ゼロから分かるプラスチック問題と海洋汚染

買う・使う・捨てる・また買う……長い間私たちは、捨てることを前提に作られるプラスチック製品を疑問を抱くことなく使い続けてきました。

しかしそんなプラスチックの多くはごみとして捨てられ、土や海底に溜まって、ほかの生きもの、そして私たちの健康に悪影響を与えています。

所有や消費で実感する豊かさではなく、経験や人とのつながりに重点を置いた豊かさへ。

地球に負荷をかけ続ける使い捨てプラスチックの悪循環から抜け出し、持続できる生活スタイルへ。そんな時代への転換がすでにやってきています。

プラスチックごみの量、
日本は世界2位

出典:<a href='https://advances.sciencemag.org/content/3/7/e1700782.full' target='_blank' rel='noreferrer'>Geyer, R., Jambeck, J. R., & Law, K. L. (2017). Production, use, and fate of all plastics ever made. Science advances, 3(7), e1700782.</a>
出典:Geyer, R., Jambeck, J. R., & Law, K. L. (2017). Production, use, and fate of all plastics ever made. Science advances, 3(7), e1700782.

プラスチックのない生活は、現在ではあり得ないもののように思えるかもしれません。しかしプラスチックの歴史は浅く、一般に広く普及したのは1950年代以降のこと。プラスチック製造とその産業の急速な成長は並外れており、ほかの多くの人工材料を上回っています。1950〜2015年までの65年間で、世界で製造されたプラスチックは83億トンにのぼり、年間の製造量はいまだ増加し続けています。予測では今後20年間で倍増し、2050年までには年間11億2,400万トン製造されるようになるとされています。

日本に目を向けると、いつのまにか私たちは、世界でも有数のプラスチックごみ大国になっています。2019年実績で、日本で1年間に850万トンものプラスチックが廃棄されています。そのうち、約47%のほとんどが使い捨て用途の容器です。2018年6月に発表された国連環境計画(UNEP)の報告書「シングルユースプラスチック」によると、日本人1人当たりのプラスチック容器包装廃棄量は、アメリカに次いで世界第2位となっています。過剰包装や利便性を重視したライフスタイルが、プラスチックごみを増やし続けるひとつの要因になっています。

使い捨てプラスチックを
めぐる問題点

大量に製造され続け、捨てられ続けるプラスチック。その問題点はどこにあるのでしょうか。改めて整理して考えてみましょう。

問題点1・生産にも廃棄にもCO2が排出される

一般的に使用されるプラスチックの多くは、石油由来の原料によって製造されています。限りある化石燃料を原料とするうえ、採掘・生産・廃棄、自然への流出も含め全ての段階でCO2を発生させ、環境に負荷をかけています。2019年には、プラスチックに由来するCO2排出は標準的な石炭火力発電所が1年間に排出するCO2排出量の189基分にのぼりました。このペースでプラスチックの生産が進むと、2050年には615基分に膨れ上がると予想されています。

問題点2・生態系を壊す海洋プラスチック問題

海には毎分約トラック1台分のプラスチックごみが流れ込んでいます。プラスチックはほとんどが自然に還らずただ細かくなっていき、海洋環境に堆積します。そのうち94%は海底に堆積し、1%が海面を漂い、5%が海辺に流れついています。海には、現在5兆個ものプラスチック片が存在し、これは地球を400周以上できる量です。

出典:<a href='https://science.sciencemag.org/content/347/6223/768' target='blank' rel='noreferrer'>Jambeck, J R, R Geyer, C Wilcox, T R. Siegler, M Perryman, A Andrady, R Narayan, and K L. Law. "Plastic Waste Inputs from Land into the Ocean." Science. 347.6223 (2015): 768-771. Print.</a> /<a href='https://www.eunomia.co.uk/reports-tools/plastics-in-the-marine-environment/' target='blank' rel='noreferrer'>Eunomia. Plastics in the Marine Environment.</a>
出典:Jambeck, J R, R Geyer, C Wilcox, T R. Siegler, M Perryman, A Andrady, R Narayan, and K L. Law. "Plastic Waste Inputs from Land into the Ocean." Science. 347.6223 (2015): 768-771. Print. /Eunomia. Plastics in the Marine Environment.

海に流れ込み漂うプラスチックごみは、海の生きものたちに大きな影響を与えています。プラスチック袋は、クジラやカメなどがエサと間違って誤飲する例が世界中で報告されており、2018年、タイ南部で死んだクジラの胃から、80袋以上の袋が見つかったケースがありました。ペットボトルのキャップやライター、カラフルなプラスチック片はウミドリが誤飲しやすく、こうしたプラスチック片によって胃がいっぱいになり、エサを食べられずに餓死したウミドリが発見されています。捨てられたプラスチック製の漁網が、魚やウミドリに絡まった姿も多く報告されています。国連環境計画(UNEP)によると、プラスチックごみは毎年数十万もの海洋生物の死を引き起こしています。

細かくなったプラスチック(マイクロプラスチック)は食物連鎖を通して、人間もからだに取り込んでおり、その健康影響について、多くの研究者が警鐘を鳴らしています。

出典:ウミガメ <a href='https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/gcb.13078' target='blank' rel='noreferrer'>Wilcox, C, Van Sebille, E, & Hardesty, BD. (2015). Threat of plastic pollution to seabirds is global, pervasive, and increasing.http://www.pnas.org/content/112/38/11899/</a> ウミドリ<a href='https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0129342' target='blank' rel='noreferrer'>Michelle, P., Edd, H., Vasiliki, K., & Daniel, P. (June 09, 2015). Population Trend of the World’s Monitored Seabirds, 1950-2010. Plos One, 6</a>./クジラやイルカ  <a href='https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0025326X13007984' target='blank' rel='noreferrer'>Baulch, S., & Perry, C. (March 15, 2014). Evaluating the impacts of marine debris on cetaceans. Marine Pollution Bulletin, 80, 210-221.</a>
出典:ウミガメ Wilcox, C, Van Sebille, E, & Hardesty, BD. (2015). Threat of plastic pollution to seabirds is global, pervasive, and increasing.http://www.pnas.org/content/112/38/11899/ ウミドリMichelle, P., Edd, H., Vasiliki, K., & Daniel, P. (June 09, 2015). Population Trend of the World’s Monitored Seabirds, 1950-2010. Plos One, 6./クジラやイルカ Baulch, S., & Perry, C. (March 15, 2014). Evaluating the impacts of marine debris on cetaceans. Marine Pollution Bulletin, 80, 210-221.

問題点3:ほとんどが埋め立て・投棄で処分されている

廃棄の環境負荷も大きな問題です。1950年以降世界で製造されたプラスチック製品のうち、これまで63億トンが廃棄物になったと考えられていますが、その約79%、49億トンは埋め立てや投棄によって処分されています。12%にあたる8億トンは焼却処理されており、この時には当然CO2が発生しています。

出典:Geyer, R., Jambeck, J. R., & Law, K. L. (2017). Production, use, and fate of all plastics ever made. Science advances, 3(7), e1700782.
出典:Geyer, R., Jambeck, J. R., & Law, K. L. (2017). Production, use, and fate of all plastics ever made. Science advances, 3(7), e1700782.

問題点4・リサイクルの限界

長年期待されてきた解決策はリサイクルですが、現時点では根本的な解決手段にはなりそうもありません。

これまで世界で廃棄されたプラスチックのうち、材料として再生されているものは9%程度。その内、複数回再利用されているのはその中の10%、つまり全体で換算すると、わずか0.9%にも満たないのが実情です。日本においても、状況は同じです。日本のプラスチックごみのうち「リサイクル」されたと発表されているものは2019年のデータで85%となっていますが、そのうち材料として再生利用される「マテリアルリサイクル」は22%。大部分の61%はサーマルリサイクル=燃やされて熱利用され、大量のCO2を排出してしまっています。再資源化を伴わないサーマルリサイクルは、国際的にはリサイクルとして扱われていません。

ペットボトルも、じつは再生利用が十分に進んでいない素材です。スーパーマーケットにリサイクルボックスが置かれ、自治体でもリサイクル資源物として回収されているこの素材こそ、当然再利用が進んでいるものと思うでしょう。確かに日本でのペットボトルの回収率は2019年実績で93%を誇ります。「リサイクル率」も85.8%と、欧州の4割、アメリカの2割に比べても高水準です。しかし、リサイクルのその先を見てみると、2019年度のリサイクル量50万9,000トンに対し、ボトルからボトルへと生まれ変わる水平リサイクルは7万4,200トンと14.5%程度に留まり、多くは使い捨てることの多い食品用トレイなどの原料に利用されています。しかし、一度のリサイクルで捨てられてしまう食品トレイなどへの再利用は根本的な解決策とは言えません。

ペットボトルに限らず、質や機能を落とすダウンサイクルでなく、閉じた輪(Closed Loop)で本当の意味でリサイクルされているプラスチック容器包装は、全世界で2%程度といわれています。水平リサイクルであれば理論上は半永久的にリサイクルができるとされていますが、日々大量に排出される容器包装分野において水平リサイクルの大幅増加を実現するには課題が山積で、現実的ではありません。

出典:PETボトルリサイクル推進協議会『<a href='http://www.petbottle-rec.gr.jp/nenji/2020/index.html' target='blank' rel='noreferrer'>PETボトルリサイクル年次報告書2020年度版</a>』
出典:PETボトルリサイクル推進協議会『PETボトルリサイクル年次報告書2020年度版

問題点5・他国を汚染する使用済みプラスチック

先進国のプラスチックごみは、リサイクルを目的に途上国に輸出されているものがあります。そのなかには、資源化できない汚れたものや有害なものが混入し、再利用されずに放置され、環境汚染や現地の人たちの健康被害を引き起こしています。日本は、世界有数のプラスチックごみ輸出国です(2020年)。2017年末までは中国へ、中国が生活由来の使用済みプラスチックの輸入を禁止してからは、タイ、マレーシア、ベトナムなど東南アジアを中心に輸出してきました。実際にはリサイクルできない汚れたプラスチックが含まれていたにも関わらず、輸出したプラスチックごみは「リサイクル名目」なので、日本のリサイクル率に計上されています。2019年度でみると日本のマテリアルリサイクル率は22%ですが、そのうちの約4割は輸出されています。輸出分を差し引くと、日本が排出するプラスチックごみのうち、国内でマテリアルリサイクルされたものもははわずか11.7%であることがわかります。

先進国で「リサイクル」と称されているプラスチックごみが、受け入れ先である東南アジア各国で深刻な環境と健康被害を起こしているという事実は、リサイクルの理想に現実が追いつかず、途上国にそのしわ寄せが生じていることを示しています。2019年、使用済みプラスチックが有害廃棄物の輸出を規制するバーゼル条約の規制対象になり、2021年からルールの適用が始まりました。日本がこれまで輸出してきたプラスチックごみをどうしていくのか、動向を注視していかなければいけません。

マレーシア・ジョホールにある廃棄物処理場では違法業者により輸入されたプラごみが見つかった。2019年にグリーンピースが行った廃プラスチック調査で撮影
マレーシア・ジョホールにある廃棄物処理場では違法業者により輸入されたプラごみが見つかった。2019年にグリーンピースが行った廃プラスチック調査で撮影

世界で進むプラスチック規制

プラスチックごみ問題を解決していくために、国や地方自治体の立場からできることのひとつが法律による規制です。都市レベルでの規制に始まり、現在は世界各国で急速にルールづくりが広がっています。多くの都市、国が規制の対象としているのが、使い捨てレジ袋です。多くの国や都市が、繰り返し使えない厚みのものや容量の小さな袋について禁止を決めています。ほかにも、プラスチック容器を規制する国も出てきています。日本でもようやく、2020年7月からレジ袋有料化が始まりました。しかし、対応は大きく遅れていると言わざるをえません。世界有数のプラスチックごみ大国として、日本が果たすべき責任が問われています。

国ごとの規制の例(2019年現在)

・インド:全29州・7直轄地のうち、17州でレジ袋、使い捨てプラスチック容器・カトラリー、プラスチック包装を禁止または制限。マハーラーシュトラ州では500ml以下のペットボトルの販売も禁止

・フィリピン:主要各都市でレジ袋などのプラスチック利用を禁止

・インドネシア:バンジャルマシン市が使い捨てプラスチックを利用禁止

・スリランカ、バングラデシュ:レジ袋の製造、販売、使用の全て、またはいずれかが禁止

・フランス:2021年より使い捨てプラスチック容器・カトラリーの使用が禁止

・イギリス:プラスチックのストロー、マドラー、綿棒の流通と販売を禁止する法案を発表

・アフリカ25カ国:プラスチック製の使い捨て買い物袋の輸入・製造・販売を禁止

*1
出典1(インド),2(フィリピン、インドネシア、スリランカ),3(フランス),4(イギリス),5(アフリカ25カ国

バイオプラや紙ではなく、
リユースで解決を

近年、プラスチックごみを減らそうと、バイオプラスチックや紙、ボール紙を使った使い捨て容器が注目されています。しかし、こうした代替品が過剰生産されると、環境負荷をかける場所を、海から森へと移動させるだけに終わる可能性があります。木材パルプの生産量は増え続けていて、すでに森林資源に負荷をかけています。

バイオプラスチックも万能の素材ではありません。原料となる農作物に需要が集中すれば、大量生産のために森林が伐採されて農地に転用されたり、環境に悪影響を与える農薬が大量に使われたりする可能性が高まります。生分解性プラスチックで堆肥化可能なものも、完全に生分解するためには実際には微生物の繁殖を促す湿度と熱の管理が必要で、分解を過信できない素材です。

企業は、使い捨てに依存したモデルから脱却し、繰り返し使えて長持ちする製品を開発することこそが最優先で必要です。そして私たち生活者自身が使い捨て文化から脱却することは、プラスチックごみ問題を解決する最も有効な手段です。

インドネシア・カリマンタンで伐採されたパルプ材の山。のちに製紙に使われる
インドネシア・カリマンタンで伐採されたパルプ材の山。のちに製紙に使われる

「脱使い捨て」へ。
動き出す企業とわたしたち

大量のプラスチックを使い、捨て続けている私たち。私たちは、過剰に容器包装や使い捨てプラスチック容器を使う、「使い捨ての文化」から脱却する必要があります。使い捨てプラスチックの問題の認識がかつてないほどに高まるにつれて、使い捨てプラスチックを削減するために、国による規制、企業による取り組み、市民運動の拡大など、世界中でさまざまな動きが見られています。

リユースや詰め替え主体のサービスが登場

包装は使い捨てるものではなく、リユースできるもの。そんな考え方に基づいた、古くて新しいシステムが小売業界で採用され始めています。

【生鮮食品の包装】

・レーザーフード(オランダ・スウェーデンなど)

シールを使わず、皮の表面をごくわずかに削ってレーザーで情報を刻印する。オランダやスウェーデンなどの一部の野菜・果物流通企業や小売店で活用。

・フード・イン・ザ・ヌード(ニュージーランド)

ニュージーランドのスーパーマーケットで展開、ミストで農産物の鮮度を保つ。使い捨て包装を使わずに商品の保存可能期間を維持。

・アピール(アメリカ)

使い捨て包装を使わず、野菜や果物に直接植物由来のコーティングを行うことで、包装がないものと比べ2〜3倍長く鮮度を保つことができ、フードロス削減にも繋がる。

【量り売り】

・アルグラモ(チリ)

米や豆類、洗剤などをグラム単位で購入できる自動販売機を低所得の人々の住む地区を含め2,000の地域の小売店に設置。昨年から、ニューヨークでも実証実験を開始。

・アンパッケージド(イギリス)

セルフサービス式の計量スケールを開発し、システムを拡大しようとしている。

【化粧品・洗剤】

・ラッシュ(世界44カ国)

シャンプーバーなど6割以上の商品をパッケージなしで販売している。

・スプロッシュ(イギリス)

濃縮した洗濯・食器用洗剤を、再利用可能なリフィルの小袋で販売し、回収するサービスを展開。洗剤は小さな詰め替え用袋で届き、利用者はこれをボトルに入れ、水で薄めて使う。リフィルは8つ溜まった時点で、専用の箱に入れて送り返す仕組み。

・ブルーランド(アメリカ)

水を混ぜて石鹸や洗剤として使う固形タブレットを開発。包装を減らすだけでなく、輸送の環境負荷も削減する。

【テイクアウトのリユース食器やシェアシステムの開発】

・リサークル(スイス)

スイス中の小売店・レストラン・カフェと提携して容器のリユースシステムを提供。

・ミューズ(世界5都市で展開)/ベッセル(アメリカ)

アプリを活用した返却式リユースカップシステムを構築。

・ダッバーワーラー(インド)

リユース容器を使ったランチボックス配達サービスで、各地とオフィス街をつなぐシステムとして100年以上機能。テクノロジーを使わなくてもリユースを実現できる事例。

【オンラインショッピング】

・ループ

大手食品・日用品メーカーや小売業者と提携して、専用の耐久性のあるリユース容器に日用品や食品を詰めて配送し、使い終わったら回収するプラットフォーム。回収した容器は、ループが洗浄・乾燥し、また商品を詰めて販売する。2021年からは東京都内で実証実験をスタート。ECとイオンの一部店舗で購入できる。味の素やロッテ、エステーなど24社以上が参入を表明。

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出典:グリーンピース報告書『スマートスーパーマーケット
イギリス・オックスフォードのスーパーマーケット「ウェイトローズ」の詰め替えステーション
イギリス・オックスフォードのスーパーマーケット「ウェイトローズ」の詰め替えステーション

日本の地域で広がる、ゼロ・ウェイスト運動

最近日本でも広がりを見せる動きとして、「ゼロ・ウェイスト運動」があります。「ゼロ・ウェイスト」とは、無駄・ごみ・浪費 をなくすという意味。廃棄物をどう処理するかではなく、そもそもごみを生み出さないようにしようという考え方で、社会の仕組み自体を変えていこうとする運動です。日本では、2003年に日本初の「ゼロ・ウェイスト宣言」を行った徳島県上勝町の取り組みがよく知られています。グリーンピース・ジャパンも、専門家を招いて「ゼロ・ウェイスト」の政策を上勝町をはじめとした各地の自治体に紹介するなどして、この動きを後押ししました。

上勝町にはごみ収集車がなく、町民はごみの中間処理場であるゴミステーションに自らごみを持ち込み、13種類 45分別を行います。生ごみは回収しておらず、町が生ごみ処理機やコンポストに補助金を出しており、各自が家で堆肥化しています。上勝町のほかにも、福岡県大木町や熊本県水俣市、奈良県斑鳩町などがゼロ・ウェイストを宣言しており、この運動は地域づくりと結びついて広がりを見せています。

2018年の上勝町のゴミステーション。2020年4月に新しく上勝町ゼロウエイストセンターがオープン、ゴミステーションも移動している
2018年の上勝町のゴミステーション。2020年4月に新しく上勝町ゼロウエイストセンターがオープン、ゴミステーションも移動している

リユース・リフィルが当たり前の社会へ。グリーンピースの活動

プラスチックごみ問題のもっとも明確な解決策は、使い捨て社会から脱却することです。グリーンピースは、代替品やリサイクルではなく、使い捨てごみの総量を減らす社会の仕組みをつくるために活動を続けています。

2003年から行っているゼロ・ウェイストの普及活動は、上勝町での宣言につながり、2019年には東京都でマイボトル給水機増設の働きかけなども行いました。東京都のプラスチック削減プログラムには、給水機の設置が盛り込まれています。

現在も、リユース(=繰り返し使う)やリフィル(=詰め替え)の活用を広く呼びかける「リユース・レボリューション」キャンペーンを展開。2021年2月からは、アイスドリンクの提供をプラスチックカップから紙カップに変更したスターバックスコーヒージャパンに、返却式リユースカップの仕組みを取り入れることを求めるするキャンペーンも行っています。

また、グリーンピースの国際的なネットワークを生かし、企業の取り組みをまとめた調査報告書を発表したり、企業や政府に対して容器包装に頼らないモデルの実現を求める活動を市民と共に行っており、実際に大きな変化がたくさん生まれています。

私たち一人ひとりはもちろんのこと、国も企業も一体となって、使い捨ての社会を変える時がきています。プラスチックや紙の使い捨てパッケージに頼らず、リユースやリフィルが当たり前の、便利で気持ちよく過ごせる未来のために。グリーンピースは取り組みを続けています。

リユース・レボリューションはこちら

「スターバックスさん新しいリユースの仕組み待ってます」キャンペーンはこちら

イギリスのスーパー「ウェイトローズ」で、マイバックを忘れた人に向けた再利用可能なバック
イギリスのスーパー「ウェイトローズ」で、マイバックを忘れた人に向けた再利用可能なバック

わたしたちに今すぐ
できること

現在、包装は一度使って捨てる、つまり使い捨てることが一般的です。この仕組みそのものが、プラスチック汚染の問題を引き起こしています。この状況を変えるために、今からできるアクションを実践していきましょう。

action1

マイボトルやマイカップを習慣に

レジ袋有料化に伴い、マイバックを持つことが習慣になった方は多いのではないでしょうか。同じように、マイボトルや、カフェでテイクアウトするためのカップを持ち歩くことも習慣化できるはずです。マイボトル用の給水スタンドを設置する自治体や大学も増えてきています。マイボトルやマイ食器が当たり前の社会は、すぐそこまで来ています。

action2

量り売りショップなど、リユース容器を使える店舗やサービスを利用する

余計な包装がなく、グラム単位で必要な分だけを購入できる量り売りショップも少しずつ増えています。乾物や粉類など、取り入れやすいものから、こうした量り売りの利用を始めてみませんか。近くに量り売りショップがないという場合にも、例えば豆腐屋やコーヒー豆屋、酒屋など、探してみれば量り売りをしているお店はあるものです。そんなお店で、持ち込んだ容器を使えないか聞いてみることもできます。リユース容器で商品を配達するプラットフォームサービスは、日本でも今後普及していくことが見込まれます。情報をキャッチし、こうした画期的な新しいサービスを積極的に応援していきましょう。

action3

ネットショッピングもできるだけ簡易包装で

ネットショッピングで配送される商品の過剰な包装は、多くの人を悩ませる問題です。しかし最近は、簡易包装の選択肢を持つネットショップや、リユースを前提とした包装で配送し回収するプラットフォームも登場してきました。そうした店舗で買い物をしたり、簡易包装の選択肢のないネットショップでも、備考欄や問い合わせフォームを利用して簡易包装を希望すれば、対応してくれる場合もあります。購入者からの希望が多ければ、店舗側も簡易包装を検討していくはずです。手間はかかりますが、希望を伝えてみることには意味があります。

action4

「自分で作る」を増やしていく

プラスチックで過剰な包装をされているのは、私たちが購入するための「商品」です。自分で育てた野菜には、プラスチックの包装は必要ありません。自分でコーヒーや茶を淹れたり、料理をするだけでも、プラスチックごみは削減できます。できる時に、できることから少しずつ、自分で作るものを増やしていくことで、暮らしが豊かになり、プラスチックごみも減らすことができます。

action5

グリーンピースの活動に参加する

グリーンピースは、プラスチックごみ問題を把握し解決していくために、これまで数々の調査活動を重ねてきました。これらの報告書は、誰でも閲覧・ダウンロードすることができます。日本でも、海岸での掃除・ごみのブランド調査などに取り組んでいます。また、こうした調査に基づいて政府や都に対して提言を行い、リサイクルや代替品に重きをおいた施策から、総量を削減する取り組みへシフトしていくよう求めています。SNSでは、量り売りなどリユース・リフィル社会へのヒントとなる取り組みを紹介しています。

寄付やボランティアスタッフとして調査活動を支援したり、政府や企業への働きかけを支持する署名を行ったり、SNSをフォローして情報を得たり、自分に合った関わり方で、グリーンピースの活動に参加しませんか。一人ひとりの行動を積み重ね、周りに波及させながら、「使い捨てない」社会を実現していきましょう。

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