【Drive Change】走り続けたいから いま減らそう|2025年次報告

走り続けたいから いま減らそう
気温上昇が続く富士山麓やトヨタの決算会場などでアクションを展開。現場からのアピール動画は海外にも広く拡散された。©︎ Taishi Takahashi / Greenpeace
トヨタが変われば世界が変わる──。クルマの販売台数世界一を誇り、日本を代表する巨大企業に、脱炭素への道筋を明確に打ち出すよう働きかけを続けています。
– Background –
2021年に開始したDrive Changeキャンペーン。大手自動車メーカーに対し、ガソリン車の製造・販売の段階的停止、サプライチェーンの脱炭素化、循環経済の実現という3つの柱を掲げ、気候変動への対応を求めています。
世界の二酸化炭素排出量の約4分の1は、交通・運輸から生じています。そのうち大部分は道路交通によるもので、自動車産業の脱炭素化は急務です。国際エネルギー機関(IEA)による1.5℃目標整合シナリオでは、先進国での新車販売を2035年までに100%ゼロエミッション車(EV)に移行する必要があるとされています。
トヨタ自動車は、世界をリードするメーカーとしていち早く「2050年カーボンニュートラル」を掲げました。しかし、同社の温室効果ガス排出削減目標はいまだ不十分です。また、EVシフトが加速する世界市場において、依然としてハイブリッド車を含むガソリン車が新車販売の大部分を占めています。
実際、トヨタ1社による年間の温室効果ガス排出量は、日本全体の年間総排出量の半分以上に匹敵します(当該年に販売した台数から算出、2023年時点)。

– Impact in 2025 –
トヨタ自動車が開示する温室効果ガス排出量を分析し、パリ協定の「1.5℃目標」達成に向けた経路から、同社の排出量がかい離していることをデータで示しました。また、メディア向け勉強会やSNSでの発信で持続可能なモビリティへの理解を広めるとともに、市民の想いを直接届けるアクションを展開。多角的なアプローチで同社の変革を促しています。
数字で示した「トヨタさん、間に合っていません」
グリーンピースは「トヨタさんならできる」という期待を込めて、1.5℃目標と整合する削減目標の設定を求めてきました。国内外から集めた8,000筆以上の応援署名を提出し、公開質問状や共同書簡も送付。さらに同社との対話も重ねました。
トヨタへの提言の根拠としたのは、グリーンピースの独自調査によって導き出された分析データです。同社が公表している2030年までの自動車の生産計画が1.5℃目標と整合していないことを数値で示し、報告書『岐路に立つトヨタ』として社会へ発信しました。
このほか決算説明会やジャパンモビリティーショーでのアクション、社員への働きかけ、メディア向け勉強会など、多角的なアプローチを展開しました。これらの活動は、一部メディアでも取り上げられ、自動車と気候変動の関係についての認知も高まりつつあります。
変化を後押しした活動
①はがきで声を見える化するアクション
署名と共に寄せられたトヨタへの応援メッセージを、ボランティアの方々と特製はがきに代筆し、計575通をトヨタ本社へ郵送。皆さんの願いが込められた一通一通を同社の担当者に読んでいただくことができました。

②調査報告書を3本発表 データで根拠を示す
3月に国内自動車大手8社の温室効果ガス(GHG)排出量を比較分析した報告書を発表。10月発表の報告書では、トヨタのBEV(バッテリー式電気自動車)生産計画から予測されるGHG排出量を分析し、1.5℃目標と大きくかい離していることを明らかにしました。

温暖化への警鐘を鳴らすため、富士山頂の気象データを分析し年平均気温が100年あたり1.47℃上昇していることを公表。2024年、初冠雪日が統計開始から130年で最も遅かったことも背景に、メディアで73件報道され、大きな関心を呼びました。

担当スタッフから

高田久代/プロジェクト・マネージャー
最初はほんの数人だったDrive Changeチームは、アイディアと共に大きくなり、気づけば海外オフィスも含め20人ほどに成長。試行錯誤しながら皆で形にしていく過程はワクワクに満ちていました。
科学的な分析から、伝わる言葉での発信、そして想いを行動に変えるアクションへとつなげる──グリーンピースの強みを存分に生かした活動となりました。応援署名には、トヨタ社員の方や鉄鋼業界の方も参加! 対話の広がりを感じています。たくさんの出会いから、「見過ごされがちな声を力に変える」という役割に改めて気づかされました。