グリーンピースはCOP29で、各国政府が化石燃料による気候危機への加担に責任を負うよう求めた
グリーンピースはCOP29で、各国政府が化石燃料による気候危機への加担に責任を負うよう求めた。アゼルバイジャン、バクー(2024年11月11日)

2024年も残すところわずかとなりました。アメリカでは気候変動対策に後ろ向きなトランプ氏が再選し、パリ協定からの再離脱を掲げるなど、環境問題への悪影響に懸念が高まっています。その中で、この11月には、気候対策を左右する大きな国際会合が開催され、目が離せない1カ月となりました。2024年11月の環境ニュースをお届けします。

コンビニとカフェの使い捨てを調査

グリーンピースはこれまで、カフェチェーンでのカップの使い捨てに注目し、その量の多さを報告、リユースの環境面における優位性を指摘してきました。今回は、使い捨て消費量が最も多かった3つのカフェチェーンに加えて大手コンビニ3社を対象に、使い捨てカップと容器包装の消費量を調査し、結果を発表しました。
調査では、まずカフェ大手のスターバックス、タリーズ、プロントが、2023年の1年間で合計4億7,480万個ものカップを使い捨てており、前回2020年の調査結果よりも1億3,000万個消費量が増えていたことがわかっています。

調査対象のカフェチェーンで2023年に使い捨てられたカップの数と量
調査対象のカフェチェーンで2023年に使い捨てられたカップの数と量(報告書『変革を先導する』より)

特に、3つのカフェチェーンで、店内利用の場合にも半数以上の飲み物が使い捨てカップで提供されていたのは見逃せない点です。もしも店内の飲み物だけでもマグやグラスで提供されていれば、1年で1億6,940万個のカップ使い捨てを減らすことができていたはずでした(2023年の調査結果からの割り出し)。

そして、コンビニ大手の調査で明らかになったのは、3つのカフェチェーンの年間消費量合計の約4倍にもなる19億7,860万個の使い捨てカップがセブン-イレブン、ファミリーマート、ローソンの3社で消費されていたことです。今回調査した容器包装カテゴリーの中では、販売個数で「おにぎり」、総重量では「お弁当」が最も使い捨てゴミを出していました。

調査対象のコンビニで2023年に使い捨てられたカップの数と量
調査対象のコンビニで2023年に使い捨てられたカップの数と量(報告書『変革を先導する』より)

カフェやコンビニには、使い捨てに頼らない運用努力が求められます。身近な2つの業界がリユースで連携し、使い捨てることなく利用できるサービスがひろがれば、カフェもコンビニも私たちにとってさらにお気に入りの場所になるはずです。

気候変動の解決目指すCOP29会議開催

11月11日から会期を2日延長した24日までの期間、アゼルバイジャンの首都バクーで、国連気候変動会議(COP29)が開催されました。国際ルールを各国が議論する重要な世界会議に、グリーンピースからも日本のスタッフを含む代表団が参加。先進国にパリ協定で掲げられた1.5度目標の達成に整合する決定と、責任ある選択と行動を求めました。

グリーンピース・ジャパンのスタッフ(左)が、気候変動に取り組む他NGOとともに記者会見で、アメリカ不在のG6諸国に力強い国際協調を求めた
グリーンピース・ジャパンのスタッフ(左)が、気候変動に取り組む他NGOとともに記者会見で、アメリカ不在のG6諸国に力強い国際協調を求めた。アゼルバイジャン、バクー(2024年11月)

会期中には、さいたま市長が、日本から初めてゼロエミッション車を促進する国際宣言(A2Z)への加盟を発表するなど、喜ばしいニュースも。最終的に、途上国支援のための新たな資金目標として、2035年までに年3千億ドル(約45兆円)の拠出で先進国が合意し、COP29は閉幕しました。

しかし、グリーンピースは、この合意内容の時期と額は十分でないと考えます。アメリカの後退が避けられない今、特に石炭の段階的廃止の道筋すら決められずにいる日本のなすべきことは少なくありません。日本はG7の一員として今年も不名誉な化石賞を受賞しています。

COP29サイドイベントで日本の映像作品上映

COP29のサイドイベントで11月18日に、グリーンピース製作、クリエイティブユニットHAKUA制作の映像作品『御渡り/MIWATARI』が紹介されました。

タイパビリオンにて『御渡り/MIWATARI』を鑑賞する来場者ら
タイパビリオンにて『御渡り/MIWATARI』を鑑賞する来場者ら。アゼルバイジャン、バクー(2024年11月18日)

「御渡り」は長野県諏訪湖に発生する地元文化に根づいた自然現象を指しますが、気候変動の影響があって2019年から観測されていません。この状況を11分の映像にまとめた本作品は、タイの国際映画祭の大賞を受賞しています。

COP29でも、タイ政府主催のサイドイベントで他2本の映像作品とともに紹介された『御渡り』は、各国政府代表や企業、報道関係者の注目を集めました。上映後のパネルディスカッションにはグリーンピース・ジャパンからもスタッフが登壇し、気候対策の重要さについてグローバルとローカル両面からの意見交換が行われました。

また、グリーンピースはCOP29での上映の2日後に、作品が撮影された長野県諏訪市で上映会を開催。約85人の市民らが地元で撮影された『御渡り』を鑑賞しました。

長野県諏訪市の駅前交流テラス「すわっチャオ」フリースペースで、開催された『御渡り/MIWATARI』上映会
長野県諏訪市の駅前交流テラス「すわっチャオ」フリースペースで、開催された『御渡り/MIWATARI』上映会(2024年11月20日)

上映会では、作品に出演する八劔神社の宮坂清宮司らによるトークイベントも行われ、諏訪の暮らしへの気候変化の影響などについて、参加者を交えた対話が一際盛り上がりを見せました。

プラ条約の内容を決める国際会議が開幕

11月25日より、韓国の釜山で国際プラスチック条約の内容を決める重要な政府間会合(以下、INC-5)が開催され、グリーンピース・ジャパンからもスタッフが現地入りしています。

グリーンピースは、INC-5開催に先立って、日本、韓国、台湾の3カ国が年間4,199万トンに上るプラスチックを生産できる能力を持つことを調査し報告しました。生産規制が条約に含まれなければ、排出量に換算すると二酸化炭素9,993万トンに相当するプラスチックをたった3市場が生産する可能性があるということです。

このほか台湾や韓国ではプラ原料による湾岸汚染の実態や、プラスチックの海洋拡散シミュレーションなどについても、大学研究者やボランティアとの協力の下で調査が行われました。

INC-5の開催を目前に、釜山に集まった効果的なプラ条約を求める人々
INC-5の開催を目前に、釜山に集まった効果的なプラ条約を求める人々。韓国(2024年11月23日)

INC-5の会場となる釜山では、11月23日にグリーンピースが参加する脱プラを求める国際ネットワーク「Break Free from Plastic(BFFP)」が効果的なプラ条約を求めINC5会場周辺でパレードアクションを行いました。パレードには約1,500人が参加し、プラ汚染へのNOの意思を政策決定者に向けてアピールしました。

プラスチックは気候変動、生物多様性の喪失、そして汚染という地球が直面する「三重の危機」すべてを加速させています。グリーンピースは、INC-5に参加し、プラ条約が2040年までにプラ生産量を少なくとも75%削減するという目標に沿う内容で合意されるよう働きかけを行います。

私たちの声はどう届くの?

COP29とINC-5という重要な国際会合が開催された11月。これらの会合は地球の未来を左右する国際ルール制定のためにとても重要です。

気候変動の悪化をくい止めるためにはどうすればよいのか、科学的根拠に基づいた指針はすでに示されています。グリーンピースが行う提言や働きかけは、加速度的な温暖化への分岐点として世界の科学者と専門家が割り出した気温上昇1.5度をまもるために必要な数字や道筋に基づきます。

COP29の市民総会
COP29の市民総会。アゼルバイジャン、バクー(2024年11月21日)

しかし、それだけでは足りません。力強い国際ルールの誕生には、一人でも多くの市民の関心と世論の高まりが不可欠です。グリーンピースに寄せられた効果的なプラ条約を求める声は1万人分を超えました。こうして市民の一人ひとりから上がる声こそが、世界のリーダーたちを正しく導きます。

グリーンピースは、より地球と人々に優しい選択を求める人々の願いを国際的なネットワークを用いて効果的に意思決定の場に届けています。グリーンピースの活動を署名や寄付で応援してください。