学校断熱プロジェクト

変わりゆく気候から 子どもを守る

暑さ寒さへの我慢がいらない学校に。気候変動対策で欠かせない断熱を国内で広めるため、まずは子どもたちの学ぶ場所である学校の断熱改修を国や自治体に求めています。

日本の多くの建物は、急激な気候条件の変化に追いついていません。断熱が不十分だと、冷暖房を使っても外気の影響を強く受け、健康影響や、エネルギーの無駄遣いにもつながってしまいます。とりわけ、子どもたちが長い時間を過ごす学校は、長年その課題が後回しにされてきました。

多くの老朽化した校舎のなかで、子どもたちは夏の酷暑や冬の凍える寒さにさらされています。近年、教室へのエアコン設置は急速に進みましたが、断熱が不十分なため空調効率が上がらず、健康を守るための基準温度に達していないのが現状です。さらに体育館に目を向ければ、首都圏を除くとエアコンの導入もこれからです。災害時は避難所にもなる体育館は、劣悪な環境がたびたび問題視されていますが、本来は子どもたちが日々学ぶ大切な場所です。

グリーンピースは2025年も、学校施設の断熱改修を求める活動を続けました。全国の体育館への断熱改修に予算を割り当てることを求めた署名には5,000人以上が賛同し、47都道府県すべてに提出。そのうち19の都道府県では、地元で活動する方とともに行政を訪問し、断熱改修の必要性を担当職員に直接訴えました。

広島県庁を訪れ、担当者に湯崎知事宛の要望書と署名を手渡すグリーンピースのスタッフ @ Greenpeace

各自治体との対話を継続するなか、12月、横浜市内の全小中学校が今後5年以内に断熱改修されることが決定しました。この決断の背景には、署名活動に始まり、3年近くにわたって地元議員や行政に働きかけてきた「ゼロエミッションを実現する会」(p.8参照)の貢献があります。課題に共感した市議の尽力により、夏期の試験的な断熱改修が実現し、室温が約3℃下がる効果が確認されたことが決め手となりました。

市民による地域政治への参画をサポートするグリーンピースの取り組みが、大きな実を結んだ瞬間です。こうした市民の地道な活動によって、学校断熱の課題を取り上げる地方議会が全国で増え始めています。

変化を後押しした活動

全国20の政令指定都市を対象に、体育館の空調設置および断熱改修の状況について聞き取り調査を実施。回答があった10都市のうち、空調設備整備と断熱改修を市内全校で実施する予定があると回答したのは千葉市のみでした。具体的な計画が進まない背景には、多くの自治体で予算不足があることが明らかになりました。

東京都内の小学校で、冬期10日間にわたり体育館内の温度を測定。その結果、断熱が施されていない体育館では、暖気が天井付近に滞留し、床付近との間に大きな温度差が生じていることがわかりました。エアコンの設定温度を23℃にしていても、稼働時間の9割以上で室温は18℃以下となり、子どもたちが活動する空間では十分な暖かさが確保されていない状況が確認されています。

青森市の小学校で行われた教室の断熱改修ワークショップに、企画から実施まで協力しました。地域の大工さんが手本を見せたあと、生徒たちが断熱材のカットや窓と壁への取り付けに挑戦。断熱の大切さとものづくりの楽しさを体感し、「大工さんになりたい!」という声も飛び出すなど、学びと発見にあふれる時間となりました。

担当スタッフから

鈴木かずえ/気候変動・エネルギー担当

署名の提出では、できるだけ対面で担当者に会うことを心掛け、北は北海道、南は福岡まで、19もの都道府県で、担当者から直に学校断熱の状況について話を聞くことができました。各地で賛同してくださった方にお会いし、「全国に同じ思いの人がいる」と実感できたのは、本当に嬉しいことでした。
冬寒くても、夏暑くても、電気代が心配でエアコンをつけるのをためらうという話をよく聞きます。断熱はそこを解決する施策でもあります。まずは、学校から理解を広げ、ゆくゆくはすべての建築物でも高断熱が当たり前の社会をつくりたいと考えています。