ゼロから学ぶ森林問題

森林は、私たちにたくさんのものを与えてくれています。木材や燃料を提供し、CO2(二酸化炭素)を蓄えて気候を調整し、空からの雨を海へと巡らせ、風景や空間として、癒しを提供してもくれます。そして森林、特に原生林は、人間だけでなく、たくさんの動物にとって食べ物とすみかを提供する生命の依り所です。しかし一部の企業などは、森林を資源を取り出すための場所と考えています。やみくもな伐採を行なったり、プランテーション農園を作ったりして、森が自然に再生できないほどの開発を行なっています。

森林に暮らす人々や動植物のため、そして私たちのために、森林を守る必要があります。森林を守り回復させることは、地球上のあらゆる生命にとって、大きな意味を持っています。

チョコレートが森を壊す?
毎日の暮らしと森林破壊

「森林破壊」、その言葉だけを聞くと、なぎ倒される木々、そして丸太などをイメージし、自分とは関係のないことと思う人も多いでしょう。しかし、そんな人でも、森林破壊に影響している能性は大いにあります。企業が森林を伐採しているのは、私たちがふだんの生活で、当たり前のように食べたり使ったりしているものーーチョコレートや牛肉、石けんやシャンプーの原料を生産するためだからです。

チョコレートと森林破壊

チョコレートの成分表示を見てみると、多くの場合表示されている「植物油脂」。森林破壊の要因となっている「パーム油」を含む総称です。植物性油脂、植物油、ショートニング、グリセリン、界面活性剤、さまざまな名称で表記されているこのパーム油こそ、森林破壊の原因となっている原料のひとつです。

他の植物油と比べても酸化しにくく熱に強く、コストも低いことから、食品や日用品の原料として大量に消費されています。チョコレートをはじめ、マーガリンやポテトチップス、カレールー、シャンプーや洗剤、口紅などの化粧品など、私たちが毎日の暮らしで使っている身近なものに使われています。パーム油のもとになるアブラヤシは、日差しが強く、雨量の多い赤道周辺の熱帯でしか栽培できません。世界で増え続ける需要に応えるために、インドネシアやマレーシアの熱帯雨林が伐採され、大規模なアブラヤシのプランテーション農園が作られています。

私たちは、自分でも気がつかないうちに、熱帯雨林を破壊して作られたパーム油の入ったチョコレートやシャンプーを使っている可能性があります。

牛肉と森林破壊

牛肉も、森林破壊の原因となっています。アマゾン地域における熱帯雨林破壊の主な要因は、畜産飼料を主目的とする大豆栽培と牧場の開発です。ブラジルにおける牛肉の輸出額は2019年に過去最高額を記録しており、熱帯雨林の破壊が世界の需要に応えるために行われた結果であることを示しています。開発を進めている大手食肉加工企業には、欧州の銀行や世界的金融グループも多額の出資をしています。

森林破壊は森林保有国だけの問題ではなく、破壊によって生産された牛肉を輸入する国や供給する企業、投資する企業など多様な人々が関わって引き起こされている問題です。

アマゾンのブラジルの畜産農場での牛©RicardoFunari / Lineair / Greenpeace
アマゾンのブラジルの畜産農場での牛©RicardoFunari / Lineair / Greenpeace

人間と地球にとって
欠かせない森林の役割

地球上の陸地の3分の1以上を覆う森林。日本に限定すれば、国土のじつに7割が森に覆われています。森林は、私たちの傍らに当たり前のように存在して、豊かな生態系を育み、私たちはその恩恵を受け続けてきました。

世界に目を向ければ、何世紀も前から森林に暮らし、現在も森からの恵みによって生活している人々もいます。世界銀行によれば、田園地方の16億人はある程度森林に依存して暮らしています。

森林、とくに熱帯雨林は生命の宝庫としても知られています。陸上生物の8割ほどが、熱帯雨林をすみかにしていると言われます。生物多様性の確保は、私たち人間を含め、地球の生きものたちすべてにとって重要なことです。また、新型コロナウイルスの蔓延によって研究が進み、森林破壊に起因する野生動物との接触が、人獣共通感染症の発症と関連していることが判明してきています。森林破壊は私たち人間の健康にとっても直接的な脅威をもたらしているといえます。

森林は、光合成によってCO2を吸収して酸素に変え、大量のCO2を地中にとどめて気候変動を抑制しているだけでなく、人間にとっても地球全体にとっても重要ないくつもの役割を担っています。失われてしまえば、社会と地球が崩壊しかねない存在です。

世界で進行する森林破壊

1990〜2020年までの30年間に、世界の森林面積は1億7800万ヘクタール減少しました。これは、アラスカ州に相当する広さです。世界の森林面積は、今も年間平均1,015万ヘクタールずつ減少し続けています。

持続可能な森林経営への意識が高まり、保護地区が増加するなど森林減少の速度がゆるやかになっている一方で、政策で保護を決定しているにも関わらず実際には違法に伐採している場合があるほか、未だに持続不可能な伐採が続けられている地域もあります。なかでも、私たちの生活と深くつながる森林破壊が進んでいるのが、アマゾン(ブラジル)、インドネシア、シベリア(ロシア)、カナダの森です。

アマゾン(ブラジル)の熱帯雨林:家畜用大豆栽培による破壊

南アメリカ大陸のアマゾン川流域に広がるアマゾン熱帯雨林。数カ国に渡って広がり、その面積は日本の国土の17倍に匹敵します。アマゾン熱帯雨林は、世界最大のCO2の貯蔵庫でもあり、800億〜1200億トンものCO2を蓄えているといわれています。これは、世界の1年間のCO2排出量の2.4〜3.6倍という膨大な量です(出典1,出典2)。しかし、アマゾン熱帯雨林のうち、すでに約20%は失われてしまったといわれています。とくに深刻なのがブラジル国内の熱帯雨林の破壊です。アマゾン熱帯雨林の約60%はブラジルにありますが、道路の建設、牧場、そして1990年代以降は家畜のエサ用の大豆栽培によって木々が焼き払われ、現在も開発が進んでいます。近年は農地開発のために人為的に放火された火が原因となって、森林火災も頻発しています。

ブラジルのアマゾンでの森林火災
ブラジルのアマゾンでの森林火災

インドネシア:パーム油や製紙パルプのための破壊、森林火災

世界第3位の熱帯雨林保有国(森林保有国としては第8位)のインドネシアは、世界で最も原生林の破壊が速く進んでいる地域です。製紙パルプのための伐採や、食品や化粧品に使われるパーム油のプランテーションによる森林破壊が進んでいます。パーム油は、日本国内でも「植物油脂」や「ショートニング」としてたくさん使われている油で、インドネシアが世界第1位の生産国となっています。

インドネシアでは森林火災も頻発しています。原因は大規模伐採と泥炭地の破壊です。泥炭とは、主に植物が不完全に分解して堆積した有機質の土壌で、ある厚さ以上堆積した場所が泥炭地です。CO2を吸収する手付かずの泥炭地は、地球温暖化を抑えるために重要な場所。面積は世界中で3%ですが、陸上の炭素の30%を吸収しています。インドネシアの低湿地に多く存在していますが、原生林が伐採されてパーム油のためのプランテーションが作られ、泥炭層が破壊されています。泥炭地が乾燥することで火災が起きやすくなり、ひとたび火災が起きると消火は難しく、CO2がたくさん放出されてしまいます。

インドネシア政府の公式統計では、1990年から2015年の間に約2,400万ヘクタールの熱帯雨林が破壊されました。インドネシアの森は、絶滅危惧種であるスマトラトラをはじめ、オランウータンやゾウといった、希少な動物たちの生息地でもあります。森林破壊はそうした動物たちのすみかを奪い、国際自然保護連合(IUCN)が種の保存状況を評価したレッドリストで、スマトラトラ、オランウータンは絶滅寸前を指す「絶滅危惧種」に指定されています。さらに、オランウータンは、1950年から2010年にかけて生息数が60%以上減少したとされ、1950年から2025年の期間では82%の減少になると予想されています。

インドネシア・パプアのパーム油鉱区
インドネシア・パプアのパーム油鉱区

シベリア(ロシア):広大な森林火災、永久凍土の融解も

針葉樹地帯(シベリアタイガ)が広がるシベリア地域は、地球にとって重要なCO2の吸収源です。しかし近年は森林火災が多発し、急速に森林面積が失われています。衛星データによると、2020年の年初〜9月までの間にロシアで発生した森林火災の被害面積は1,400万ヘクタール以上に及びました。2020年6月だけで、火災によって5,900万トンものCO2が排出されたと言われています。

シベリアは、森林破壊と永久凍土の融解という2つの課題を抱える土地でもあります。この2つは、異なるようにみえてお互いに結びついている問題です。シベリアの地下には永久凍土が広がっており、森林はその上に生えています。永久凍土は氷河時代からずっと凍ったままの土壌で、有機物やメタンや二酸化炭素などの温室効果ガスが多く含まれています。地球温暖化の影響でこの永久凍土が溶け出していて、土壌の水分バランスが崩れ、森林の枯死につながっているのです。

温暖化に加え、異常な熱波と森林破壊が融解に拍車をかけています。2020年には永久凍土が溶けて雪崩が起き、貯蔵タンクが倒壊して石油が流出、大規模な森林火災が発生しました。また、永久凍土が融解すると、温室効果ガスのひとつ、メタンガスが大量に放出されます。もともとはCO2の吸収源だったシベリアが、温室効果ガスの発生源に変わってしまっている状況です。

さらに問題なのは、発生したほとんどの森林火災について、消火活動がなされていないことです。ロシア当局が、消火活動の費用が火災による経済的な影響に見合うものではないと評価しているためです。

カナダ:大規模伐採の歴史を経て保護地区拡大へ

世界第3位の森林保有国、カナダ。最西端に位置するブリティッシュ・コロンビア州には、「グレート・ベア・レインフォレスト」と呼ばれる世界最大級の温帯雨林が広がっています。サケのすむ川が谷底を流れるその森には、「グレート・ベア」の名の通り、グリズリーやブラックベア、スピリットベアなどの珍しいクマが多く生息し、数千種類の動植物や鳥がすんでいます。世界の原生林の約80%はすでに失われたといわれるなか、手つかずの温帯原生林であるこの森は大変希少です。

この地域では1990年代、丸太などの木材・紙・パルプ製品の輸出のため違法な伐採が相次ぎ、すさまじいスピードで森林破壊が進み、豊かな生態系や先住民族の伝統文化を脅かしていました。しかし、先住民族やグリーンピース、地元の環境団体による働きかけの結果、2001年、伐採企業の代表者と合意し、保護地の指定や保護地外での伐採方法の改善が進んでいます。2006年には新たに200万ヘクタールが保護地として指定されました。

さらに2010年には、カナダの主要森林企業21社と9つの環境団体の間でカナダボレアルフォレスト合意書(Canadian Boreal Forest Agreement)が結ばれました。この合意によって、ブリティッシュ・コロンビア州だけでなく、ニューファンドランド・ラブラドール州に至る7,200万ヘクタール以上の北方林について持続可能な森林管理をしていくことが規定されています。

カナダ北方の森、ケベック州モンターニュブランシュ
カナダ北方の森、ケベック州モンターニュブランシュ

森林をめぐるいくつもの問題

カナダのブロードバックの森の霧の景色
カナダのブロードバックの森の霧の景色

世界全体で依然として減少を続けている森林。森林の減少を食い止め、増加に転じさせていくためには、考えるべきいくつかの問題点があります。ひとつずつ整理してみましょう。

問題点1・違法伐採

2020年現在、世界における森林減少は進んでいるものの、減少スピードは1990年代、2000年代に比べるとゆるやかになっています。森林保有国による保護地区の制定や法整備が一定の効果をあげていると考えられますが、一部地域では法律を無視した違法伐採が続けられており、森林破壊を止められない大きな要因になっています。

森林保有国による管理強化の一方で、木材消費国が違法伐採木材・木材製品の流通を規制し、木材供給企業や小売企業が違法に伐採された商品を扱わないことが重要です。2018年時点で、日本は近年木材輸入量が減少傾向にあるものの、製材輸入量世界第4位、合板輸入量世界第3位の輸入大国違法伐採木材・木材製品の輸入を規制し、使わないことが求められる国のひとつです。

インドネシア中部カリマンタンの森林破壊
インドネシア中部カリマンタンの森林破壊

問題点2・工業型畜産やパーム油など消費国の責任

ブラジルのアマゾン熱帯雨林における森林破壊は、多くの場合、牛など家畜のエサ用の大豆畑や放牧地を作るために行われています。とくに問題なのは、先進国の大量生産・大量消費を支える「工業型畜産」のために開発が進んでいることです。グリーンピースの調査によると、ヨーロッパの銀行や金融グループは大手食肉加工企業に高額の融資を続けており、この資金がアマゾン熱帯雨林の破壊を助長している側面があります。

2019年に出されたIPCCの特別報告書では、肉の消費量は過去60年間で2倍以上になり、人類史上かつてない速度で土地が農地に転換されたことが報告されてます。アマゾンでは、農地開発のために森林を人為的に焼き払うことも多く、これがコントロールできないほどの大きな森林火災につながっているという指摘もあります。

また、インドネシアやマレーシアなどの東南アジアにおける森林破壊の要因は、パーム油のプランテーション農園の開発です。インドネシアとマレーシアで世界のパーム油の総生産量の85%を占めます。世界中からの需要が集中し、森林破壊と開発に歯止めがかけられない状況が続いています。

問題点3・脅かされる先住民の権利

世界には、何世紀も前から森林に暮らし、現在も森からの恵みによって生活している先住民の人々も多くいます。多くの場合、森林伐採は先住民の人々の存在や権利を無視して行われています。森林破壊や森林火災は、人々の住む家や食料、長年育まれてきたコミュニティの歴史や文化までも奪い、命や健康を危険にさらしています。

カメルーンの森で果物を摘み取るピグミーの人々
カメルーンの森で果物を摘み取るピグミーの人々

問題点4・生物多様性と野生動物生息地の保護

森は、さまざまな動植物のすみかであり、その食料を育む場所です。森林に支えられて多様な種の動植物が存在することで、固有の生態系が作られています。森林破壊は、こうした動植物の生息地を奪い、生態系のバランスを崩し、希少な動植物を絶滅の危機に晒しています。

例えば、インドネシアのスマトラ島には、絶滅危惧種のスマトラトラが生息しています(IUCNレッドリストで絶滅寸前を意味するCR指定)。スマトラ島では2000〜2012年までの間に、大規模農園の開発などが要因で6万平方キロメートルの原生林が消失。トラの生息地面積も16.5%縮小、トラの個体数も16.6%減少したという調査結果があります。一定の個体数が確認されていた生息地もこの70年で12カ所から2カ所にまで減少しました。

スマトラトラは、森林破壊で生息地を追われ、さらに人間による密猟の危機にも晒されています。2020年には、製紙関連企業の管理するスマトラ島の熱帯雨林の土地で、罠にかかったスマトラトラが3頭発見されました。スマトラトラの絶滅を防ぐためには、数少ないトラの生息地を保護し、完全に人間の侵入を防がなければいけません。

森林破壊による野生動物と人間の接触が、人獣共通感染症と関連していることもわかってきており、森の保護は私たちの健康と将来を守ることにもつながっています。

絶滅危惧種のスマトラトラ
絶滅危惧種のスマトラトラ

問題点5・気候変動への影響

地球温暖化を抑えるために、森林を守ることは大きな意味があります。森林は、成長する間はCO2を蓄えます。しかし火災が発生すれば、森林はCO2の排出源になってしまいます。

アマゾン熱帯雨林は、長年地球における重要な炭素の吸収場所と考えられてきました。しかし近年、その一部地域(全体の20%)が森林破壊によってCO2の排出源に転じているという調査結果が報告されています。シベリアでは森林破壊が永久凍土の融解につながり、永久凍土の蓄積した炭素が排出されています。インドネシアでは森林伐採が泥炭地を破壊し、森林火災が加わることで炭素の排出源になっています。

インドネシア中部カリマンタンでの森林火災。
インドネシア中部カリマンタンでの森林火災。

森林を未来に残すために。
鍵を握る企業の行動

企業の取り組みの意義。一歩踏み出したパーム油企業も

減少を止めるためには、森林保有国による保護区や法律の整備だけでは不充分であることがわかってきました。森林破壊は、他国の需要に応えるために起きているからです。商品の生産にも供給にも携わっているのが企業です。原料調達企業(サプライヤー)、原料を使って商品を作る製造企業、商品を売る小売企業、それらすべての企業が、森林を破壊して生産された原料を扱わない方針を決め行動すれば、森林破壊に歯止めをかけることができます。

企業による森林破壊ゼロ方針や宣言は徐々に進んでいるものの、その取り組みは充分なものとはいえません。2010年12月、食品・消費財大手や小売大手が加盟する国際的な業界団体コンシューマー・グッズ・フォーラム(CGF)は、2020年までに森林破壊ゼロを宣言しました。しかし実際には、この約束は果たされることなく期限を迎えています。原料が森林破壊によって生産されているかどうかの特定が困難なことが要因と考えられています。

しかし近年、こうした課題を解決する動きも生まれています。2018年12月、グリーンピースの国際キャンペーンを経て、世界のパーム油の約40%を供給する世界最大のパーム油企業「ウィルマー・インターナショナル」が、自らの扱うパーム油について、生産農地を特定して監視し、森林破壊を引き起こしていないことを確認する行動計画を発表しました。同社はこの行動計画のなかで、パーム油産業を森林破壊ゼロの産業にするために業界をリードしていくことを宣言しています。生産現場に近い企業によるこの具体的な行動計画は、業界全体にとって大きな一歩になることが期待できます。

グリーンピースの展開したウィルマーキャンペーン。北スラウェシのウィルマーインターナショナル製油所にて
グリーンピースの展開したウィルマーキャンペーン。北スラウェシのウィルマーインターナショナル製油所にて

銀行融資も森林破壊に影響。森林に配慮した投融資を当たり前に

もうひとつ、供給や小売とは異なる分野で、森林破壊に大きな影響を与えているのが、銀行などの金融関連企業です。銀行からの投資によって資金を得て、森林破壊に関与する事業を行う企業もあるからです。日本のメガバンクは国境を超えて投融資を行なっており、日本に住む私たちにも無関係な話ではありません。

そんななか、2020年4月、日本のメガバンクのひとつであるみずほフィナンシャルグループは「環境・社会に配慮した投融資の取り組み方針」を改定。パーム油・木材・紙パルプについて、森林破壊ゼロ、泥炭地開発ゼロ、搾取ゼロ(NDPE)等環境配慮方針の策定や、地域住民等への自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意(FPIC)の尊重を取引先に求めていくことを決めました。みずほFGの方針改定は、他のメガバンクにも影響を与える可能性があり、引き続きメガバンクの動向が注目されます。

イギリスの金融グループHSBCで、森林破壊をする企業への融資をやめるよう呼びかけたアクション
イギリスの金融グループHSBCで、森林破壊をする企業への融資をやめるよう呼びかけたアクション

私たちが今すぐ
できること

森林破壊は、私たちの暮らしと強く結びついているので、私たちひとりひとりの買い物や企業への声が、森林破壊に関わる企業に影響を与えます。できることをひとつずつ実行し、行動を周りの人にも広げていきましょう。

action1

肉の過剰な消費を減らして野菜中心の食事へ

世界で肉の消費量が増え続けるなか、肉の需要を満たすために行われる工業型畜産は、森林破壊の原因をつくっています。家畜を飼う牧場のために、そして家畜に与えるエサの栽培のために、森林が破壊されています。日本でも、外食産業を中心に、肉の消費は増え続けています。過剰な肉や乳製品の消費を減らし、野菜や果物中心の食生活を実践することは、森林破壊を食い止め、私たち自身にとっても健康なからだを手に入れることにつながります。

action2

違法伐採木材製品、紙製品を買わない・使わない

日本における木材輸入量は減少傾向にあるものの、国産材自給率は未だ39%程度、国内に供給されている木材の6割以上が輸入材であり、その中には違法伐採により生産されたものが含まれる可能性があります。紙パルプも同様です。こうした違法伐採や森林破壊に加担しないために、FSCやPEFCなど森林認証を取得している商品であることを確かめて購入しましょう。また、使い捨ての紙コップやや容器などを減らし、洗って繰り返し使える容器や布袋などを使うことも重要です。

action3

持続可能性に配慮して生産されたパーム油製品を選ぶ

チョコレートや洗剤など、日用品に含まれているパーム油は、東南アジアの熱帯雨林を破壊する要因となっています。パーム油問題を解決するため、近年ではRSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)による認証の動きが拡大していますが、充分に機能しているとは言えません。まずはパーム油問題のことを知り、持続可能なパーム油しか扱わないことを宣言する企業を調べ、その企業の製品を購入しましょう。暮らしに欠かせない日用品に含まれているからこそ、森林を壊すことにつながる商品は使いたくない、という声を企業に届けることもとても大切です。

action4

森林破壊企業に投資しない銀行に預金する

銀行は私たちの社会において重要な役割を担っており、私たちが銀行に預けたお金は、企業に投融資されています。その企業のなかには、森林破壊に携わる企業が含まれている場合があります。森林破壊を促進しない投融資を行う銀行を選びましょう。方針を出していない銀行の口座を解約することも、森林破壊に加担しない重要な行動です。まずは、自分がお金を預けている銀行が、どのような投融資の方針を持っているのかを、銀行に問い合わせるなどして知ることから始めましょう。

グリーンピースの調査により、HSBCがインドネシアで熱帯雨林を大規模に破壊しているパーム油企業に融資していることがわかった。その後、HSBCは、パーム油業界企業への資金提供における、森林破壊ゼロ、泥炭地ゼロ、搾取ゼロの方針を発表した。
グリーンピースの調査により、HSBCがインドネシアで熱帯雨林を大規模に破壊しているパーム油企業に融資していることがわかった。その後、HSBCは、パーム油業界企業への資金提供における、森林破壊ゼロ、泥炭地ゼロ、搾取ゼロの方針を発表した。
action5

グリーンピースの活動に参加する

グリーンピースはこれまで、森林問題に対するさまざまな活動を積み重ねてきました。ブラジルでは20年以上前から、アマゾン熱帯雨林を守る活動を続けています。「森林破壊ゼロ」を求める140万筆以上の署名をブラジルの連邦議会に届け、森林破壊を止める法律を守る活動を実施しているほか、世界中のファーストフード店などに、製造過程でアマゾンの森林破壊に関係した肉製品の販売を規制するよう働きかけています。

アマゾン熱帯雨林では、調査活動にも力を入れています。森林破壊に繋がっている企業の活動や銀行の投融資の流れを明らかにするための調査を行い、得たデータに基づいて、企業・政府への働きかけを行なってきました。

こうした調査活動を寄付で応援したり、ブラジル政府に森林破壊を止めるよう求める署名を行なったり、グリーンピースの森林への取り組みに参加することも、森林破壊を止めるために私たちができることのひとつです。

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