか1%でした(注3)。

アップルは、グリーンピースの働きかけにより、2012年に自然エネルギー目標を定めた大手IT企業の1つです。グリーンピースはこれに引き続き、サムスンに対しリーダーシップを示し、自然エネルギー100%を約束するよう活動を続けていました(注4)。

2017年12月以来、活動家らは、ソウル、ロンドン、ベルリン、ニューヨーク、台北での一連のアクションを通じて、サムスンに「気候変動を悪化させないで」と訴え、巨大IT企業が直ちに行動し、自然エネルギー100%を正式に約束することを目指していました(注5)。

グリーンピース・ジャパンのエネルギー担当石川せりは、「世界最大級のIT企業の自然エネルギーリーダーが、アジアで誕生したことを歓迎します。これは、グリーンピースとともに行動を起こしてくれた世界中の5万人を超える人々の声がサムスンに届いた結果です。今回の発表では、他の大手IT企業と同様、サムスンも自然エネルギーが拡大するよう、政策に言及していくことを約束しています。この流れをアジア全体で加速させるため、日本でもより多くの企業が自然エネルギーの目標を定め、調達がしやすくなるような政策を求めていくことが重要です。石炭火力発電の依存度が高いアジア地域で、このように企業の自主的な動きが加速することを強く望んでいます」と述べました。

注1) サムスンのプレスリリース

注2) CDPのサプライチェーンプログラムについて

注3) サムスンのエネルギー使用に関する詳細は、グリーンピース発行『環境に優しい電子機器企業ガイド』を参照ください。

注4)プレスリリース「グリーンピース、スマホなど「修理しやすい製品ガイド」を発表 --もっとも修理が難しいのはアップルとサムスン」

注5)アクションの様子の写真と動画 、 メールアクション「サムスン、気候変動を悪化させないで」